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今年はどんな年になるだろう/穏やかにゆるやかに、そして健やかに

少し寒いです。今日は新しい年なんだとあなたが言いました。新しい年は、ときどきくる。寒くなると、くる。おめでとう、とあなたは言いました。おめでとう。まねして言いました。それからまた少しぎゅっとしました。

川上弘美「おめでとう」

1月1日の、あのすっきりと晴れ渡った朝の青空が好きで、窓を開けた。
毎年思い出す、川上弘美の「おめでとう」の一文を思い出しながら晴れ渡った空を眺める。私の2024年が始まった。今年はどんな年になるだろう。

去年の今頃は、まさか自分がこんな気持ちで2024年を迎えるなんてことは予想していなかった。大抵、人生は自分の予想を越えて展開していく。

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思えば、コロナ禍からの数年は私の人生の中でもかなりしんどい時期だった。

体調を崩してしまい思うように仕事ができなくなったり、転職しても職場での疲労が取れず、それまでずっと好きだった趣味に没頭できなくなってしまい、ぼんやりと日々を過ごしていたりした期間。見えなくなったキャリアと将来について悶々としている時期が長かった気がする。

そんな、今思うとけっこうしんどかった時期がようやく2023年に抜けて、振り返ると昨年はとても楽しい1年だった。

読めなくなってしまっていた小説を久々に年始から読み始め、行きたかった場所にどんどん行き、数年ぶりの一人旅をし、夫と旅行をし、エッセイを書き、チャレンジしたかった仕事にチャレンジし、引っ越し先を決めた。

秋の始まりからは、体調が思うようにいかない妊娠生活で色々あったけれど、人生で味わったことのない感情に触れたり、夫婦での新たな喜びを味わったり、何だか濃密な1年だった、と思う。

年末に夫が「(お腹の中の子を)守ってくれてありがとうね」と言ってくれたことが何よりも嬉しかったな。頑張ったわ、私たち。

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年末に友人とLINEをしながら、「ほんと、うちらよく頑張ってるよねぇ」とメッセージを打った。数年前の友人との写真を見返していたら、何だかしみじみと「頑張ったわ…うちら…ここまで…ほんとに…」という気持ちになったのだ。

「日々頑張ってるよね、私たち!一緒に歳をとってくれてありがとう」

そんな温かいメッセージが返ってきて、心が柔らかくなった。年を重ねて嬉しいことのひとつは、こうして人生を誰かと共有できていること、かもしれない。「ほんとにうちらよく人生頑張ってるわあ!」みたいな気持ちって、やっぱり年を重ねて来たから感じる感情なのかも。そして、そう言い合えることのできる友人を持つことができて幸せだなぁ、としみじみしてしまう。

クリスマスは、友人から可愛いクリスマスカードが届いたり、安定期に入ったお祝いで友人がお菓子やカフェインレスの紅茶をたくさん送ってくれたり(これ、嬉しすぎたな…)、ポストを開けて胸が温かくなる12月末だった。

私もそんなふうに誰かの心にそっと寄り添えたらいいなぁと思い、今年は久々に友人たちへ季節のお便りを書きたいなぁなんて考えている。

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年末にばっさりと髪を切った。

学生の頃は、頻繁に髪型を変えたり、髪色を変えることが好きだったのだけれど(なんであんなに頻繁に変えていたのだろう?でも、それが楽しかったのだ)、めっきり社会人になってからそんなことは減って、もう何年も担当してくれている美容師さんには「あ…いつもの感じで…」とオーダーすることがほとんどだった。

こんなにばっさりと20センチ以上カットするのは本当にいつぶりだろうか。いつもよりずっと軽くなった頭と心で街を歩くと、心なしか足取りも軽くなっている気がする。

30歳という節目と、もうしばらくは美容室に気軽には行くことが難しくなってしまうだろうという実用的な理由で久々にばっさりと髪をカットしたのだけれど、やっぱり外見の変化は自然と心にも変化をもたらしている気がする。鏡を見ると、ちょっとまだ見慣れない自分がいるけれど、それもまた新鮮。

変わらない美しさ、みたいなものももちろんあると思うのだけれど、30代、あまり頑なになりすぎず、たまには変化も取り入れていく柔軟さみたいなものも忘れずにいたいよね。何事もバランスが大事なのかも。

いつの間にやら「いつもの私」という外見に安心感を覚えてるようになってしまっていたけれど、たまにはちょっと変化を加えてみるのもいいね、なんて思ったりする2024年1月1日。今年も、穏やかにゆるやかに、そして健やかに暮らすことができますように。






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