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【roots2】 《1章》旅の始まり

戻って来てから1か月が経ち、ルビーはオスカーの店で働き出した。同じ年頃のバイトさんと仲良くしている。
その分、オスカーとシャーロットは畑に集中出来るようになってデイブたちも役に立っているようだ。

ここを2人に渡して、デイブはルビーと2人で暮らせるように何か仕事をしなければと考えているが。何をしたら良いのかわからず、畑仕事を手伝っていた。
オーウェンはいつもと変わらず、新聞社を立ち上げて記者として走り回っている。
ある日、オーウェンが新聞に小さなコラムを書いてみないか?と誘ってくれた。
ルビーは「また作家さんね!」と喜んでくれた。
前に出版した本は、かなり昔の児童書として図書館に置かれている。
今度書くときはペンネームを作らないとな…
何について書くのが良いのかな…
色々な心配事が頭を巡ってデイブは返事に詰まっていた。
「急ぐ事はないよ。」
オーウェンが笑ってデイブを安心させてくれた。
「必要以上に怖がらなくて良い。大丈夫。俺がいるだろ?」オーウェンはデイブの心を察していた。
書く事でチェイスを刺激するのではないかと心配しているのが判るのだろう。
「書く事が浮かぶかな?毎日だろ?」と話を変えてみたが、オーウェンは「名前を変えればデイブとはわからないよ」と言った。
お見通しだね。
小さく笑ってオーウェンを見た。
「用心深いのは良いけど、俺はデイブに書いてもらいたい。デイブの文章が好きなんだよ」と励ましてくれた。
「ありがとう、僕に出来る事はやっぱりこう言う事なのかな」
「畑は良いから書いてよ」とオスカーも言ってくれた。
「この家をオスカーに譲って、僕らは別の家を持とうか?」とデイブが話を変えると皆がびっくりして目を丸めた。
「今、何の話をしてるの?」とルビーが、デイブの足を叩いた。
オーウェンが「デイブはチェイスを心配してる。オスカーとシャーロットを守りたいんだよ」とかわりに答えてくれた。
「小さなコラムを書く事がチェイスと繋がるっていうの?」ルビーがデイブの顔を覗き込んでごめんねと叩いた足を撫でた。デイブは笑ってその手を握り
「いや、ここでレストランを開く時が来たんじゃないかなぁって。畑も充実して素晴らしいだろ。
ここで取ってすぐに料理をする店を出すのがオスカーの夢だったろ?」と言った。
するとシャーロットが
「私たちはお借りしていただけだもの。お返しするなら私たちの方だわ」と言った。
「違うよ。シャーロット。こんなに大切に住んでくれて、土地を育てたのは2人じゃないか」とデイブは微笑んだ。

「タイラーも戻ってるかな?」オーウェンが理解を示してくれた。
「ちょっと待ってよ!!僕はイヤだよ」オスカーが遮った。
「遠くに行くわけじゃない。すぐその辺に住むんだよ。」デイブが言ったがオスカーはむくれた。
「あら?こんなに甘えん坊だったのね!オスカーも6歳かしら?」とルビーが笑いを誘ってくれた。それでもオスカーは「僕はずっとずーっと待ってたんだ!やっと一緒に暮らせるのに、なんで離れるんだよ!!」と不機嫌を隠せない。
張り詰めた空気の場を変えようとルビーが
「そうね…私もデイブと2人で暮らしたいかな。新婚だもの」と言うとオスカーはますます怒って「ずっと一緒だろ!僕は違う!!デイブの旅に入り込んだ存在だもの。一緒にいられる時間を大切にしたいんだ!!」と吠えた。
デイブはルビーの手を握りなおして優しい声で
「オスカー、また会えたって言う事は君はもう僕の旅の一員さ。心配しないで。ずーっと一緒さ」と言っていさめた。
「本当に?」30歳過ぎているはずのオスカーがまるで小さな子どものように聞いた。
「こりゃ、本当に6歳だな」とオーウェンがワハハと笑ってみんなも笑い、やっと場が和んだ。
「タイラーを探すよ。それからだな」
とオーウェンが言った。
「頼むよ」デイブの顔からは笑顔が消えていた。

to be continue…
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roots・ season2本日スタート✨
いつでも、そこにあって。目には見えないもの。あなたにも気付いて欲しい🌿☕️😊新しい旅に出発です✨


今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀

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