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いらない仕事たち7 悉皆研修

気ままな寄稿を続けている内に,無駄だと感じた仕事を思い出した。
学校現場における,キングオブ「仕事してる感出てるだけの作業」である,悉皆研修だ。

研修の位置付けを確認する

教員の研修については,教育公務員特例法第21条及び22条で次のように定められている。

(研修)
第21条 教育公務員は,その職責を遂行するために,絶えず研究と修養に努めなければならない。
2.教育公務員の任命権者は,教育公務員の研修について,それに要する施設,研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し,その実施に努めなければならない。
(研修の機会)
第22条 教育公務員には,研修を受ける機会が与えられなければならない。
2.教員は,授業に支障のない限り,本属長の承認を受けて,勤務場所を離れて研修を行うことができる。
3.教育公務員は,任命権者の定めるところにより,現職のままで,長期にわたる研修を受けることができる。

この文言を読むに,研究と修養(研修)及び都道府県教委や管理職によるその実施は努力義務であり,絶対的に実施しなければ罰せられるという事ではない。
そして第22条第2項にあるように,授業に支障のない限り,勤務場所を離れて行うことが出来るものだ。

ハッキリ言おう 悉皆研修はこの両方を守っていない

研修は本来,「こういう分野で成長するために,このような方式の研修を用意してあります。ご自身の能力伸長を望む方は,どうぞ受講してください。」というものであり,職歴何年目だからやらなければならないというものではなく,自主的に実施したり受けに行ったりするものなのではないかと私は考えている。

かつて5年経験者研修という校外での悉皆研修を受けさせられたが,定期テスト1週間前の金曜日という授業に支障出まくりの日に設定しやがったおかげで,演習の時間が自習に変わってしまったという経験がある。
現場の意向を全く無視し,指導主事どもの「何かやった感」に付き合わされるだけの日時設定に激しく憤り,終了後のアンケートにボロクソな意見を書いた。
この1日があればどれだけの生徒に力を注げたと思っているんだ。
お前らも元教員で管理職目指してるなら,こんなクソみてえなことやらせてねえで法令守れ。

絶えず努めなければならない研究と修養は,所属校の生徒の成長を促進させる術の習得についてだ。こんな所で油売ってる暇なんてこっちには無いんだよ。

不祥事防止研修という無駄オブ無駄

我々が悉皆研修の中でも特に忌み嫌っているのが,見出しにある「不祥事防止研修」だ。
内容はお決まりで,未成年(生徒)に対しての淫行,セクハラ,パワハラ,公金横領,飲酒運転など。
自分の所属する自治体の教員がどれかに抵触する度,必ず「綱紀の粛正」と銘打ってこの研修が開催される。
時にはグループやペアを作ってロールプレイングをやらされる事もある。

声を大にして言おう こんなもんやったって無駄だ
いくら研修しようが,やらかす奴はやらかすし,やらない奴は一生やらないんだよ
ちょっと考えれば,生徒に手を出したり,一発で免職になると分かり切っている飲酒運転を実行したりする人間なんて病気だと分かるだろ

私はこの研修に参加している最中,まともにロールプレイングなどした事も無いし,いつも一緒のグループになった方々とボロクソに文句を言っている。
用意されているシチュエーションのどれもが,何でこんな事をやろうと思うのか理解出来ないほど低俗で,実行に移す奴は教員をやっていなくとも実行に移すとしか思えないからだ。

そして,不祥事が発生した際,実に気の毒で理不尽な事が同時に発生する。
それは,管理職に対する都道府県教委からの指導だ。

「所属教員の不祥事を防ぐことが出来なかった監督責任」と言われるが,そんなの防げるわけねーだろ,あいつらは病気なんだから

当事者が逮捕されて終わり,で良いのではないかと,いつも思っている。

No more アリバイ作り

結局のところ,何故こんなにも意味の無い研修が繰り返されるのかと言えば,都道府県教委と管理職のアリバイ作りのためだと私は考えている。
何か現場で不祥事が発覚した場合,あるいは自治体の管轄校で事件が発生した場合,発生を未然に防ぐための対策を講じていたかどうか,絶対に突っ込まれるからだ。

しかし前述したとおり,やらかす奴はやらかすし,やらない奴は一生やらないのが不祥事だ

その前提に立ち返れば,こんな無意味なアリバイなど必要なく,やらかした人間に罪を償わせれば済む話ではないのだろうか。
こんな事のために貴重な時間を割くのなら,その分生徒との時間を充実させた方が,学校の為には絶対に良いはずだ。

お立ち寄りくださいまして,誠にありがとうございます。 皆さんが私に価値を見出してくださったら,それはとても素敵な事。 出会いを大切に。いつでもお気軽にお越しください。