忘れたい記憶を改竄するために飲むウイスキーは、ひどく苦い。飲み方も割り方も一緒なのに。記憶と味覚は、恋人のような密接な関係でもあるのだろうか。勢いに任せて、コップに残る液体を飲み干す。喉が熱くなり、視界が揺れた。いつか君を思い出す味になる気がして、この恋は忘れられない恋と悟った。

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