紡衣 Tsumugi

普段は全く違う分野の文章を書いています。現実と空想のはざまにあるショートストーリーをち…

紡衣 Tsumugi

普段は全く違う分野の文章を書いています。現実と空想のはざまにあるショートストーリーをちらほら。 /ライター/エッセイスト/絵本作家/

マガジン

  • 【ショートストーリー】うさぎ組の恋愛事情

    小説とエッセイのはざまのような文章を書いています。恋愛事情をあれやこれやと。

  • 【エッセイ】私の徒然なる独り言

    このマガジンは、私の本当にどうでも良いような独り言・つぶやきのまとめです。少しはマシなことを呟けるように日々努力。

  • 心に響いた文章まとめ

    素敵だな、すごいな、共感したな、面白いなと心に響いた文章をまとめています。文字のチカラは素晴らしい。

最近の記事

新年の始まり2022

ぼんやりしていたら、あっという間に2022年も5日が経っていた。 もったいない。残り360日しかないじゃないか。そんなことを考える私は、せっかちなのか、ぐうたらなのか、自分でもわからなくなる。 昨年のテーマは「原点回帰」。自分のもっているものを見直して、価値を見つめ直す。私の周りにいる人たちを見渡して、本当に大切なひとと、ただただ心地よさだけで一緒にいてしまったひととを選別する。感情だけに左右されない、自分だけの価値観を見直す。そんな1年。 書いているのは、ショートの小

    • 世の中はこんなにも色で溢れているのに

      「いいお天気だな」 彼女の家について、車を停めた。昨日の雨が嘘のように今日は、心地よい青空だ。この天気だったら、少し遠くまでドライブもいいかもしれない。いや、久しぶりに目黒のあのイタリアンで、昼間からワインを飲む方がいい休日になるだろうか。  今日1日の行動について、ぼんやりと考え始めた。せっかくの休みに、せかせかするのは好きではない。休日とは、心を休めるためにあると言いつつも、常に仕事の連絡が舞い込む携帯を操作しながら、僕は、心地よい時間を過ごすための方法を頭の中で想像し

      • チープなドラマの主人公になった

         1週間前の出来事を思い出してみる。 道端で突然声をかけられた。 「こんにちは。」ショートカットでこざっぱりとした、でもどこかしら気品の漂う妙齢の女性を見つめ返して、どこであったのか頭の中で記憶を探した。「夫がお世話になってます。」笑っているような怒っているような曖昧な表情の女性は、そう言葉を発してから、駅の方へ歩き出した。 心当たりがあるとすれば、「夫」と言っているのが、多分私が付き合っている彼のことだと結論を出すまで、頭の中が混乱して、5分ほどかかった。寝耳に水とはこん

        • 相手に求めても無駄なのです 自分の機嫌は自分で取ろう

           もう2時間にもなる。私の目の前でジョッキのビールを握り締めている友達は、多分3回目であろう同じ話に入りかけている。 「やっぱり、おかしいよね。仕事が不規則だからって、次会う日がわからないとか。この間だってさ、2週間も前から温泉行くって約束してたのに、3日前になって、やっぱり無理だって。私のことなめているとしか思えないよね」彼女は、残りのビールを飲み干し、お代わりを注文した。 「家にだって入れてくれないし」「この前だって、たったの2時間だよ。会ったの。」「いつも私の家にくる

        新年の始まり2022

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        • 【ショートストーリー】うさぎ組の恋愛事情
          10本
        • 【エッセイ】私の徒然なる独り言
          1本
        • 心に響いた文章まとめ
          0本

        記事

          終わらない距離感を壊したくないから、今日も私たちは日常を過ごす

           朝起きて、まだ寝てるらしい彼の顔を見つめながら、平和な朝を幸せに思った。起こさないように、そっとベッドを抜け出し、シャワーを浴び、昨夜の余韻を洗い流す。  部屋に戻ると彼はまだ目をつぶっていて、もう一度ベッドに戻ろうかちょっと悩んだけど、結局、仕事にいくためのシャツとスカートに着替えた。  「ご飯でも食べようよ」彼からの提案で、私の家に集まったのは、昨夜の21時。私たちの集合時間はたいてい遅い。 「何作る?」  もう夜も更けていくという時間だけれど、テーブルにはまだ、

