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半導体大手「エヌビディア」が時価総額1兆ドル超えは史上8社目。日本の企業ベスト10足すより大きいぞ!

インターネットで飛び交う、今週1週間のIT・科学・経済のニュースを 独自の視点で振り返る「ITニュースウェブ2023/06/02(第062回)」さて今週は、、、

半導体大手「エヌビディア」が時価総額1兆ドル超えは史上8社目。日本の企業ベスト10足すより大きいぞ!

半導体メーカー初、米エヌビディア株の時価総額が一時1兆ドルに…生成AI向け需要急増に期待(05/31)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230531-OYT1T50143/

アメリカ半導体大手のエヌビディアが5月30日、時価総額を初めて1兆ドル(約140兆円)を突破しました。これは世界市場では、現在1兆ドルを超えているアップル、サウジアラムコ、マイクロソフト、アルファベット、アマゾンの5社に超えたことのあるテスラとメタを合わせると史上8社目となるそうです。因みにこれは、日本の株式市場の時価総額でベストテンの企業、トヨタ自動車、ソニーグループ、NTT、リクルートホールディングス、ソフトバンクグループなど上位10社を合わせた額(約120兆円)以上に相当するということです。

株価急騰のエヌビディアの半導体は何がすごいのか 「生成AI向け」で大儲けしている背景(06/02)
https://courrier.jp/news/archives/327923/

なぜそんなにエヌビディアという会社の価値が高くなっているのか。単にインテルやモトローラーのように半導体を作ってるメーカーと何が違うのかご存知でしょうか。記事によれば、世界中の半導体品薄状況も相まって、人気のエヌビディア製チップ8個セットが30万ドル(約4200万円)に上り、エヌビディアの半導体を巡ってはすでに6ヵ月待ちの状態。英フィナンシャル・タイムズ紙によれば「エヌビディアの半導体は麻薬よりも入手困難だ」というんです。

wikipedia エヌビディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/NVIDIA

ウィキペディアによれば、そもそもはCG(コンピュータグラフィック)の表示を強化するためのGPU(グラフィックプロセッサユニット)の半導体メーカーとして1990年代に設立され、CG会社の専用マシンなどに採用されるなどの専門性の高い半導体メーカーでした。その後3Dゲームが普及すると拡張グラフィックボードなどに採用され一般にも浸透を始めていたところ、2016年ころからのAI開発がさかんになりディープラーニングブームの波に乗って、AI演算するためにはGPUが安価で使いやすいとなったことから一気にGPUの需要の高まりを見せました。GPUは通常のCPUと違って画面の画素を同時に操作できる並列処理に優れたプロセッサ。通常のPCにGPUを組み合わせることで何百倍もの演算速度を実現できるようになると見抜いた人がいたわけです。

なぜ人工知能研究でNVIDIAのGPUが使われるのか――安くて速いGeForceが尊ばれる理由(2018/04/05)
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1804/05/news011.html

今から5年前2018年のこの記事を見てもわかるように、その後はあっという間にAIの演算をするならエヌビディアのGPUという風潮が一般化しました。GPUメーカーはAMDやインテルなどほかにもあったのですが、なぜエヌビディアのGPUが優遇されたのでしょうか。それはエヌビディアだけがゲームグラフィック演算だけでなく通常の汎用演算にも使えるように「CUDA(Compute Unified Device Architecture)」と呼ばれる統合開発環境を提供したことが大きいようです。さらにラッキーなことにその後起きたEV車や自動運転の普及でも、他社半導体メーカーが右往左往する中、自動運転メーカーやAI開発メーカーにもすぐに対応したことで市場はエヌビディアに完全掌握されてしまったというわけです。そこにきてロシアのウクライナ侵攻や世界規模の半導体品薄状況。さらなる市場価値が高まった結果今回の1兆ドル超えが実現しました。

NVIDIA、1EFLOPSの性能で生成AI/LLM処理を加速する「DGX GH200」(05/29)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1504122.html

5月30日から6月2日に台北で開催された「COMPUTEX TAIPEI 2023」では、エヌビディアは最先端プロセッサを搭載したAI用スーパーコンピューター「NVIDIA DGX GH200」を発表。これまでのプロセッサを搭載したマシン256機をたったひとつのGPUで賄える設計にしたと話題。もはやスパコンも日本の「富岳」のように何千台ものプロセッサを繋げて大量の電力を要する時代も終わりかけているということです。

ソフトバンクとNVIDIAがAI活用の次世代5Gデータセンターで協業(05/30)
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1504520.html

今週では、ソフトバンクが5Gおよび6Gを見据えた次世代データセンターで生成AIの活用を見据えた次世代プラットフォームの構築でエヌビディアとの協業を発表。

NVIDIAとMediaTek、車載用SoC開発で協業(05/31)
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2305/30/news143.html

ほかにも半導体メーカーのMediaTek(メディアテック)までもがエヌビディアと協業し自動車向けの半導体SoCの開発を「COMPUTEX TAIPEI 2023」で発表するなどエヌビディアとの協業企業はあとを断ちません。以前はインテルやモトローラーの独占市場だった半導体ビジネスも、台湾のTSMCに市場を奪われ、いまではAppleやアマゾンも半導体製造に参入する状況。21世紀のビジネス市場を抑える半導体巨人は誰になるのか目が離せません。

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