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【roots】少年期 《序章》花の教え

むせるような甘い香りに目を開けると花に囲まれていた。
夜は明けていて、明るい陽射しに朝露が草花を喜ばせている。
軽やかな笑い声があちらこちらから聞こえていた。
「ちょっと。踏んでる!」
頭の上から声がして見上げると、見たこともない美しさの真っ白な大きな花が怒った顔でこちらを見ていた。
驚きと美しさにたじろぎながら
「す、すみません!」と言って
乗っかっていた大きな葉から体をずらした。
花は葉をパンパンと自分の茎に打ち付けて土を払う。
「僕は何故ここに…」
花は呆れた口調で。
「あなたさ、いつもそうなの?自分で歩いて、自分で泳いで、自分でここに来たのに。
いつまでも何も見えないままでいるつもり?」とまくしたてた。
「見る…目で見るんじゃない見るだよね。よく判らなくて。でも、見たいって思い始めたんだ」
少年は何故だか素直な気持ちで話せた。
花はいたずらっぽく笑って。
「もう一度ちゃんとみてみる?」
その途端足元に穴が開いて突然少年は下へと落ちて行った。
「うわぁー!!」
長くて暗い滑り台を急降下し続けた。
叫ぶ声が枯れた頃、背中からドスンと着地した。

そこはあの暗い長い長い廊下だった。

to be continue…

今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀

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