ゼクシィのキャッチコピーが天才な理由
「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです。」
ゼクシィという結婚をメインに扱っている雑誌が出したキャッチコピーだ。
まじで最初見たときは天才かと思って椅子から転げ落ちそうになってる自分がいたような気もする。
いなかった気もする。
さて、このキャッチコピーを見た瞬間、あなたは何を思っただろうか?
大半の人が、おおお、と思ったのではないだろうか?
では、その感心した理由は一体なんであろうか?
...
こういうキャッチコピーの何がすごいとか、言語化するのは案外難しいものである。
しかし、僕はなんで自分がこれを見てすごいって思ったのか少し考えてみた。
すると、なんとなくだがこのキャッチコピーのすごさがわかった気がしたので、とりあえずそれを書いていく。
前半部分に注目。
まず、最初の「結婚しなくても幸せになれるこの時代に」について考えてみよう。
え?でも待って。
ゼクシィって結婚をメインに扱った雑誌ちゃうかった?
そんな雑誌のキャッチコピーの最初が、「結婚しなくても幸せになれる」だと...?
自分たちの会社がメインに扱っている結婚というイベントは、選択しなくても幸せになれるんですよって。
結婚してもしなくても、今の時代は幸せになれるんだよって。
この選択肢が与えられていることで、不快感が取り除かれていることにお気づきだろうか?
まず、ゼクシィというのは既婚者が手に取ることを想定していないだろう。
では誰が購入するのか。
そう私たち未婚者である。
その未婚者の今ある立場を、ゼクシィは最初に肯定してくれたのだ。
考えてみて欲しい。
「結婚まだしてないの!?」とか「一人って辛いよね。」みたいな始まりだったらどうだろうか?
もちろん結婚したい!ゼクシィ買いたい!って思ってる人なら「そうなの、まだ結婚できてないの、早くしないとやばいよね!!」と購買意欲を掻き立てられるかもしれない。
しかし、結婚願望が強くない僕からしたら、そんなこと言われたら「結婚以外にも幸せはあるぞ、おん?」って反感したくなるだろう。
しかし、ゼクシィは僕たちを一旦肯定してくれているのだ。
つい僕も「おうおう、今の生活も十分幸せやぞ(ニヤニヤ)」みたいな感じになってしまう。
でもこんなん読まされたら、じゃあ今幸せやし結婚せんでもええか!ってなってゼクシィを買う人が減るかもしれない。
しかし、キャッチコピーというのは一文と短いから効果を持つのであって、前半だけ読んで後半読まないなんてことは稀だ。
要するに、ゼクシィは最初に『結婚しなくても幸せになれるんやで』って言っても、続きを読んでもらえる自信があったのだ。
そして、続きを読んでもらうことで、前半部分を覆すほどのインパクトを与える自信があったのだ。
後半部分に注目。
さて、後半部分は「私は、あなたと結婚したいのです。」
もうこれヤバすぎるやろ。
要するにあなたと結婚した方が、結婚しなくても幸せやけど、もっと幸せになれるということを暗に伝えてるのだ。
でも、暗に伝えるって言っても表現はめちゃくちゃストレート。
「私は、あなたと結婚したいのです。」
まさかのプロポーズでそれを表現してきたか、と、、、
こりゃやられたでしょ、流石に。
しかもこのキャッチコピー、誰も傷つけてないのだ。
結婚してない人を結婚してる方に誘導する雑誌である以上、もちろんその誘導に反感を覚える人だって一定数いるはずだ。
しかし、ゼクシィはこの短文で両者の立場を尊重することに成功している。
しかも、より幸せなのは結婚したいと思える方ですよって。
プロポーズしたい人目線で語ることで、どこか上からな感じも一切しない。
既婚マウントを取られてる感じがない。
ただシンプルに、結婚っていいなあって思える。
それがこのキャッチコピーが天才である理由なのだ。
そして、結婚をまだしてない人に向けて最後はこう締めくくる。
「まだここにない出会いを、リクルート」
まとめます。
ゼクシィは天才。
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