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読書記録⑫あらゆる風のような。『つむじ風、ここにあります』

『つむじ風、ここにあります』木下龍也 著

歌集を紹介するのは初めてです。著者の木下龍也さんについて軽く。1988年の1月12日生まれで、2011年から作歌をされて翌年には全国短歌大会大会賞を受賞されています(すごい!)。twitterの自己紹介欄には「現代短歌の申し子」と一言。自信のほどがうかがえます。

素敵な短歌をたくさん詠まれています。ぼくは『つむじ風、ここにあります』の他に『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』も読みました。『きみを嫌いな奴はクズだよ』も読まなきゃ。現代短歌をあまりよく知らない方は一度調べてみて下さい。短歌に対するイメージが変わるのではないかと思います。

それにしても著者は大変モテそうな方です。面白いし優しそうだし(twitterアカウントをフォローしているのでつぶやきを拝見しています)。女に生まれたら憧れてたかもしれないなあ。憧れても実らない素敵な男性への恋。失恋したらいい短歌が作れそう。

木下龍也さんの短歌はとても優しくてユーモラスで、明るい中にどこか哀しげでもあり、新鮮なのにどこか懐かしく感じられます。日頃から世界に対して真っ正面から向き合う姿勢と、どこか斜にかまえて見つめる視線がないとああはならないんじゃないかな。詩歌は往々にして世界への新しい視点を授ける性質を持ちます。この本も世界をうつくしく観測するためのフィルターをくれるような、素晴らしい一冊でした。

ぼくがこの本を手にした経緯には木下さんの厚意があります。ご自身の持っていた在庫を、災禍で家にいる方へプレゼントで配ろうと企画なさったのです。幸運にも当選して読むことができたのですが、その幸運のきっかけを下さったことに、ただただ感謝です。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました!

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