【11】「商標登録」と「登録商標」のちがいとは?(誤解あるある①)
こんにちは、商標弁理士Nです。
緊急事態宣言が出たら、本屋さんがまた閉まらないか心配です(涙)。
さて、今回は、普段「商標」にあまり関わることのない一般の方々がよく誤解している「誤解あるある」について、お話ししていきたいと思います。一応、「誤解あるある」はシリーズとして、今後もちょくちょくメイン記事の間に挟んでいこうかと考えています。
で、第1回は、「商標登録」と「登録商標」の言葉の違いについて。
皆さんは、商標に関する報道や(専門家が書いた)記事を読んでいて、「商標登録」という語と、「登録商標」という語の両方を見かけたことはないでしょうか?
一瞬、「これって何か違うの?」と思われた方もおられるかもしれません。
たしかに、これらの語のニュアンスは近いのですが、用語としては別物なのです。
ネット上での一般の方々の発言や文章などを見ていると、どうやらこれらを混同している人も少なくないようですので、違いについてお話しますね。
ではまず、「商標登録」から見てみましょう。
以前の記事でもお話ししたように、実は、商標法という法律の中に、「商標登録」の定義は書かれておりません。
そこで、極力わかりやすく言えば、以下のように定義できるとお話ししました。
その商標に権利を認めてもらうために、特許庁に登録をすること
「商標」を「登録」するから、「商標登録」というわけですね。
一方、「登録商標」については、商標法第2条5項に定義があります。
(定義等)
第二条
・・・
5 この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。
「登録」された「商標」だから、「登録商標」というわけですね。
つまり、ある商標があって、その商標を特許庁で登録することを「商標登録」と言い、この「商標登録」がされた商標を「登録商標」と言う、ということになります。
商標 ➡ <商標登録> ➡ 登録商標
こんなイメージでしょうか(笑)。
ポイントは、「登録商標」というのは「商標」だということです。
まぁ、両者を入れ替えても、だいたい意味は誤解なく伝わるとは思いますが、これらの違いを意識して発言したり、文章を書いたりできれば、わかる人には「この人は、商標についてよく知っているようだ」という印象を与えることができるでしょう。専門家ではないにもかかわらず、たとえばブログなどの情報発信でキチンと使い分けていたら、カッコ良いと思います。
ここをご覧いただいている方々は、自分で文章を書くことも多いかと思いますので、商標について何か話題にする際は、ぜひこの「商標登録」と「登録商標」の使い分けを意識していただけると素敵です!
今回はいつもより若干短いですが、このへんで。
次回は、「商標登録をすると何かもらえるのか?」という点について、お話ししていきます!
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