読書要約 No.1 残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

こんにちは、けーすけです。

久しぶりに読書アウトプットを再開していきます!

今回読んだ本はこちら。

橘玲さんの「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」です。

ちょうど Kindleセールでおやすくなっていたことと、おすすめされたので手に取ってみました。

まとめ

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法は、有限の世界(いわゆる日本式経営の企業)から抜け出し、自分の好きを軸として、自分の手で収益構造を設計したビジネスを起こし、サブトレンドの領域で小さい規模での先駆者となること。

要約

1章

能力主義は、差別的な行為なのだろうか?
科学的観点では、身体的特徴などと同様に、個人の能力も遺伝するものである事が知られている。
→しかし、政治的な理由から「個人の能力は依存しないもの」とされている。

比較優位性を考えた場合、自分にとって欠点となる分野の取り組みは、その分野で秀でた人材に仕事を依頼した方が良い。
ただ、近代では世界規模で仕事の発注などが可能となってきたため、新興国の人材で、より低価格で代行可能な能力しか持ち合わせていない人材の報酬を守ることはできない。
→そのため、「能力を伸ばす」ことによって収入を増やす事が可能である必要がある。
一般化された業務を行うだけの能力しか持ち合わせていない人材は、「自分の好きな事」で旗上げをするしか、その業務から逃れる方法はない。

2章

人間の生活空間は3つに分かれている

・愛情空間
・友情空間(愛情空間と友情空間を合わせて政治空間と呼ぶ)
・貨幣空間

政治空間における富を増やすための戦略は、他人から搾取する事である。(戦国時代)

一方、貨幣空間において富を増やすための戦略は、自分の資産を増やす事さえできれば良い。この空間においては、しっぺ返し戦略が最終的には有利となる。つまり、相手に裏切られるまで、相手を信頼し続ける事が合理的な行動となる。


3章

人間が行動を合理的に決定できない事がある。これは、人間の生存本能に従った性質であり、こうした性質を利用することによって、宗教やマルチが発生する。

・返報性
・権威性
・希少性
・親しい人からの好意
・社会的証明(みんながやっていること)
・コントラスト効果
・勝者の呪い(他人が欲しがっているものは欲しい)
・コミットメントと一貫性

4章

人は自然に階級制度を受け入れる。話し声や態度から相手との力量さを見極める。
つまり、我々は階級社会に生きている。

面白いゲームに金銭報酬が関わってくると、途端にゲームが面白くなくなる、ゲームが崩壊してしまう。

日本型企業の従業員の満足度は著しく低い。これは、社内という閉鎖的な空間の中で成果を出したとしても、それが報酬や評判となって返ってこないためである。

人が幸福を感じる要素は以下の3つである。

・食→ファストフードなどで飽和している
・性→子孫を残さない性行為が実現された、お金でも買える
・評判→欲求は無限大(いくら持っていても、さらに欲する)

そのため、他社かの評判を得る方向にシフトした方が良い。

また、日本は閉鎖した社会であり続けているため、欠点を自らに紐付けないために、匿名性のインターネット社会が主流である。

終章

ショートヘッド(有名なアーティストや、ブームになっている楽曲)ではなく、ロングテール(人気はないが、存在はしているもの)の中から、自分にとってのシュートヘッドを見つけ出す。

そのためには、自分にとって有利である、自分の好きなことを仕事にする事が良い→その方が能力が高い傾向にある。

かつ、その仕組みづくりを他者に委ねてしまうのではなく、自分で作り出す必要がある。


印象に残った事

やってもできない

まず、本書の冒頭に「やってもできない」という言葉が書いてあることに衝撃を受けた。というのも、最近は全ての物事に可能性があると思っていたからだ。

しかし、その後の内容を読み進めていくにあたって、その本当の意味を理解する事ができた。

結論を述べてしまうと、人には向き不向きがあるので、自分にとって不向きである能力をいくら伸ばそうとしても、その能力に適性がある人間には敵わないという事だ。

そういう意味で、「やってもできない」のだ。


生存戦略として、他人が「やってもできない」事、を伸ばした方がずっと良い。

子供の頃、誰しもが自分の優位性を示そうとして、「自分が好きな事」に対する能力を伸ばそうと躍起になる。大人になっても同じ事なのだと理解した。

生活空間

僕たちの生活空間は、3つに分かれている(前述しているので割愛)。

従来の村社会では、政治空間でいかに上手く立ち振る舞うかが大切であった。人は一人では生きていく事ができないため、他者の助けを借りる必要があったからだ。しかし、貨幣空間が侵食してきたことによって話が変わってきた。

貨幣空間は、非常に冷淡だ。貨幣で交わされた関係にある人々に対して、政治空間で感じているようなねちっこい、人間らしい関わりは存在しない。

極小の愛情空間と、貨幣空間だけでも生きていく事ができるようになった。というか、その逆で貨幣空間から追い出されてしまっても、政治空間が助けとして働いてくれなくなってしまった。

もちろん、貨幣空間の充実だけでも幸せになることはできない。

幸福

人間は幸福になるために生まれてきた。

しかし、その幸福の形が従来とは大きく異なっている。最終的に、現代人にも残された幸福は他者からの評判、承認欲求である。

これは、それ以外の何者と異なって、「飽きる」という事がない。

感想

今の世の中の仕組み(日本目線)を理解する事ができ、非常に面白かった。


よく、お金があるだけでは幸せになれないと言われるが、そうした場合に求めるべきものは何のであろうか。

長らく、そうしたことを考えてきたが、それに対する一つの答えを得る事ができたような気がする。

これからの時代、個人として、他者からの評判を獲得する方向でシフトしていく生き方が、合理的な選択肢である。

そうすることによって、政治空間と貨幣空間のバランスを保ったまま、評判を獲得し、ロングテールをショートヘッドにする事ができるからである。

最近、個人での発信者が増えているが、その背景にはこうしたものがあったのだろう。

とするならば、現在SNS上でインフルエンサーと言われているような人物が最も幸福な存在なのだろうか?

確かに、現時点ではその通りだろう。

ただ、将来的な設計として考えた時にそれを保てるのかどうかは、彼ら彼女らが構築した自身の仕組みによるものなのか。

また、日本な閉鎖的で、非常に批判のウエイトが大きい社会である。海外のインフルエンサーであれば、不祥事を起こしたとしても、それ以外の能力が優れていることによって認められるかもしれないが、日本では一点でも曇りがあれば批判を受けてしまう。

この点対処する事が求められるのだろう。

最も、現在でも炎上などをした後でも根強いファンを獲得しているインフルエンサーたちが存在しているので、そうした人々はもう怖いものがないのだろうか。

そうした、炎上さえなければ、こうした生き方が、本書の答えなのだろう。

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