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【連載】アートリトリートとはなにか? 〜第二回:アートは問いの大量製造装置〜

TWILIGHTメンバーの窪田菜美(なみちゃん)です。
私がメイン案内人を務める「アートリトリート」について
インタビューしていただいた記事を、連載でお届けします。

今回は、なぜリトリートにアートを持ち込んだのか?、アートがもたらすインパクトをお伝えします。

【全4回の記事で分かること】
・「都内にいてもすぐに行ける」アートリトリートとは
・なぜリトリートにアートなのか? ~アートは問いの大量製造装置
・おすすめしたいのは「とにかく忙しい人」、その理由
・アートリトリートのこだわり ~日常の延長線上にある自己探究

第一回をまだ読んでいない方は
ぜひこちらからどうぞ^^
https://note.com/twilight_note/n/nb0cc850ce6fd


自分という存在を探究していく時間を都心にいながらも手軽に


ー(前回の続きから)アートを通して自分と向き合うことができるということですね。なみちゃんがアートリトリートを始めたきっかけについて、お聞きしても良いですか?

なみちゃん:以前、コーチの先輩が自然の中で行っているリトリートに参加したときに、自分が自然や地球の一部であることを強く感じました。地面を這う虫や足元にある草花に話しかけたくなるぐらい、自然を近くに感じられたんです。この時の体験が、自分の体の感覚や感じ方を大きく変えてくれたと思っています。
自然と人間は対になっているものとして捉えられることがあると思いますが、自然の中でリトリートをしたことで、統合感というか自然との大きなつながりを感じました。その時間がとても良かったんですよね。

都心にいると、あまり感じられない自然の包容力を感じて、ありのままの自分でいて良いんだと思いました。
その時、リトリートという時間を必要としている人は他にもいるんじゃないか?と思ったんです。
自然の中での体験が本当に素晴らしかったので、より多くの方にも体感してほしいと思ったのがきっかけです。

ーその時のリトリート体験が、なみちゃんの人生の中で大きな影響を与えたんですね。

なみちゃん:そうですね。とはいえ、自然とのつながりやありのままの自分を素晴らしいと思う実感を得るためには、どうしても時間がかかってしまいます。
得られるものはもちろん大きいのですが、都心からの移動時間だけではなく、準備にかかる時間、労力などもありますよね。

自然の中で行うリトリートの良さを体験したからこそ、参加するハードルをもっと低くしたいと感じたんです。自然の中で行うリトリートと同じインパクトはないかもしれないですが、自分という存在を探究していく時間を都心にいながらも手軽に取れたら、と思いました。その中で当時、直感的に出てきたのが“アート”だったんです。


ー確かに移動や準備といった時間的なことを考えると、都内にいてもリトリートのような自分を内省する時間が取れるというのは魅力だと思います。
直感的に出てきたのがアートということですが、なみちゃんの中でアートにつながる背景が何かあったのでしょうか?

なみちゃん:私自身、過去を振り返ると、「アートが自分のリトリートになっていたのかもしれない」と、この企画をするようになってから気付きました。
というのも、仕事で忙しくて、なんかモヤモヤする…という瞬間があると、美術館に行きたい!という気持ちになっていたんですよね。
当時は気付いていませんでしたが、自分をリフレッシュさせたいということに加えて、自分を見つめ直すことを感覚的に求めていたんじゃないかな、と思います。

ーなみちゃんの過去にアートリトリートの原点があったんですね!

なみちゃん:はい、またアートには「破壊」と「ソウゾウ」をもたらしてくれる力があると思っています。中でもアートの面白いところは、アートという概念自体をも破壊するところです。

過去の体験ですが、昔行った展示の入り口に、何も描いていない、真っ白な大きなキャンバスが展示されていたんです。絵というのは、白いキャンバスに描くことがほとんどですよね。その時、「真っ白なキャンバスが作品?」、「何これ!?どういうこと?」と衝撃を受けました。私の中から問いが生まれたんです。

この作品は新型コロナウイルスがまん延する前に、世界のとある街でキャンバスを道に置いて、道ゆく人にキャンバスにキスをしてもらったものなんです。何も描かれていないように見えるのですが、実はキスした跡が重なっているという作品でした。
いろんな人が、その時間、その通りにいたという証明でもあり、その存在を刻印しているんです。いろんな国の人がいたんだろうな、と想像すると、そこには多様性も感じます。
このようにアートは、自分の内面に揺さぶりをかけて、概念を壊してくれるものだと思うんです。

ー衝撃的な作品ですね!……私も今、「描いてこそアートでしょ!」という自分の固定観念に気付きました


なみちゃん:そうなんですよね。アートを見て感じたものをきっかけに、自分の決めつけや固定観念に気が付いて、内省につなげていくことができたら、と思っています。
アートはデザインとも比較されることがあると思いますが、デザインは問題を解決する力があると捉えられる一方、アートは問題を提起するものと言われたりします。

アートには作品を通して、「これって問題じゃない?」と気付かせてくれる力があります。それは個人的な問題だけでなく、社会的な問題への気付きも与えてくれることも。
美術館でアートに触れることが、私なりのリトリートのやり方であり、そこをフィールドに行っていきたいと考えているんです。

ーアートから「自分の固定観念ってなんだろう」、「自分ってどんな人間なんだろう」と見つめ直して、 そこから「じゃあ、どうしたい?」と考える、きっかけになる気がします。


アートから問いをもらって、自分に揺さぶりをかけていく。誰にとっても大切な生きる営みですが、私は特に「忙しい人」こそ、この営みを大切にしてほしいと願っています。

第三回は、その理由についてお伝えしていきます^^

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