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『homesick』とは

自身の楽曲にhomesickというタイトルの曲がある。今思ってもこの曲に費やした時間も言葉も、今まで製作したなかで最も色濃いものだと自負している。B5ノートに時系列もバラバラで、その時々の感情を詩的にしたり、殴り書きだったりおおよそ1冊分にも及ぶ一見繋がりのない『点』のような言葉達がたった一人きりで沢山の街に旅していた最中に少しずつ少しずつ『線』のように繋がって完成させていった曲だ。6分にも及ぶこの曲は削ったり、足したりをしながら3分半ほどまで縮まり2018年の5月くらいにようやく完成した。(2017年11月くらいから歌い始めたけどその頃とギターのニュアンス変えたり、尺を縮めたり、言葉を変えたりしながらその日その日心の最高記録を更新していくように変動していっていた)それについては別途note.にまとめているので下記URLを参照してほしい。


まず僕がこの曲に宛てたものは恋愛的要素とかではなくて、もう会いようがない人、顔向けできない街や場所、素直にもなれないし、強がって遠くの街にいってまったく違う人間になってやると息巻いて実際に自分の足でたどり着いた場所、この目でみた景色を踏まえて最後の最後に僕なりの結論をだした名指しできない『愛の唄』である。失恋だったりとかもちろんあったし、半ばヤケになっていたあの頃の唄でもあるからそういう恋愛唄としての要素が0ではないが、そこが主題ではなかった。
聴いてくれる人にどう伝わっても勿論いい、ただ自分自身そこをはっきりとしたかった。僕にとってhomesickになるあの感情はもっと混雑した感情があって、そこをどうしても大事にしたかった。
でも『他の人にとってのhomesickとは』どんなものなんだろうとふと興味が湧いた、そこで友人にこう質問した。

アナタにとってのhomesickとは?

そこでその人の実体験を踏まえた話をきかせてくれた、その人は一人暮らしをしていたその街が第二の故郷で、そこにはいつでも帰っておいでと待ってくれている人々がいる。けれど今の不甲斐ない自分が帰ることができないなという甘えられないこんなんじゃ帰れないなっというあの気持ちが自分にとってのhomesickと語ってくれた。

正直この意見には強く惹かれた、僕自身もそうだったしだれかと共有した時にやっと言語化できなかった言葉をみつけれたようで嬉しかった

homesick=帰りたい
homesick=帰りたいけど帰れない感情

homesick=帰りたいをもっと深く掘り下げたらこのように日本語に訳すことができるのは非常に美しいなと思った。それを知ってもっともっと知りたくなった。そこで僕は自身のTwitterでこのような公募をしてみた。

随分と長い前置きになったがこの記事の本題はその公募に投稿していただいた内容をここに書き出して共有させていただくことだ。
この質問箱というのは匿名で投稿できるシステムで本来なら匿名の質問者からの質問を返すのが正しい使い方だが今回はその匿名システムを逆手に使って公募した。決して数が多くはなかったが1日の募集で複数個投稿をいただいたので今回はそれらをアップしていく。

Q.アナタが思うhomesickを教えてください

①あの場所に降る雨の匂い

これはその人にとって言葉や感情より情景が真っ先に浮かんでそれに加えて匂いがその感情と直結されているということで解釈しました。匂いって呪いみたいなものですよね、タバコだったり、香水だったり、灯油の匂いだったり、季節の香りだったり。ノスタルジックで感傷的な瞬間だからこそ、鮮明ではないボヤけた瞬間を表していてこの人にとってのhomesickを象徴する言葉だなと思いました。

②私のhomesick、長くなったのでLINEで送りますね。

おそらくは知り合いが投稿してくれたものかとはおもうのですが、2019.01.12 AM03:00現在LINEから連絡がきてないので恐らく今も書き続けていることでしょう。。。もしかしてこうやって届かないという事象自体を『homesick』として表してくれたのかも。。。。?
(追記しますんで投稿してくれたアナタからのご連絡お待ちしております)

** ③私の思うhomesickは、手紙の封筒です。開けてしまった封筒は進んできてしまった時間と同じく不可逆です。私の為にこの手紙を書いてくれる人が居た事実をまざまざと思い出させるのに、その人はもう居ないのです。会いたくても会えない、声も匂いも顔ですら思い出せないのに、手紙をもらったという思い出だけを連れてくる。あの人の筆跡で私の名前が書いてある、たったこれだけの事の為に捨てられない封筒が、もう戻れないあの人との思い出に重なって、だって「あの人」は大好きなおじいちゃんやおばあちゃんで。だから私は、文箱を開けて封筒を眺めてはhomesickにかかるのです。**

まるで小説を読んだあとの様な余韻が残る投稿で、これは「愛」がテーマだけれど恋愛ではない部分が書き出されていて、深い愛情という繋がりと「生と死」という命の別れをhomesickという感情で描かれていて、物語の中の人物とのエピソードがより鮮明に儚い叶わない逢えない部分を弱さではなく亡くなった人がこれからも生きていくアナタへ手向けた『強さ』を託してくれたものなんだなと読み解くうちに感じました。『文箱を開けて封筒を眺めてはhomesickにかかるのですと』締めくくられていますがそこには決してネガティブな感情だけではなく『儚く強き愛情』がアナタに芽吹いているというのがなによりもこの物語の『答え』だなっと思いました。homesickという過程とその結末の一つをみれて良かった。


④ 戻れなくなった居場所と綺麗な思い出と昔の自分を思い出したとき

この戻れなくなったというのは上記にも書いた『帰りたいけど帰れない』という状況で、『昔の自分を思い出したとき』と綴られているようにまだ物語の途中途方に暮れているようにおもいました。①~③までは一つの物語が一度完結したシーンが思い浮かぶような投稿でしたがこちらの投稿者さんの物語はまだ続きがありそうですね。道はつづくものですからね。


⑤homesickになるのならそれはそこで愛されていた証拠なんだと思います。

僕はそういうことに気付けずにずっと見栄張って強がって、誰にも愛されないんだと存在を忘れてもらいたい旅のでていました。前途した通り『帰りたいけど帰れない』というのは一度とびだしたら最後、のうのうと帰ってくることが許されない気がしていて、その道中完全に帰る場所を見失ったんですよね『待ってくれている人』が誰もいないんだと勝手に悟って。
この投稿者さんは『待ってくれている人』側の投稿していてくれてすごく盲点でした。待っている人もまた心配や寂しさ、喪失感を抱えて生きているんですよね。


投稿いただいた方、この場を借りてにはなりますが応募いただいて本当にありがとうございます。人それぞれ無くしたくないもの、忘れたくないもの、叶わないもの、戻れない場所、状況もシュチュエーションもことなるそれぞれの物語をみれたようでまるで短編小説ができあがったみたいな感覚。

どうでしょう、これをすべて読み終えたアナタが思い浮かべるhomesickはどんなものですか?ここには綴られなかったアナタの物語があるはずで、それを偽ったり強がったりせず、いつかアナタのhomesickが聞けたらいいなって思ってる。『帰りたいけど帰れない、逢いたいけど逢えない』のその先をいつか聴かせて欲しい。

長くなったけど読んでくれてありがとう。

tuna

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