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消費者の揺るがない「低価格志向」

今回はファッション業界の「低価格志向」について取り上げます。


本記事のライター K

○なぜ低価格志向になるのか

人間の生活の基本は「衣食住」だとよく言われますね。この「衣食住」の中で収入が減った人は、まずどの部分を削っていくでしょうか。

私はまず衣料品から支出を抑えていくと思います。大抵の人は洋服を1年間買わなくてもある程度の数の服を所有しているので困ることはないと思います。毎シーズン服を買う人は、趣味であったり嗜好品として買う人がほとんどだと思います。

○ファストファッションの流行

消費者の低価格志向には、ファストファッションの流行も大きく影響しています。

ファストファッションとは、短いサイクルで大量の低価格の衣料品を供給するファッションビジネス業態のことを指します。商品の移り変わりが早いため、顧客を飽きさせずに何度も店に足を運ばせることができます。最新のファッションは値段が高く、一部の人しか対象にしていないというファッションの常識を覆したのがファストファッションでもあると言えます。

このようにファストファッションが進化していく現状が、安くてもおしゃれができるからわざわざ高い洋服を買わなくてもファストファッションで十分満足できると考える人が増えてきていると感じます。

また、同時に、低利益率の低価格商品を大量に売ることで利益を得る、いわゆる「薄利多売」のビジネスモデルのため、作られた服の大半は処分されている現状もあります。

○なぜ低価格で売ることができるのか

ファストファッションはSPAを多く取り入れています。SPAとは製造から販売までを一貫したビジネス形態です。

SPAは消費者のニーズに素早く対応できることから、無駄がなく効率的な販売業態だと言われています。自社内で一貫生産を行うため、コストをギリギリまで抑えることができるという強みもあります。大量生産を行い大量に売っていくファストファッションとSPAの相性は非常に良いといえます。

○ファストファッションのデメリット

消費者の目線で見れば、最新トレンドのアイテムが低価格で手に入るので、大衆に支持されているのかもしれませんが、実は良いことばかりではありません。タイトルにもある通り、消費者の揺るがない「低価格志向」がファッション業界に闇をもたらしています。

ファストファッションは生産コストを、限界まで下げて大量生産しています。

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経済産業省「生産動態統計」

上のグラフは経済産業省の「生産動態統計」から引用したグラフです。

国内供給量は年々上がっていっているにも関わらず、国内の市場規模が徐々に衰退していっています。
つまり、需要と供給が一致しておらず、過剰に生産され処分される服が年々増えていることになります。

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経済産業省「家計調査」

こちらは、総務省の「家計調査」によるグラフです。

全世帯における、1枚の服にかける金額が、1990年台から半減しています。
ファストファッションの流行で、衣服1枚あたりの値段が安くなってしまったのは間違い無いでしょう。

大量生産による衣服の寿命の短期化や、大量消費という根強い問題が社会に根付いてしまっています。

○環境汚染

さらに、ファストファッションが与える環境汚染が深刻な問題になっています。

マイクロプラスチックの大量消費です。

マイクロプラスチックとは5㎜以下のプラスチックの粒子のことをいいます。このマイクロプラスチックは石油由来であり、自然界に流れ出たとしても自然分解されず自然界に残り続けるものになります。

それがやがて川や海に流れ着き、蓄積されていくことが海洋汚染として問題になっています。

○脱プラスチックアイテム

「低価格志向」により環境汚染が深刻化していることを受けて、アパレル業界では脱プラスチックのアイテムが増えてきています。

CHANELなどのハイブランドから、ZARA、ユニクロなどのファストファッションブランドまでが商品や容器、包装で脱プラスチックを進めています。

○自分達にできること

ここまで読んでくださった方は洋服に興味があったり好きな人が多いと思います。自分の好きなものが衰退していったり、環境にとって悪影響になっていることは悲しいことだと思います。

自分に何ができるのかを少しでも考えながら行動していくと、いい方向に進むんじゃないかと思います。

お金はあまりないけど洋服を買いたい人は、ファストファッションではなく、古着を選ぶのも1つの手段です。最近は、おしゃれな古着屋がたくさんあります。「低価格」を選ぶしかない状況でも、できることがたくさんあります。

比較的良い洋服を買える人は、生産のプロセスにも配慮された良いものを大事に着こなしていきましょう!

○まとめ

消費者の揺るがない「低価格志向」についてまとめました。

「低価格志向」によって起こっている環境問題を変えていくために、このnoteを見て下さった方の意識が少しでも変化していれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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