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自分に利のあることしかしないと言う人が、「もう十分利益は貰っている」と言ってくれた

私のバイト先には、面白い人がいる。

その人は、情報哲学を専攻する大学院生である。

その人は、不思議なことをよく言う。

その人が誕生日の時、「誕生日おめでとうございます。」と伝えたら、

「生の量を見るか、質を見るかっている考え方は昔からあるけど、自分は量に価値を見いださないので、(誕生日を迎えたことは)めでたくない」と言われた。

この前「”愛”とは信仰だ」とか言い出したときは、何かと思った。

その先輩に仕事上何かしてもらって「ありがとう」と伝えても、「自分は自分に利のあることしかしていないから、(別に感謝されることではない)」と言われる。

本人曰く、「自分には心がない」らしい。

ここまで聞くと、なんだかひんまがった人だと思うだろう。

確かに、そうなのかもしれない。

でも、別に冷たい人ではないのだ。

ふつーに優しいし、ふつーに面白いことも言う。

このあたりは、実際に接してみないと分からない部分である。


少し前、私はその人とまめに連絡をしていた。悩んでいたこともあったりして、”なんとか頑張らなきゃ”と思っていたときのことだ。

その人から、自分にとっては、”励まし”だったり、”応援”だったりする言葉をもらった。

私は、「優しい言葉をくれてありがとう。気遣ってくれてありがとう。」と伝えた。

彼はやっぱり、「自分に利益のあることしかしていないから、気にしなくていい。」と言った。

私は、私の話をしたことが、彼にとって何の利益になるか分からなかった。だから、「(私の話を聞いて)私に優しくしても、(その人に)利があるか分からない。」と伝えた。

そうしたら、

その人は、

「もう利益は十分に貰っている。」

と言ってくれた。

私はなんだか、”自分の存在に利益がある”と言ってくれたように感じた。

分からない。

私はその人の真意は全く分からない。

それでも、私は彼の言葉に優しさを感じるし、

ただひたすら、私は、とても嬉しかった。





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