【読書メモ】『黒田官兵衛の情報学(インテリジェンス)』(著:宮崎正弘)
少し前、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議からの「最終とりまとめ」が出ていました(令和6年1月19日付)。メンバーを拝見したところ『情報と国家』や『経済安全保障』の北村滋さんのお名前もあって、ふむふむと。安倍さん肝いりの国家安全保障局(NSS)の局長を勤められていた方でもあります。
こちらは、日本が「普遍的価値観を共有できる陣営」であり続けるために必須の法案、高市先生肝いりの情報保全強化の施策でもあり、防衛・外交のみならず、経済・技術にまで広がり続けている「安全保障」の範疇を補っていくためにも必要なものとなります。明確な理由を提示することもなく、ただただ反対する方々はまぁ、お里が知れるってものでしょうかね。
なんて考えながらふと『黒田官兵衛の情報学(インテリジェンス)』との一冊を思い出しました。確か大河ドラマで黒田官兵衛をやっていた時期に、友人の結婚式(2014年6月頃)で訪れた姫路の本屋で購入、この他にもいわゆる「官兵衛本」がたくさん平積みされていた覚えもあります。
信長、秀吉、家康と移り変わっていった戦国期、その中を「情報」を武器として生き抜いた人物としての黒田官兵衛像を描き出そうと試みている内容、といったところでしょうか。
まさしく今の時代にも通じる概念と思います。戦国時代の最終的な勝者ともされる徳川家康も決して百戦百勝だったわけではなく、三方原などでは武田信玄相手に大敗しています。その理由はひとえに「情報」を活用できなかったから。そして、痛い目を見た後の家康は、再チャレンジを重ねて文字通り生まれ変わっていくことになります。
家康の足跡を追いかけつつ、あわせて「現代の日本の状況」への警鐘を鳴らしながら、わかりやすく描き出しているのが個人的にはスルッと肚落ちしてきた覚えが。戦国時代ものとして読むと少し肩すかしになるかもしれませんが、現在と紐付けながらの官兵衛像という点は、なかなかに新鮮でした。
本書自体は10年前に発行されたのですが、その時から比べると、安全保障の範疇は防衛・外交のみならず、経済、技術、情報、思想等々、ますますに拡大の一途をたどっています。今現在は「認知戦」との言葉もだいぶ浸透してきてはいますが、できれば「痛い目」にあう前に情報活用のフレームをきちんと運営できるようにしておいてほしいところです。
そしてこちらは、なかなかに示唆的な記述でもありました。八百万の環境下でいるとなかなか実感はできないのですが、「一神教の思想の下では「戦争」は絶対に終わらない」なんて言い方も、確かになぁ、、と、イスラム教やキリスト教、共産主義等の排他性を鑑みながら、左右、属性問わずに全体主義化した連中には注意をしておきたい所です、、卑近だとれいわ新選組や日本保守党という政治団体などがあがってきますかね。
余談ですが、信長、秀吉、家康と担い手が移り変わっていった戦国期、応仁の乱で疲弊しきった既存社会へのカウンターを始めた信長と、形を変えながらもその系譜を受け継いでいった秀吉、家康たちの姿に、戦後レジームからの脱却を担った安倍さんと、その想いを引き継いでいっている、菅さん、岸田さんの流れを重ねてみる事が増えてきてもいます。
やはり、安倍さん、早すぎましたよ、、
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