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Blurred Scars 

明けましておめでとうございます(1週間ほど過ぎてますが)

この展示は2022年2月展示

ペン入れは12月から始めています。

「そんなに掛かるものなのか?」と思われるかもしれませんが、それよりかかります。構想など合わせたら9月か10月なので4ヶ月ほど毎日考えています。

兼業作家なので仕事をしながらなのですが、移動中・家事・食事・・寝てる以外は大体頭の片隅で熟考しています。必要でしたらメモを取り紙が無かったらレシートの裏にでも書いているので手帳が膨らむときもあります。その全てが絵に活かせるとは限りませんが、制作する上で思考の裏付けになるかもしれません。

構想でもこれだけ時間が掛かりますが、構想に必要な脳内の引き出しには生まれた時からの記憶や感情などのメモが有ります。それを引き出しから出して頭の中で構想するとなると大した時間です。

しかし制作される作家方々全て、小さなハガキサイズの絵を一つとってもその方の生い立ちや考え方その全てが反映されます。
・・簡単な作業とはいきませんね。

最初のラフ

2022.1エスキース

この展示に出展しようと思った時にコピー用紙書いた最初のラフです。

「傷つき胸が裂けるほどの痛みでも、時が経てば花となり癒される」

そんなイメージで描いたものだと記憶しています。

「作品はほぼ日記」

作品について聞かれると良く答えます。

今回の作品のテーマが「傷」

とかく私は傷つきやすい。

人の言葉で傷つき、傷ついた自分に失望して傷つき

気を抜くと隣で泣いている人の傷やあるいは悲しみも知らず背負いこむ気質。ここ最近では【繊細さん】というらしいですが・・そうかもしれません。

私が絵を描く背景には自身の気質と折り合いをつける為の自己カウンセリングみたいな意味合いもあるので、この絵の背景も「私の傷」です。

2枚目のラフ

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高校時代に人と木が融合するスケッチを描いていて、気に入ったので今まで持っているのですが

「傷を癒し合う」

という意味合いで恋人たちの設定を思いつきました。

人に愛情を注ぐ時に思いつく事は「寄り添い合い、助け合う」

今の私にとっては願望の様なものです。

しかし、傷ついた時の情景を思い出しこの胸の苦しさと空虚感に対峙すると疑問が生じました。まだこの願望を描けるまで回復していないと気付いたのです。

その願望のまま突き進めばいいのですが、創作した物語ではなく・・その傷が癒えていないのであれば描けるわけはありません。

また一からやり直し。

また「傷」と向き合う日々に戻ります。

3枚目のラフ

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自身の作品の中に「倒木」を描いた作品があります。

自身の感情をイメージすると

「渇き」

というフレーズがいつも出てくるのです。その渇きを描くには倒木が自分には合っていると思い数年前から描き始めました。

虚無感とは体の形が崩れそうなほど、力が消えるほどの脱力感。

身体の水分=血など枯れ果てて崩れそうなその今・・その時

思い返すと不意に涙が溢れる時もあるのですが、それは後悔という言葉では表せない不可思議な感覚としか言いようがありません。

下書きをトレーシングペーパーに描きケント紙に転写する際も、その時の気持ちを丁寧にすくいあげ時に形を変える作業をします。

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背景の木は自身の思考

「渇き」「悲しみ」といってもそれに辿り着くには苦悩と感情と記憶があります。それは縦横無尽に伸びる枝の様に絡まり伸び果てが無い

「何故そうなった」
「何が悪かった」
「どうすれば良かったのか」

そんな言葉が頭を駆け巡る感覚に近いでしょうか・・

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結構苦しい作業ですが、これから生きていく上で自身の「傷」と向き合うのはとても大事な作業だと思います。

私にとって向き合う作業は「描く事」

ペン入れが終わり全ての作業が終了した頃に些細ではありますが

「あの時の傷」が癒えている様に願いながらいつも制作しています。


今現在ペン入れ作業、佳境です


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制作過程



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