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【roots】老年期 《31章》案内人と守り番・守り番

「おはようございます」オスカーが玄関で声を掛けた。
「いらっしゃい」リリーが迎えてくれた。
オースティンは居心地の良さそうなソファーに座っていた。
「オースティンおはよう!早起きだな。何時に起きたんだよ」
「オスカーこそ!」
「オースティンに会いたくてさ」
「気持ち悪い事言うなよ」と嬉しそうに笑った。
「これ、デイブの本。体動けないだろ?読んでよ」「ありがとう」オースティンは受け取ると赤い表紙を眺めた。
オスカーは
「ねぇ、洗顔とか終わった?俺手伝うからさ。つかまれよ」朝の身支度を手伝いに来たんだと説明した。オースティンはオスカーの優しさを素直に嬉しいと受け取って2人で肩を組んで洗面所へ移動した。
「オスカーが来てるって?なんだ、手伝いに来てくれたのか?」オーウェンが洗面所にやって来た。「おはよう。会いたくてさ」とオスカーが言うと頭を大きな手でわしゃわしゃとなでて「いつでも来たら良い」と言った。
自分とデイブを見ているようでオーウェンは嬉しかった。

「杖が来たら一人でやれるよ」と顔を拭きながらオースティンが言った。
「杖?」「オーウェンが注文してくれたんだ」
オースティンに肩を貸してリビングに移動した。
「杖が来るの?」とオスカーが聞くと
「タイラーに頼んである」とオーウェンが答えた。「それは良いね。じゃあ、僕はこれで。」
「え?なんだ。帰るのか?」オーウェンが驚くと「ルビーが待ってるからさ、帰る。また来るよ」
と答えて足早に出て行った。オーウェンはワハハと豪快に笑うと「あいつデイブみたいになって来たな。オースティン許してやって、ルビーには誰も敵わないから」と言った。
「オスカーが本を持って来てくれたんです」と赤い本を見せた。
「あぁ、家にもあるのに。続きもあるから読んだら…良かったら。話してやるよ」
「続きもあるんですか?」
「だってほら、これ。俺だから」とオーウェンがライオンの挿絵を指差した。
「えぇ!!」
「デイブにとっての俺がオスカーのオースティンなんだ」
「へぇ〜…」赤い本が急に重厚な宝箱の様に感じた。「早く読みたくなったろ?」
「じゃあ、急いでご飯にしましょう」移動が大変なオースティンのためにリリーがお膳を運んできてくれた。

オスカーが走って帰ると、皆んながリビングでコーヒーを飲みながら話していた。
「おかえり」とデイブが声を掛けると「汗!汗!着替えていらっしゃいな」とルビーに部屋へ押し込まれた。
さっぱりして部屋から出ると朝食の用意が出来ていた。
「いただきます」
「手伝えなくてごめんね」オスカーがルビーに言うと「いいの。オースティンは?」
「元気そうだったけど、動けないから…杖が来るんだって。タイラーの」
「そりゃあいい。オーウェンはさすがだな」
とデイブがゆっくりうなづくと
「あ!」とオスカーが大きな声を出して皆んなびっくりした。すると、
「皆さん!おはようございます」と見渡して頭を下げた。ワハハと4人で笑って。
「なんだよ。びっくりした。おはよう、良い朝だね」とデイブが答えてくれた。
「シャーロット、おはよう」「おはよう」とニッコリ答えてくれた。

食事の片付けの時、シャーロットが「朝まで側にいてくれたって?ありがとう」とオスカーに言った。「良く眠れたみたいで良かった」穏やかな空気の中2人並んで食器を洗う。
ルビーが最後のお皿を運んできて「今日はお買い物にいきましょうね」とシャーロットを誘った。
行っても良い?とシャーロットがオスカーに目で尋ねると。オスカーがうなづいた。
それを見ていたルビーは
「男の子たちはお留守番ね」と嬉しそうにスキップしてテーブルを拭きに行ってしまった。

夕方山の様に荷物を抱えて2人は帰宅した。
「迎えに行ったのに」とデイブが言うと「2人が良いのよ」とルビーとシャーロットがうふふと笑った。パジャマや洋服、化粧品など沢山買って貰って一気に部屋が華やいだ。
オスカーが倉庫からタンスを出して来て設置してくれていた。
「オスカー見て!これ」とシャーロットがワンピースを体に当ててヒラヒラと揺れて見せた。
「良く似合うな。しまうの勿体ないね」と言うと
壁にハンガー金具を取り付け高さもシャーロットに届くようにしてくれた。
「素敵!」早速ワンピースを掛けて眺めた。
まるで部屋の飾り物のように見えた。
「ルビー!見て!見て!」シャーロットが呼ぶと「どうしたの?」とルビーが弾んでやって来た。
「あら!素敵♡」2人きゃあきゃあ喜んでいる。
「いつの間にか2人仲良しだね」オスカーが言うと「やきもち焼かない、焼かない♡」とルビーが背中を叩いて下に降りて行った。オスカーが頭を掻くと。シャーロットは
「次はオスカーの番。ねぇ、お散歩に行かない?」と誘ってくれた。

to be continue…

今日もワクワクとドキドキと喜びと幸せを🍀

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