連日の酷暑は侮れない【音声と文章】
山田ゆり
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※note毎日連続投稿1616日をコミット中! 1550日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
連日の酷暑は侮れない
をお伝えいたします。
私は一人で来たことに後悔していた。
これは娘に助けを求めた方がいいのかもしれない。
周りが田んぼだけの道を切るようにバイバスとの交わりの交差点に付いた。
やっと、帰り道の半分までたどり着いた。
横断歩道の向こう側に陽炎が見えた。
ここを渡れば民家が立ち並ぶ私の集落だ。
あと少し。
その日、専業農家の亡き夫が畑に放置していた自転車を取りに行くため自宅を徒歩で出た。
畑は草がぼうぼうで、素肌を出した格好はできない。
長袖長ズボン、長靴。それに農家のおばちゃんがかぶる帽子、とげのある草を握っても大丈夫な特殊な厚い手袋。
畑を来年の3月から貸すことになった。
畑には夫が残したたくさんのものが置いてある。
だから畑を片付けなければいけない。
以前は我が家に軽トラックがあった。自転車を運ぶにはそれが必要だが、夫が亡くなった時に売却した。
だから自転車を運ぶには徒歩で畑を往復するしかなかった。
私はお昼直前の時間に家をでた。
なぜ、そんな時間帯を選んだのかというと、錆ているボロボロの自転車に乗っているところを他の人に見られたくなかったからだ。
でも、この判断は間違っていたと家を出てすぐに分かった。
長袖長ズボンのこの格好でこの炎天下を歩くのは自殺行為だった。
日差しが背中を痛いほど刺した。
厚いゴム製の手袋は、それだけで体温を上昇させた。
私はゾンビのようにのろのろと畑に向かった。
自分の背丈くらいの草が生えた畑にやっと到着した。
この間よりも草が生えていて、カマを持ってくればよかったと反省した。
私は手で草を割りながら進み、長いビニールハウスの渋い戸を開けた。
すぐ目の前にトラクターがあった。
私は中に進み、自転車を探した。
この間は向こうが見通せたのに今日は草で視界が遮られていた。
草を分けて見渡したが自転車はない。
あ、そうか。自転車はこっちではない。
短い方のビニールハウスの中だった。
ボウボウの草は私の判断を鈍らせた。
私は入り口に戻り渋い戸を力いっぱいに閉めた。
そしてまた草を割って進んで隣のビニールハウスの中に入った。
自転車はすぐに見つかった。
これこれ。
私はその自転車を持ち上げて持って帰ろうと思ったが、見ると車輪にたくさんの草木が挟まっていた。
それをむしり取り自転車を引っ張り上げた。
自転車を転がしながら持って行こうと思ったが、長く伸びた草が車輪に絡まりタイヤがうまく回らない。
仕方なく私は自転車を持ち上げながら畑の外まで進んだ。
全身の血が頭に集まってくる感覚があった。
これはアブナイ。早く帰ろう。
やっと車が通る道路まで自転車を持って来た。
血圧はかなり高い数値になっているだろうと察しがついた。
血圧が測れるスマートウオッチをしてくれば良かったとチラリと思った。
タイヤは両輪ともパンクしていた。
それは想定済みのことだった。
しかし、後ろのタイヤが回らない。
見たらライトが内側に曲がってしまっていてそれが車輪の中に入って邪魔をしていた。
私はライトの根元を握って向きを変えようと試みたが全く動かなかった。
仕方ない。
私は右手で後輪を持ち上げ、後輪の方を腰で受けとめ後輪を地面から浮かして、左手で前輪のハンドルを持ち進むことにした。
ハンドルまでの距離が自分の身長に対して長く、これは身体に無理がかかる態勢になった。
行きも大変だったが、自転車の後輪を抱えながら歩く帰り道は、もっと難儀だった。
途中、何度も自転車を下ろして体をほぐし、また後輪を右手で持ち上げて自転車を運んだ。
後で知ったがその日の最高気温は34度だった。体感温度ではきっとそれ以上だったと思う。
バイパスの交差点が向こうに見えてきた。
歩道の信号が青だった。
普段は駆け足でいけば渡れる距離だった。
しかし、ゾンビ化した私は走る気力が失せていた。
自転車を持ちながらそろそろと歩く。
青の信号が点滅しだす。
それを見つめながらぞろぞろと歩く。
まだ交差点に届かない。
信号は赤になり、逆の道を車が激しく往来する。
次の青の信号までには間に合わせたい。
ズルズル私は進む。
やっと信号機のところまで到着した。
ふーぅっとため息をつく。
すると新鮮な空気が一気に脳に入ってきたような気がした。
すぐに信号が青になった。休んではいられない。
照りつける日差しから早く逃れたい。
私はまた自転車の後輪を持ち上げながらゆっくりと横断歩道を渡った。
思ったほど前に進めない。
止まっている車の人に自分が見られていると思うと恥ずかしい。
早く渡りきりたかったが自転車が重くて途中で信号機が点滅しだした。
いつもは数秒で渡りきれるのに今日はそれができない。
やっと渡りきった。
私は自転車を一旦下ろし、また大きなため息をついた。
もう少しで2つ目の信号機だ。
それを渡り切れば家まであと少し。
私は自分に渇を入れてまた前に進んだ。
2つ目の信号機にやっとたどり着いた時、意識がもうろうとしてきた。
これはアブナイ。早く帰ろう。
最後の力を振り絞って自宅についた。
一気に疲れが出てきた。
私は自転車を庭の端に倒した。
もう、どうでもいい。早く家に入りたい。
倉庫で長靴を履き替えて我が家の玄関のドアを開けた。
スーッと涼しい風が私を迎えてくれた。
一気に私の身体は軽くなった。
私はすぐに水を飲み、着替えをした。
戦場から帰還し、鎧を脱いだ、そんな気がした。
仏間に座布団3枚を並べタイマーをかけて横になった。
私はすぐに真っ白な別世界へと入って行った。
夕飯を食べながら自転車の事を娘たちに話したら
「自分ひとりでやろうとしないでちゃんと、頼ってよ!」と叱られた。
あんなに頑張ったのに。褒められはしても叱られることはしていないつもりだったのに。
でも、娘たちの言う通りだ。
自分は大丈夫と、つい、勘違いしてしまう。
連日の酷暑は侮れない。
今回は
連日の酷暑は侮れない
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。
山田ゆりでした。
P.S.
