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【roots】老年期 《29章》旅で得た物・2

昨日の続きから

リリー!!救急箱を!!」オーウェンが地下から声を出すとリリーか走って来た。
「オスカー!?怪我してるの?どこ?どうしたの!」リリーがオスカーの頭や顔から体にふれてオスカーはやっとハッと我に帰った。
「リリー、僕じゃないんだ。友達が…」
「あら?お友達なの?こんにちは。電気つけないと暗いわ」リリーがスイッチを探したがなかった
「確かにここじゃ…上に上がるか」とオーウェンがオースティンを背負って上に上がることにした。

*****
ぬるま湯で傷口を洗って薬を付けて包帯でグルグル巻きになったオースティンの足をオーウェンがさすって「良く我慢したな!痛み止め。飲んで少し寝たら良い」と言った。
「オースティンは今日から俺の家の居候だ。安心してまた明日会いにおいで」とオスカーの頭をグリグリと撫でた。

オースティンを昨日オスカーが寝ていたベッドまで運んで布団を掛けると「オースティン、ゆっくり休んで。オーウェンはライオンなんだ。強くて優しい。心配しないで」オスカーの言葉に
「ライオン?え?…あぁ…明日。明日聞くよ」
とオースティンはふかふかの布団に吸い込まれるように体が重く眠くなっていった。
「またね」「ありがとう」
オスカーは静かにドアを閉めた。気配を感じると
すぐそばにリリーが涙を溜めて立っている。
「心配かけてごめん」リリーとハグをした。「おかえり」

リリーはクッキーを袋にいれてシャーロットに持たせてくれた。
「デイブの奥さんはルビーよ。とっても明るくて優しい人。心配しないで大丈夫よ。明日2人でまた来てね」と言ってくれた。
「ありがとうございます。オースティンをお願いします」オスカーは頭を下げて、シャーロットの手を取った。
デイブが「よし、行こう!ルビーが待ってるよ」とオーウェンの家をあとにした。

「嬉しいね。オスカーが2人も友達を連れて帰るなんて。想像を超えて来たな!」とデイブは弾んで言った。あと5分でデイブの家かと言うところにルビーが立っていた。
「ルビー!!」オスカーが手を振るとルビーが勢いよく走ってきた。
「オスカー〜〜〜〜〜!!何?何があったの?
デイブが突然!突然よ!行かなきゃって家を飛び出して行ったのよ!!もう何事って!!」
と叫び散らして地団駄踏んだ。
デイブがまぁまぁといなしても
「どうしたの?血!?怪我したの?意地悪されたの?」ルビーがバタバタバタバタ手を動かして落ちつかない。
「僕じゃないよ。友達が撃たれて」
「う?う?撃たれた?どこに行ってきたの⁉︎」
ルビーはパニックでもう倒れる寸前。
ところが、フッとシャーロットに気付いて
「あ、あら?女の子?女の子と帰って来たの?
まぁ!可愛い。あら、ごめんなさいね。騒いで」
と急に落ち着いた。やれやれとデイブが微笑んで。
「ルビー、家で話そう。もう大丈夫?」と聞いた。「ごめんなさい。取り乱しちゃって。」とルビーがシャーロットにニッコリ笑いかけると
「シャーロットです。突然にすみません」と頭を下げた。
「いいの。良いの!大歓迎よ」とルビーはシャーロットの両手を握って目を閉じると。
次はオスカーの手を握って目を閉じた。
「はい。これで大人しく歩けるわ」と言ってきびすを返して歩き出した。
ワハハとデイブが大笑いして「ルビーはいつでも賑やかだな」と嬉しそうに言って追いかけた。
オスカーはシャーロットに微笑みかけてもう一度手を取って歩き出した。
仲良く笑い合って歩く2人の背中を見て。
あぁ、ここが安心できる場所だなと確信した。

家のドアを開けるとあのスープの匂いがした。
「ルビー!いい香りだよ」オスカーが靴を脱ぐ前に言うと「帰りは明日ってわかってたんだけど今日もう作っちゃったの。ちょうど良かったわ」
とルビーはぴょんと跳ねて台所へ行った。
オスカーとシャーロットはふふっと笑って顔を見合わせた。
デイブが「シャーロット、入って」と声を掛けた。

*****
4人でソファーに座ってデイブが話し出した。
「僕はデイブ、妻のルビー、そして同居人のオスカー。三人家族だよ。いやでなければシャーロットも我が家に住まないかな?」
「シャーロット、私も60年前にデイブに一緒に行こうって言われてコチラに来たのよ」とルビーが続けた。
「それについては長くなりそうだな」とデイブが笑った。
「ご迷惑では?」
「全然。シャーロットが良かったら。気にしないで」と2人はニッコリ笑った。
「疲れてない?一休みしてから夕食にしましょうか?」ルビーが言うとオスカーが
「シャーロットの部屋を作ってあげても良い?」と言った。
「名案だな、二階が良いか?」とデイブとルビーが立ち上がり皆で階段を登った。
「二階に上がるの初めてかも」とオスカーが言うと「確かに一階で事足りるからな」とデイブが言った。
「テラスがついた部屋はどう?」ルビーがシャーロットを連れて行ってくれた。
ベッドと小さな机が置いてある。
「可愛い。景色も良いです」
「じゃあ、決まり」
「オスカー一階の物置から布団を運んで」
「そうだ、ランプあったね。」
「可愛いやつね」デイブとルビーも嬉しそうにあれこれ運んで来た。
あっと言う間に過ごしやすそうな部屋になった。
シャーロットは温かなランプの灯りにホッとした。その様子に
「部屋で休んでも良いし、下でまた話しても良いし。気を遣わないで過ごしてね」とルビーが言うと「じゃあ、休ませていただきます」とシャーロットが答えた。勢いでここに来て。少し落ち着いて気持ちを整理したかった。
「さぁ、布団に入って」
ルビーがシャーロットに布団を掛けてポンポンと優しく叩いた。
「おやすみ」と三人が揃って言って、シャーロットが笑った。

下に降りるとオスカーが「迎えに来てくれてありがとう」とデイブとルビー、それぞれとハグをした。デイブは「呼んでくれてありがとう」と言って微笑んた。
ルビーは「偉かったわ!お友達の命を助けたんだもの」とオスカーの背中を撫でた。
「僕はこれから聞くんだから、ルビーは言わないでよ」とデイブが注意した。ルビーはさっき2人の両手を握って全てを見ている。
ルビーはシーっと人差し指を立ててお茶を入れに行った。オスカーとデイブはそれを見てクスッと笑ってもう一度ハグをした。

to be continue…

今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀

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