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リモートワークを通じて見えてきた今後のオフショア開発のあり方

2020年2月の半ばとう比較的早い時期から、うちの会社ではリモートワークを始めてきました。
それとほぼ同時期にインドでのオフショア開発の手伝いも始めました。

リモートワークとオフショアを同時に初めて見るとオフショアは働いてもらう相手先の国と言語が違うだけで結局リモートワークの一種なんだということがよくわかってきました。

この約3ヶ月ほどのリモートワークをしたことで感じたことをオフショアにも活かせるのではないかと思いまとめてみました。

そもそもリモートワークを通じて何がわかったか?

まずはリモートワークをすることで何がわかったか?を書きたいと思います。これは他の人もさんざん書いていきているので、同じような内容になりますが、僕自身が今体感していることをまとめてみました。
小規模かつウェブ系の会社の経営という視点からみたものです。

1. 曜日、時間での勤務の概念が薄くなった

今までは会社に勤務して10:00-19:00までと決めて働いていましたが、リモートワークではそれが少しずつ崩れてきました。
まず、曜日の感覚が薄れてきたので、週末でも時間があれば働きますし、逆に平日は休日みたいに感じながら仕事をするときもあります。
また、子供が家にいる状態では、子供が起きる前と寝たあとの時間を有効的に使うために朝すごくメールしたり、夜も遅くにやりとりすることがあります。

お客さんからも変な時間にメールが来ることが多々ありますが、昔は長時間労働しているなとか感じていたこともあまり思わなくなりました。

2. 社員に対する時間コミットの気持ちが減った

とはいえ会社のルールとしては10:00-19:00で働いてもらうことになっています。
リモートワークを始めたときは時間に対してやはりきっちり働いてほしい気持ちが大きかったですが、今はその気持ちが少し弱まってきました。
時間中ずっと働いているかを監視することはできないし、そうすると監視するほうもされるほうも、オフィスで働いていたよりも余計が気を遣います。
1日7時間働こうが8時間働こうがどちらでもいいのかもしれません。
むしろ時間というよりも、結果何をしたか、期日までにできたかどうかを気にするようになりました。

3. 社員の力量に任せることが多くなった

上記のこととも関連していますが、今までオフィスで気軽に声をかけていたことが今はできなくなり、社員の力量に任せて仕事を進めてもらうことが多くなりました。
逆を返せば、全部こちから細かく指示をださなければ仕事ができない人になると難しいのかもしれないです。

総論としてはリモートワークを通じて、どれだけ働いたか?ということよりも何をしたかの結果を重視されることが多くなりました。

近年働き方改革とよく言われ、長時間労働の廃止、リモートワークの推奨などいろんなことが言われていましたが、ある方面では改革が進み、ある方面では逆に戻ってしまった感もあります。
よくも悪くも新たな働き方改革が行われているのでしょう。

リモートワークのあり方をオフショア開発に当てはめるとどうなるか?

そして上記に述べたリモートワークの考え方がどのようにオフショアのあり方に影響するかというと、以下のようなことが起こると予想します。


1. 時間拘束から成果主義へ

オフショアチームのコントロール方法として日本の勤務時間に合わせるなどの方法をとっている場合が多いです。
その場合、成果物というよりはその時間はきっちり働いてもらうという契約になっています。
もちろんクオリティにこだわるのが重要ですが、修正部分があれば翌日の勤務時間で直してもらういうやり方です。
さきほど書いたようにリモートワークではその逆の考え方が浸透しています。時間拘束というよりも結果重視。
オフショア開発にも同じように成果物を重視する傾向が出てくると思います。


2. 大量生産から少数精鋭へ

こちらはリモートワークになったこととは関係ないと思われるかもしれないですが、今後大きく関係してくるのではと思っています。
リモートワークでは労働が時間の単位ではなく、個人の能力が重視されるとさきほど述べました。
そして今までオフショアで行っていた多くの作業が「単純作業」「安く」「大量に」というのものが多かったです。

それらはきちっとした仕様を渡して、それ通りに制作していくという過程が多いのですが、このリモートワークを通じて、そういった指示や制作の過程が少しずつ変わってくると思います。
つまりオフショア側にもそれなりに独自で考え、自分たちで動いてもらうという風潮が広がっていくと予想します。

