小島/台湾映画同好会

台湾映画好きが高じて、2015年に日本未公開・権利切れ映画の自主上映を行う台湾映画同好…

小島/台湾映画同好会

台湾映画好きが高じて、2015年に日本未公開・権利切れ映画の自主上映を行う台湾映画同好会を立ち上げる。共訳本に『書店本事 台湾書店主43のストーリー』(サウザンブックス社)、翻訳本に『筆録 日常対話 私と同性を愛する母と』(サウザンブックス社)。

最近の記事

台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』掲載記事まとめ

12月22日公開の台湾映画『#赤い糸輪廻のひみつ(原題:月老)』公開に際し、本当にありがたいことにさまざまな媒体にてギデンズ・コー監督へのインタビューや作品紹介をしていただきました。以下に掲載情報、リンクをまとめてみました。ぜひご一読いただければと思います。 〇ギデンズ・コー監督インタビュー --オンライン掲載-- WEB ザテレビジョン(2023/11/02) Howto Taiwan(2023/11/16) CINRA(2023/12/22) ラジオNIKKEI

    • 遂に公開!台湾ホラー映画『紅い服の少女』シリーズ

       台湾のホラー映画ブームのきっかけとなった『紅衣小女孩』シリーズ2作品が今週末、邦題『紅い服の少女 第一章 神隠し/第二章 真実』として遂に日本公開となる。台湾での公開(第一章は2015年、第二章は2017年)から5年以上が過ぎた。  台湾で初めてホラー映画が作られたのは1970年代のことだ。当初は『聊斎志異』など中国の有名な古典小説の映画化からはじまり、1976年に台湾で初の現代ホラー映画『鬼嫁』が作られたが、戒厳令が敷かれた社会でホラー映画はその後ほとんど作られることは

      • おばあちゃんの「ガールフレンド」

        はじめに『私がホームレスだったころ』(白水社、2021年)の翻訳を手掛けられた橋本恭子先生にお声がけいただいて、今、『おばあちゃんのガールフレンド』という台湾の書籍を日本語翻訳出版するクラウドファンディングのプロジェクトにメンバーとして参加している。原題は『阿媽的女朋友』で、阿媽は台湾の言葉で血縁の関係あるなしにかかわらず「おばあちゃん」を、女朋友はガールフレンドを意味する。台湾で2020年に出版された書籍で、1998年に創設された台湾初の全島的なLGBTQ支援組織・台湾同志

        • 台湾映画を個人配給してみたけれど…

           2015年からこれまで、日本劇場未公開や権利切れなどで上映の難しかった台湾映画を何本か自主上映してきた。映画は著作物だ。逆を言うと、本編映像や字幕の著作権にまつわる権利処理と、上映素材の調達と上映会場の問題がクリアできれば、上映はできるということ。(かなりざっくりですが。)私はもともと映画業界の人間ではない、ただの「台湾映画好き」だ。好きすぎて、「なんでこの作品が日本で、日本語字幕で観れないんだろう?」という思いから今に至っている。  1日限り、1回限りの上映会は楽しい。

        台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』掲載記事まとめ

          本日公開。映画『レディ・トゥ・レディ』にはエンパワーメントという言葉がしっくりくる。

          翻訳出版を目指す『同性愛母と私の記録・仮』クラウドファンディング中にサンプルを見せていただいた映画『レディ・トゥ・レディ』が、本日よりヒューマントラストシネマ渋谷で公開されたので、劇場に見に行ってきた。 売れないアラフォー女優・一華(内田慈)は、番組の企画で競技ダンス大会に挑戦することに。相手探しが難航する中、ひょんなきっかけで選んだのは、高校時代に競技ダンスでパートナーを組んでいた、子育てと家事とパートに忙殺される主婦の真子(大塚千弘)だった(注:競技ダンスではジュニアま

          本日公開。映画『レディ・トゥ・レディ』にはエンパワーメントという言葉がしっくりくる。

          いま一度、翻訳出版で作品を日本に広める意義を考えてみた

          いま、サウザンブックス社と一緒に実施しているクラウドファンディング。 作品は、台湾のドキュメンタリー映画監督が、自分の作品を書籍化したものだ。どんな内容の作品かというと、長年母親と同居しているが、コミュニケーションを取らなくなって久しい娘(監督)が、母親のことを理解しようとカメラを向け、さらに母親の兄弟や恋人たちにも話を聞き、最終的に自分の思いをぶつけるという作品だ。ちなみに母親は女性が好きな同性愛者である。 書籍の方では、母親は女性が好きなのにどうして男性と結婚し、子供を

          いま一度、翻訳出版で作品を日本に広める意義を考えてみた

          「ないことにされてしまっている」を可視化したいと思った②

          現在実施しているクラウドファンディングに、シニア女性映画祭の皆さんから応援メッセージをいただいた。 「見えなくされてしまった」シニア女性の多様な姿をスクリーンに映し出し見える化するのが、この映画祭のコンセプトで、2017年にいちはやく台湾ドキュメンタリー映画『日常対話』を日本で上映した映画祭だ。 代表の三木草子さんが東海ジェンダー研究所発行のLIBRAに寄稿されたエッセイ には、すごく大事なことが書いてあった。 長い歳月をかけてできた顔のしわや白髪は、老木の美しさにも似

          「ないことにされてしまっている」を可視化したいと思った②

          さりげないシーンやせりふに涙・ゲイの少年たちを追ったドキュメンタリー映画『美麗少年』

          イメージフォーラム・フェスティバル2020で、1998年の台湾ドキュメンタリー映画『美麗少年』をようやく見ることができた。  2018年冬に51歳で急逝された台湾のドキュメンタリー監督ミッキー・チェン(陳俊志)が、10代のゲイの少年を追った作品だ。  南国のねっとりとした空気を漂わせながらも、どこか懐かしい90年代を背景に、3人のゲイの少年が登場する。いずれも10代。海外留学を前に、恋人との別れを決意する小羽、「おしゃべり女」と呼ばれる、ちょいぽちゃのモーガン。そして、売

          さりげないシーンやせりふに涙・ゲイの少年たちを追ったドキュメンタリー映画『美麗少年』

          女子の孤独を描く:『致親愛的孤獨者』

          『致親愛的孤獨者』は、若い女性の孤独がテーマの、2019年の台湾映画です。3話からなるオムニバス映画で、日本未公開作品です。 映画『致親愛的孤獨者』のストーリーと情報 第1話「小玉」 主人公の小玉は中学1年生の女の子。書店の隅っこでこっそり官能小説を読み、小説の中の登場人物を女子生徒に人気の男性教師・デイビッドに重ね合わせる――。 監督: 練建宏 出演:林慈恩(小玉)、鍾政均(デイビッド) 第2話「凱涵」 18歳の主人公・凱涵は、親の反対を押し切って屏東の家を出て台北の

          女子の孤独を描く:『致親愛的孤獨者』

          「ないことにされてしまっている」を可視化したいと思った①

           好きな台湾映画監督のホウ・チーラン(侯季然)が2014年に撮った台湾の歌姫ジョリン・ツァイの(蔡依林)の「不一樣又怎樣」という曲のMVがあるのだけど、この映像を初めて見た時の衝撃はいまだに忘れられない。  30年連れ添ったカップル。ひとりが病院に運び込まれ、緊急手術を受けなければならない。だが家族とみなされないパートナーは手術の同意書にサインすること認められず…という切ない内容で、何度見ても涙が出てくる。  どうして6年も前のMVを今更取り上げているのかというと、9月2

          「ないことにされてしまっている」を可視化したいと思った①