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雑誌『MEZZANINE』×紀伊國屋書店新宿本店|「本屋で都市を編む」対談レポ #01


2020年9月17日より紀伊國屋書店新宿本店4階でスタート、11月3日に大盛況のうちに終了した本屋で都市を編む」ブックフェア

「さまざま分野で活躍する総勢35名にも及ぶアーバンシンカーたちが選りすぐった70冊を展開する」という大規模な選書フェアは、どのようにして生まれたのか?
また、このフェアで伝えたかったこと、さらにはこれからの書店と都市の在り方について、フェアの企画者であるMEZZANINE(メザニン)』編集長の吹田良平さんと、紀伊國屋書店新宿本店 建築書ご担当の中西さんにお話をお伺いしました。

お二人の対談を全4回のレポート形式でお送りします。


きっかけは偶然の会話から。

―本日はお忙しいなか、ありがとうございます。
さっそくですが、まずはお二人の自己紹介からお願いします。

吹田さん中西さん並び近影

中西さん(写真左):紀伊國屋書店新宿本店で建築書と都市計画書の担当をしております、中西です。


吹田さん(写真右):
雑誌『MEZZANINE』の編集長をしております、吹田です。
『MEZZANINE』とは都市をテーマにした雑誌で、キャッチフレーズは「アーバンチャレンジ フォー アーバンチェンジ」。
都市もどんどんアップデートしていく必要がある。そのために世界中の新たな都市のユニークな試み、創造的な試行錯誤を取材して発信しています。

MEZZANINE書影_s

MEZZANINE(メザニン)』とは?
吹田良平が編集長を務める「都市の進化に向けた世界中のアイデアとチャレンジ」をテーマとした年2回発行の雑誌。
都市の創造的試行錯誤の事例や第一線で活躍するトップランナーたちの取材を通して、世界中のさまざまな「アーバンチャレンジ」を紹介する。
2017年に創刊、現在4号まで発売中。


―まずは今回の「本屋で都市を編む」フェアが開催に至ったきっかけを教えてください。

中西さん:コロナの感染拡大を受けて今後都市も変化していくのではないかと考えるようになり、「都市について考えるフェア」をやりたいと思っていました。
そのときにちょうど吹田さんがご来店されて、フェアのご相談をしたのがきっかけです。その後すぐにいろんな方に選書のお声をかけていただいて、進んでいきました。


吹田さん:
今年の夏にワゴンで実施していただいた『MEZZANIN』の選書フェアをお店に見に行ったときに中西さんにお会いして。
9月くらいから「都市・建築」をテーマにしたフェアを予定していると聞いたので、それなら! と、企画がはじまりました。


中西さん:
もしかしたらフェアにお知り合いを数名お誘いいただけたりするのかな、という下心はあったのですが、一気に30名もお声がけいただき本当に驚きました。


吹田さん:
はい、自分でも驚きました。


―吹田さんと中西さんが出会ったその場の会話から、最終的に35名にもなる選書フェアがトントン拍子に決まったわけですね。すごい。

吹田さん:心の広い紀伊國屋さんなので。


中西さん:
恐縮です。

本屋で都市を編む紹介

期間限定の限定のフェア棚が誕生。総勢35名の選書がずらり。


―そのようにして一気に進んだ「本屋で都市を編む」フェアですが、企画のコンセプトはありますか?

吹田さん:まずひらめいたのは、アーバンプランニングの業界で一つキーワードとなっている「Knit the Urban Fubric」という考え方。
ブロックが形成される都市を編み物に例えているんです。

あとはちょっと大げさですが、神が地球や自然をつくったように、完全な無から新たなものを生み出すのは人間には至難の業。
では人間ができる創造行為というのは何か。
僕は広義の「編集」だと思うんですね。
一方で狭義の「編集」では、やはり本を意味することも多い。

これら「編む」という言葉をきっかけに、都市と書店と本とクリエイティビティを一つにまとめることができるのではないかと思いました。


中西さん:
書店側として最初に私が想定していたのは、「これからの都市や社会を考える本」を選んでいただくことでした。
そこに書店の売り上げが落ち込むなか、「書店を止めるな」という合言葉とともに、アーバンシンカーである各界の著名人が選んだ70冊の本をリアルな空間に立ち上げることで、多様な都市の思想が視覚的に飛び込んでくるように意識しました。

展開状況-(3)

フェア棚その2。さまざまな視点の「都市」が集まった。


―コロナの影響で紀伊國屋書店さんも営業を自粛され、お客様もお店に足を運べない時期が続きましたよね。
書店の再開と同時にこのようなフェアで新しい発見があるというのは、リアルな体験としてとても価値のあるものだと感じます。


中西さん:
本の需要は高まっているので、盛り上げていこうという気持ちはありました。


吹田さん:
本来自身と関わりの少ないジャンルや領域に、シームレスに入り込んでインスピレーションを得られるリアル書店の偶発性はとても貴重で、そしてそれは今後もっと大切になってくる空間だと思っています。


>>第2回へつづく。

【プロフィール】
吹田 良平
1963 年生まれ。(株)アーキネティクス代表取締役。
『MEZZANINE』編集長。
大学卒業後、浜野総合研究所を経て、2003年、都市を対象にプレイスメイキングとプリントメイキングを行うアーキネティクスを設立。都市開発、商業開発等の構想策定を中心に関連する内容の出版物編集・制作を行う。主な実績に渋谷QFRONT、「北仲BRICK & WHITE experience」編集制作、『日本ショッピングセンター ハンドブック』共著、『グリーンネイバーフッド』自著等がある。

●WEBサイト:https://www.archinetics-inc.com/
●Twitter:@Mag_MEZZANINE
●Instagram:mezzanine.mag
●note:MEZZANINE(メザニン)
【INFORMATION】
紀伊國屋書店 新宿本店
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-17-7
●WEBサイト:https://store.kinokuniya.co.jp/store/shinjuku-main-store/
●Twitter:@KinoShinjuku
「本屋で都市を編む」特別ページ


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吹田良平さんが編集長を務める雑誌『MEZZANINE』はこちら。

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また、本日より電子書店での配信がスタートしました!
紀伊國屋書店さんの電子書籍サービス「Kinoppy」をはじめ、kindlehonto楽天kobo、など各電子書店をご確認ください。


グローバルな雑誌なので、海外在住の方にもご高覧いただければなによりでございます!
ただ……

紙の質感にこだわった『MEZZANINE』、
できれば、できれば、紙で読んでほしい……! 
もしご興味のある方は紀伊國屋書店さんはもちろん、お近くの書店でお求めいただければうれしいです。



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