その場合には大量の同じ生産量がある人達よりも、少数の「自分たちで考えて動く」というチームが重宝されるようになるでしょう。


3. 長期雇用から外部委託へ

今までは海外に支店を作り、そこで大量の社員を抱え、こちらからの作業を問題なく引き受けるという感じのところが多かったのですが、相手側にもっと自由度を与え、子会社というよりも独立した外部委託先としてのオフショア先が出てくるでしょう。

これはいくつか要因があるのですが、まずは今後の経済のあり方が大きく影響すると予想します。
今のこのコロナウィルスの状態では先行きが不透明であまり大きなチームを抱え込むことを嫌う傾向がでてきます。
そして上記2番のリモートワークを通じて少数精鋭のチームを求めるようになり、海外のチームを長期雇用するというよりは案件に応じてチームを組んでもらい、案件ごとに契約するという形です。
つまり日本の会社の下請けというよりはより外部パートナーとして自立した組織に仕事を発注するという方向になります。


新しいオフショア地としてのインドの可能性

果たしてそんなある意味都合のいいオフショアとの関係ができるのでしょうか?日本国内のリモートワークでもいろいろと試行錯誤が行われているのに、海外にも同じような考えをあてはまめるのは難しいのでは?と感じるでしょう。
僕はインドのオフショアにひとつの方向性を感じています。
ではインドでの働き方はどのような特徴があるか紹介していきます。

1. 成果主義が浸透している

アメリカから多く仕事を受けているという影響もあるのかもしれないですが、ものを完成して納品することが仕事だという認識がかなりあります。
日本でいうとこれは当たり前じゃないかと思うかもしれないですが、納品というよりは時間分だけ働くというオフショアも多い中で、この考えかたはとても重要だと思っています。

かなりブラックな言い方になりますが、納品するまでは時間などは関係ないという考え方ともいえます。
基本は自らの責任で完成させるという責任感が強いということです。


2. 基本提案することが好き

こちらからの仕様に対して、いろいろと提案してきます。
プログラミングでいれば、よりシステム全体を理解するためにもっとソースコードを公開してほしい、あとは今まで書いていたコードを別の書き方に変えたいというような内容です。

これは好き嫌い分かれるところですが、基本は今の内容をいかによくするかを考えての提案です。
仕事を受動的ではなく、能動的に取り組んでいるという意味ではお互いの信頼感も得やすいです。


3. 労働基準が全国で統一されていない

こちらもかなりブラックな意味を含んでいますが、日本のように全国で統一的な働き方の基準がありません。どのように働くかはお互いに契約を結ぶときに細かく決めます。
なので、勤務時間、勤務日などどのように働くかはその人次第になります。

双方が契約で納得できればいいので、一般的な世の中での働きの比較はあまりありません。むしろ今から経済が伸びていくインドでは、契約をひとつでも多くとって、よりよい暮らしに邁進していけるほうが彼らにとっても満足度が高いのかもしれません。


オフショアを進めるにあたっての課題

ではインドチームと契約して彼らに仕事を任せればなんでもうまくいくのかというと決してそうではありません。
言語の問題、仕様を伝えるための書類の問題、細かなコミュニケーションの問題と、もちろん日本国内でのリモートワークよりも大変なことがたくさんあります。

その中でも僕が一番難しいと感じるのが信頼関係を築く問題です。
こちらから独立して、ある程度フレキシブルに動いて、責任感を持ってもらえるオフショアチームを作るのはそんなに簡単なことではないと思っています。

そして、そのチームとのとの信頼関係を築くのは最初はやはり会って話をすることです。
僕も今お願いしているインドチームとは、最初にインドを訪問し、彼らと話し、食事をし、ある程度仲の良い関係ができてこそ成り立っています。

今コロナウィルスの影響でリモートワークもかなり主流になってきていますが、そのリモートワークに至るまでの過程ではやはり人と人とが会って信頼関係を築かないと始まらないのかなと思っています。
もしかしたらそういう雰囲気もすでに変わりつつあるのかもしれませんが、、。

最後に、以前の記事でインドのプネについて紹介しています。
今後日本でも注目されるであろうITの街なので、よかったら参考までにみてください。今すぐに訪問できる時期ではありませんが、今後のオフショアのパートナー探しやインド進出に向けておすすめの都市のひとつです。


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