          終わらない距離感を壊したくないから、今日も私たちは日常を過ごす

          東京の空

          気がつくと私は、いつも R のボタンを押している。 オフィスは7Fにあるのに、そのボタンを素通りして、Rを押すのは、もはや習慣化しているのか、逃避なのかもわからない。 オフィスの入っている古いビルは、屋上がある。それまで、8年の間、このビルで日常のほとんどを過ごしているのに、知っていたのは、自分のオフィスの空間だけだった。 平日の昼間に屋上の鍵が空いていることを偶然知ったのは、確か2年前だ。 Rのランプがついて、開いたエレベーターのドアの先に重い扉を開けると、そこにある

          ふとスイッチを入れた

          朝起きて、天井を見上げて、ふとスイッチが入った。 「今日からダイエットしよう」 体重は、コロナの季節から着々と増えていて、私の平均体重より3kg増しが続いている。ダイエットもそうだけど、物ごとのスイッチが入るのは、突然起きる。 いつもいつも思考が頭の中を錯綜していて、混乱していて、巡り巡って、言葉がダダ漏れしている中で、ある時ルービックキューブがちーんと音を立てて(あれは音は出ないけど)、色が揃うように、ある朝、ふと何かが心の中で決まる。あの感覚は不思議だ。 彼と別れ

          ふとスイッチを入れた

          食事をすることとセックスは似てる

          (上のショートストーリーもよかったら・・・) 恋愛対象に何を求めるかと言われれば、迷わず「食の好み」と答える。肥満なのか、鍛えているか、薄毛なのか、フサフサなのか、この年になるとそんなことはどうでもいい。ルックスなんて、眼と鼻と口がついていれば、大差ないとさえ思ってしまう。そんなことで条件をつけるぐらいなら、私が見たいのは、生きてきた人生と価値観だ。  20代そこそこは、価値観だってジェットコースターのように変化する年頃で、影響されることも影響を与えることもできる。でも、

          食事をすることとセックスは似てる

          「もしかしたら」を重ねたら

           カキフライが嫌いだ。カキフライと言うよりも、牡蠣に火が通った食べ物が嫌い。 それなのに、今日は、カキフライが無性に食べたい。そんな気分になって、仕事の手をとめた。大体、いつも仕事中に思考の邪魔をするのは、自分の食欲だ。「お腹がすいた。」と言うゴングが静かに鳴らされ、頭の中は、それまで考えていた新規顧客の獲得方法や新しい事業の構想から少しずつ、食べ物に浸食されていく。  しばし、考えた末、頭の中に浮かんでいるのは、恵比寿にある古い定食屋のカキフライだということに気づいた。定

          「もしかしたら」を重ねたら

          40歳だって恋をする

           寒い夜だから、赤身の肉と相性の良い美味しい赤ワインが飲めたらいいな。そんなことを思いながら、待ち合わせ場所に向かった。  シンプルな薄い黒のニットに、織りが気に入っているロングのスカート。細身のショートブーツ。ノンブランドの小ぶりの茶色いレザーバッグ。アクセサリーはごくシンプルに。リングは、グレーに光る天然石がついた細いゴールドを。コートは極シンプルなオフホワイトを選んだ。持っているアイテムから、なるべく当たり障りのないチョイスをしたのは、知り合ってから初めてのデートだか

          40歳だって恋をする

          スパイスな夜

           「小説家は、毎日波乱万丈な人生じゃないとやってられないね」唐突にエビアンを飲みながら、彼が呟くので、「そうなのかなぁ」と考えてみる。 考えてみれば、平和で幸せぼけしているときなんて、頭がお花畑のような美味しそうな料理の投稿ばっかりしていて、言葉なんて何も紡げない。  ただただ、「幸せだー」しかなくて、半年くらい前の私の投稿は確かにそうだった。 女子なんて、案外単純なものだと思う。目の前の人が大好きで、目の前の人が大好きでいてくれることを確信できれば、仕事がうまくいってな

          スパイスな夜