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【roots】少年期 《三章》あの部屋へ

確かにこのドアだ。開けた方が良いのかな?
オーウェンが言っていた。怖い事が沢山待ち受けていると…この部屋の事だと感じる。
ドアに手を掛けて、ペリカンの曲を口ずさんだ。
負けないで行ってみよう。何かを見つけるんだ!
ルーク、ルーカスありがとう!

ドアを開けたら部屋にランプが20個くらい並んで光っていた。前は一つで薄暗かったのに。
これって僕の心の中の光か…。明るいって気持ちいいな。部屋の真ん中まで歩いて行った。
「オイ!オイ!なんで光を増やしてるんだよ」
あ、アイツだ。
「君の言う通り、色々みた結果だよ」そう言うとまた一つ明かりがついた。部屋が明るくなる
壁のタペストリーにドラゴンが描かれていた。
思わず側に駆け寄り「ドラゴン!乗ってみたいなぁ」と口に出した。ピン!ピン!ピン!と電球を鳴らしてランプがついた。
「なんだって⁈」マントの男が何か言い掛けると部屋の奥にあるドアが開いてもの凄い風が部屋の中を駆け巡った。僕は精一杯足を踏ん張りドアの方を見た「空だ!!」ドアの向こうは空だった。その瞬間大きな叫び声がしてドアの向こうにドラゴンが現れた。
吸い込まれるようにドアの端まで行き、間近で見るドラゴンの大きさに震えた。
ぐっとお腹に力を入れて「5!4!3!2!1!ジャンプ!!」と叫んでドラゴンの背にしがみついた。
ドラゴンはゆっくり旋回してドアから離れた。
こんな事が起きるなんて!!ドラゴンに乗っている。首に回した手が温かい。僕が落ちない様に気を配ってくれているのがわかる。
優しいんだね。ありがとう。
グングンと飛び続けて大きな山の頂きにそっと降りてくれた。2人並んで座って街を見下ろした。
空が広々として気持ち良く。深呼吸をした。
街が小さく見える。あれが僕の住む街?
世界はこんなにも広くてどこまでも果てしなく続いている。知らなかった。
「知るってすごいな。人があんなに小さく見える,世界は広い。教えてくれてありがとう」
ドラゴンに言うと。ドラゴンは小さく炎を吐いた。
「僕は自分を知ろうとしてなくて、動き出す勇気も持って無くて、新しい事をしてみる好奇心も失っていて。あぁ…何も見えなくなっていたんだな…」
お城と美しい滝も見えた。緑多き美しい街だ。
「小さくなって生きていたら何も得ることは出来ないんだね」
ドラゴンは翼を広げてバタバタと返事をしてくれた。
「この先、僕は変われる…」願い事のように小さく口にした。
ドラゴンは体を低くして背中に乗れるようにしてくれた。
「うん。戻ろう。次に行くんだ!僕が誰だかわかるために!」ドラゴンの首にギュッとしがみつくと一気に急上昇した。雲の中を駆け抜けてゆく!
僕は体から湧いてくるこの気持ちがとても心地よくて。思う存分空の旅を楽しんだ。

to be continue…

今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀

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