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少し時間を巻き戻して...

窓辺にて
微かに揺るる風鈴に
音与うるは風つくる箱

エアコンの
風にもチリリ応えます
自然の風と分け隔てなく

*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*.....*....

これはほんの一週間程前に詠んだ歌です。
今は大分涼しい風が吹くようになり、窓が開けられるようになりましたが、その頃まだ日中はものすごく暑くて閉め切った部屋に遮光カーテンまで引いて、エアコンのきいた部屋で長ーい時間を過ごす毎日だったのです。

密閉された空間が苦手な私は閉塞感に嫌気がさして、息苦しい、頭が重い、自然の風に当たりたいと、心の中で散々駄々をこねていたんですね。

そんな時、チリリ・・・
微かな音を耳がキャッチしました。
あれ?風鈴だ...とそちらを見ると、エアコンの風を受けて窓辺の風鈴が揺れていました。

あれ?そうか...
自然の風でなくても風鈴って鳴るんだ!
... って当たり前ですよね?
こんな馬鹿げた感想を抱くほど、その時の私は駄々をこねるのに忙しかったのだと思います。

でも、あれ?っと思った時、ハッと我に返りました。
人工の風であれ、自然の風であれ、区別することなくチリリと応える風鈴がしなやかな心の持ち主に思えて...
(物に心があるかどうかは分かりませんが)
『そんなのどっちだっていいじゃん?』と、まぁるい身体を揺らしているように見えたからです。

風が吹いている日なら、それがどんなにぬるくても自然の風を感じている方が私はずっと楽です。
でもその頃は風がなく、エアコンに頼らざるを得ない状況でした。
仕方なく使っているという意識がそうさせるのか、エアコンのおかげで涼しく過ごさせてもらっているのに身体によくないものだと決めつけて、何とか抵抗しようとふんばっていたんですね。
そんな力みがふっと緩んだ瞬間でした。

それでもなお自然の風が恋しかろうと感じてしまったのは、完全に私の心の投影です。

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