本日公開。映画『レディ・トゥ・レディ』にはエンパワーメントという言葉がしっくりくる。
翻訳出版を目指す『同性愛母と私の記録・仮』クラウドファンディング中にサンプルを見せていただいた映画『レディ・トゥ・レディ』が、本日よりヒューマントラストシネマ渋谷で公開されたので、劇場に見に行ってきた。
売れないアラフォー女優・一華(内田慈)は、番組の企画で競技ダンス大会に挑戦することに。相手探しが難航する中、ひょんなきっかけで選んだのは、高校時代に競技ダンスでパートナーを組んでいた、子育てと家事とパートに忙殺される主婦の真子(大塚千弘)だった(注:競技ダンスではジュニアまでは女子同士でペアが組めるそう)。かつてのコーチ・木村(木下ほうか)に指導してもらい、「空気を読めない」番組AD(清水葉月)に見守られながら猛特訓する、崖っぷちの二人。大会で圧巻の演技を披露した二人だが、前代未聞の「女性同士のカップル」の是非が議論の的となり、番組を放送するかどうかが大問題となる…。
『Shall We ダンス?』が大ヒットし、ウッチャンナンチャンの番組の社交ダンス企画を食い入るように見て育った世代としては、競技ダンスに挑戦!をテーマに劇中で『Sing,Sing,Sing (With a Swing)』が流れた日には、そもそももう、ワクワクしかないのである。
そんなダンス映画だが、それ以上に私が引きつけられたのは、一華と真子という異色のダンスカップルが周りに提示する、「多様性」とは何かという問いと、二人の存在にやがてエンパワーメントされていく女性ADの存在だ。この作品に描かれる多様性は、それを是とするものも非とするものも、私たちの生活の中にあるとても身近なものばかりで、あらためて、異質なものを非とする価値観に、無意識にがんじがらめになっているのかと気付かされる。
そして、今風の、ちょっとふわふわとしてつかみどころのないキャラクターの女性ADは、一華と真子の観察者として二人に密着するうちに、彼女なりの価値観を確立し、やがてそれは彼女を動かす大きな力になっていく。そんな女性ADに、今度は大会を終えいろんな意味で燃え尽きた一華と真子が動かされ、それぞれの答えを見つけていく。彼女たちがどう成長し、変化していくのかがこの映画の肝の部分になるので書かないが、社会的に問題を提起し、その答えを解くわけでなく、本当にそっと物語の中に様々な要素を潜ませる描き方が、たまらなくいい。
見ると、何度も涙が出そうになりながら、とにかく元気の出るこのスポ根(!)コメディ映画に、クラウドファンディング中の私はめちゃくちゃ救われた。そして今日、あらためてスクリーンでこの映画を見て、何度も笑い、涙を流しながら、映画館を出ることろにはリフレッシュして元気になった。
明日から(いや、来週から)も頑張ろうと思う。
少しでも作品に興味をもってくださいましたら、ぜひご鑑賞ください!
ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次公開中!
映画『レディ・トゥ・レディ』
2020年/日本/90分
監督・脚本:藤澤浩和
出演:大塚千弘 内田慈
新納慎也 清水葉月 朝見心 本間叶愛 オカモトジョージ 福田温子 山中敦史 九十九 一
生田智子 木下ほうか
(C)2020 イングス
公式サイト:lady-to-lady.net/
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