見出し画像

久々に創作小説つくったった……。(ネタ枠)


はい、あんどんです。

最近は色々追われて自分の創作小説を書いていないな〜と思い、急遽ショートショートを一筆してみました。


……てな訳でちょっと即興小説描いてみました。
(思考時間 1時間程度)

テーマは……そう、水の星地球としよう。(最近雨が多いので)
そして主人公は『知の女神ミューズ』としますかな。
(知の女神とかカッコ良さげだったから)

ポクポク……ちーん。(完成ッ!)

てな訳でいきなり始まった、あんどんより創作小説『ミューズの消失』をお送りいたします!
それではどうぞ〜。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ねぇ、聞いたかしら? ミューズがいなくなったらしいわよ」

「もちろん知ってるわよ、だって貴女も私もミューズじゃない……」

私は少し呆れたそぶりで目の前のミューズに答えた。

ミューズとはギリシャ神話にある知の女神のことで、一説には9人いたとされている。

その内のひとり……いや、既に5柱が行方不明になっていた。

恐らく目の前の彼女もそのことを知っているのだろう。

だから、半端者のミューズである私なんかに声を掛けたのだ。

目の前のミューズは口調を荒げた。

「何言っているの、ミューズだからこそよ!いくら貴女が格下の女神だとしてもミューズなのよ!怖くはないの?」

彼女は『ミューズ』が消えている状況が怖いと告げた。
そんな彼女を私は心底不思議でたまらない。

「……私には貴女の方こそ理解できないわ。だってそうでしょう?地球ではあらゆる神という神がいなくなり、もう私たちしか残っていないのだから」

そう、地球に神々は既にいない。
あらゆる方向へ旅立ち、散っていったのだ。

時間と空間を隔絶された天界、地獄界はもとより、異世界、魔界、果てには宇宙外世界にまで神々は去っていった。

恐らくだが、もうそろそろ輪廻界すらも地球との縁が途切れかかっている……そんな状況なのだ。
むしろ顕現している私たちの方がおかしいのではないか、とすら思っていた。

「何で私が消えなきゃならないの!?私は何を差し置いても必要な存在なのに、何でぇ!?」

騒ぎ混じりの問いかけに私は冷ややかな視線を向け告げた。

「例えば……」

「っ!?」

喚くミューズのノイズが止まる。

彼女が格下の私の存在をハッキリと認識できる様に、強めの言霊を放ったのだ。
そして私は静かに語り始めた。

「例えば、地球で一番大切な存在が水だとしましょう。でも、その大切な水のことを殆どの人間は知らない。ああ、ここでは科学的なことを言っているのではないわ。もっと単純な話……地球の水がどれだけあってどこに向かっているのかの話だけよ。ねぇ、知の女神様?私にもわかる様に説明してくださる?」

「…………そんなの些細なことじゃない!」

ミューズの答え。
私は聞きたかった声を聞き微笑む。

「そう、些細なことよ。恐らく人々は意識すらしていない。でもわかる? 地球上の水全ての内、一日一滴ずつ存在すら消失していたら?」

「それは!」

「そう、分からない。でも一番大切なのにそれすらも分からないから神々は消えた。たまたま私たちが最後だっただけなの……。でもそうね、私の方が先に逝きそうだわ」

「え!何でよ!」

「だって貴女、人間っぽいもの。最後に気付く役目を残されていると思うわよ?」

「ッ!! 格下のクセに、最低のミューズは貴女じゃない!!」

「そうね、私は最低のミューズ。でも貴女の様に人間ではないわ」

「え? あっ!!」

しまった!と言わんばかりに、目の前のミューズが驚愕な顔をしている。

そう、私は強めの言霊と共に彼女の権能を失わせる様に仕向けたのだ。

神権能を失わせるのはただひとつ、神の役割を失わせれば良い。
今回は、知のミューズとしての役割をひとえに終わらせたのだった。

目の前のミューズだった女性はうめく。

「こんな簡単なことで女神でなくなるの!?」

「そうよ、知識を神格化する時代じゃないから知の女神は不要なの。でも滑稽よね、知の女神だったから地球に最後まで存在できたのも事実なの」

失うではなく終わらせた……、つまり役目を果たした女神ミューズは世界に権能を返還し、最適な生命体、つまり人間へと還元したのだった。

今の世の中、正しい知識でも、間違った知識でもない。
さらに進めば芸能の知識も役目を終えるだろう。

私たちに求められるのは目の前のことの処理方法だけ……生きるだけの解決方法でもない選択をした地球人のもとには、既にAIという代替物が根を下ろしていた。

ーーーーまもなくAIは羽化をするだろう。

その時に知の女神ミューズはどうなるのか。
役目を終えるのか、新たな知識が芽生えるのか。
私はそれだけが知りたかった。

私はミューズーーーー。

知の女神が知識を欲する限り、私は私のために存在し続ける……、それがこの地球に残されるであろう、最後の女神の願いとなっていた。

そんな楽しみを胸に抱いたミューズはひとり、密かに嗤うのであった。

〈了〉

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
とまあ、気の向くままに執筆いたしました。
いや〜、創作って本当にいいモノですね。
と、往年の台詞に倣って今回は締めさせていただきます。

ではでは。

この記事が参加している募集

私の作品紹介

ありがとうございます。 いただいたサポートは、全力でクリエイターの活動費にあてさせてもらいます。 そしてサポートしていただいた方に還元される記事を作るために、恥じない成長のある記事を書ける様に努力いたします。改めて感謝をお贈りいたします。