8月11日までに4冊目のkindle出版をすることをコミットします!
その制作過程を有料グループチャット
【ゆりのkindle制作の裏側】でお見せしています(*’ω’*)
詳しくはこちらのnoteをご覧ください。
↓
https://note.com/tukuda/n/naf56c832a19b
◆◆ アファメーション ◆◆
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。
私は愛されています
大きな愛で包まれています
失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています
.。*゚+.*.。.。*゚+.*.。゚+..。*゚+
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む、
どちらでも短時間で楽しめます。
おはようございます。
山田ゆりです。
今回は
連日の酷暑は侮れない
をお伝えいたします。
私は一人で来たことに後悔していた。
これは娘に助けを求めた方がいいのかもしれない。
周りが田んぼだけの道を切るようにバイバスとの交わりの交差点に付いた。
やっと、帰り道の半分までたどり着いた。
横断歩道の向こう側に陽炎が見えた。
ここを渡れば民家が立ち並ぶ私の集落だ。
あと少し。
その日、専業農家の亡き夫が畑に放置していた自転車を取りに行くため自宅を徒歩で出た。
畑は草がぼうぼうで、素肌を出した格好はできない。
長袖長ズボン、長靴。それに農家のおばちゃんがかぶる帽子、とげのある草を握っても大丈夫な特殊な厚い手袋。
畑を来年の3月から貸すことになった。
畑には夫が残したたくさんのものが置いてある。
だから畑を片付けなければいけない。
以前は我が家に軽トラックがあった。自転車を運ぶにはそれが必要だが、夫が亡くなった時に売却した。
だから自転車を運ぶには徒歩で畑を往復するしかなかった。
私はお昼直前の時間に家をでた。
なぜ、そんな時間帯を選んだのかというと、錆ているボロボロの自転車に乗っているところを他の人に見られたくなかったからだ。
でも、この判断は間違っていたと家を出てすぐに分かった。
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私はゾンビのようにのろのろと畑に向かった。
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私は手で草を割りながら進み、長いビニールハウスの渋い戸を開けた。
すぐ目の前にトラクターがあった。
私は中に進み、自転車を探した。
この間は向こうが見通せたのに今日は草で視界が遮られていた。
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あ、そうか。自転車はこっちではない。
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ボウボウの草は私の判断を鈍らせた。
私は入り口に戻り渋い戸を力いっぱいに閉めた。
そしてまた草を割って進んで隣のビニールハウスの中に入った。
自転車はすぐに見つかった。
これこれ。
私はその自転車を持ち上げて持って帰ろうと思ったが、見ると車輪にたくさんの草木が挟まっていた。
それをむしり取り自転車を引っ張り上げた。
自転車を転がしながら持って行こうと思ったが、長く伸びた草が車輪に絡まりタイヤがうまく回らない。
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私はライトの根元を握って向きを変えようと試みたが全く動かなかった。
仕方ない。
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行きも大変だったが、自転車の後輪を抱えながら歩く帰り道は、もっと難儀だった。
途中、何度も自転車を下ろして体をほぐし、また後輪を右手で持ち上げて自転車を運んだ。
後で知ったがその日の最高気温は34度だった。体感温度ではきっとそれ以上だったと思う。
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もう少しで2つ目の信号機だ。
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私は自分に渇を入れてまた前に進んだ。
2つ目の信号機にやっとたどり着いた時、意識がもうろうとしてきた。
これはアブナイ。早く帰ろう。
最後の力を振り絞って自宅についた。
一気に疲れが出てきた。
私は自転車を庭の端に倒した。
もう、どうでもいい。早く家に入りたい。
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一気に私の身体は軽くなった。
私はすぐに水を飲み、着替えをした。
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あんなに頑張ったのに。褒められはしても叱られることはしていないつもりだったのに。
でも、娘たちの言う通りだ。
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連日の酷暑は侮れない。
今回は
連日の酷暑は侮れない
をお伝えいたしました。
本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。
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8月11日までに4冊目のkindle出版をすることをコミットします!
その制作過程を有料グループチャット
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