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【3話】「デュクシ・ファンタジー~小学生ノリの俺が最強な世界~」

〇村の中央部
   角を引き抜くと、ニッチョク、絶命。
   魔物、体のあちこちに派手な角が生えている。
トゲーコ「……ウソだろ」

隊員A「うわー!」
   と、特攻。
チョーカイ「やめろ!」
   隊員A、吹き飛ばされる。
   魔物、隊員たちを八つ裂きに。
チョーカイ「距離を取れ!」

   が、無視して特攻するトゲーコ。
トゲーコ「ふざけんなバケモンが!」
   と、グローブで一撃。

トゲーコ「どうだ」
   が、効いていない。
   笑うように口を開ける魔物。
   メラメラと火が出て、火球を吐く。
トゲーコ「!」

   直撃は避けたが深手。
トゲーコ「(なんだコイツ!?)」

M「……違う。なんか違うんだよ!」
   つとむ、立ち尽くす。
【タイトルロゴ】

M「ショガセ? 修行?」
   魔物を見つめるつとむ。
   怯えている隊員達。

   魔物が火の玉を吐く。
   吹き飛ばされる隊員達。
   破壊される住宅。

   ×    ×    ×
   フラッシュ回想。
ニッチョク「オムツが取れないガキか?」
けん「君が大人にならないから」
たかし「いつまでもガキだから」
   ×    ×    ×

   魔物の攻撃で、ガレキが飛んでくる。
   つとむ、顔をそむける。
   と、ガレキの中に木の枝が落ちている。
   剣に見立てるのに、ちょうどいいサイズ。
つとむ「!」
   走り出すつとむ。
チョーカイ「おい、何やって―!?」

   ×    ×    ×
   フラッシュ回想。現代日本の公園
M「もっとこうさぁ、なんでもできて、オレつえーって感じで」
   木の枝を剣に見立てて遊んでいる、子供のつとむ。
   ×    ×    ×

   魔物が、つとむに、火の玉を吐き出す。
   つとむ、それにも構わず、飛び込む。
   木の枝に向かって、手を伸ばす。
   木の枝を……掴んだ!
   火の玉が迫る。
つとむ「うわっ!」
   と、木の枝が光り輝き、つとむをつつむ。
   火の玉が当たり、爆発。

少年「お兄ちゃーん」
   悲しそうな少年の顔。
   だがその顔が、笑顔に。

   爆発の中から現れたつとむ。
   ショガセと同じ、短パンにうわばきの鎧。
   だけでなく、黄色い通学帽のような兜。
   背中にはまんまランドセル。
   ランドセルからは、長い定規がはみ出ていて、側面には体育着を入れた袋が紐でつるしてある。
   そして手には、木の枝。

トゲーコ「なんだ、あれは」
トゲーコ「俺たちと同じ? いや……違う」

   魔物、背後から巨大な爪をふるう。
少年「危ない!」
   が、ランドセルが衝撃を吸収。
チョーカイ「なんだあの大きなリュックみたいなのは!」

   魔物、ひと際大きな頭の角を向けて走り出す。
   再びつとむの方へ。
   つとむ、ランドセル側面の体育袋を見て、
 
つとむ「これを使ってみるか」

トゲーコ「あれは、俺の!(と、グローブを見る)」
トゲーコ「そいつには効かねえぞ!」

つとむ「使い方が違うんだよ」
   つとむ、思いっきり体を回した。
   遠心力で、ランドセルに紐でつながった体育袋が放物線を描いてくるっと回る。
   魔物の角に、ジャストミート!
   角が折れた!

   つとむ、体育袋を外し、紐を掴むと、サッカーのリフティングの毎く体育袋を何度もけり上げる。
   蹴った体育袋は、紐に引っ張られつとむの足元に戻り、それをまた蹴る。
   蹴る度、体育袋が魔物の腹にぶつかる。
魔物「うがぁぁぁ」

つとむ「これが、本当の使い方だぁ!!」
   オーバーラップされる小学生のつとむ。
   体育袋を蹴りながら、下校する。

トゲーコ「なんだよアレ」
   と、歯噛み。

少年「お兄ちゃんすごい!」

   魔物、口と残った角で、同時に複数の火球をつくりだす。

チョーカイ「あんな技まであるのか!」

   魔物、火球を吐き出す。

つとむ「(まずいな、避けたら―)」
   背後には少年たち。

つとむ「うぉぉぉぉ!」
   つとむ、鎧の長袖を引きちぎる。

トゲーコ「半袖だと? そんなの耐えられるわけがねぇ!」

   つとむ、半そで短パンの完全な小学生姿。
   飛んでくる、火の玉。
   つとむ、手を胸で交差させ、
つとむ「バリーッッ!!」
   巨大なバリアーがつとむの前に現れ、火の玉をかき消す。

チョーカイ「ばりー? どういう意味だ?」
隊員C「古代、ヘンブライ語かもしれません」

   ニヤッと笑うつとむ。
   枝を見せ、
つとむ「これ、ちょうさいきょうの剣だしー!」
   つとむ猛スピードで魔物へ。
つとむ「ぜってぇ、つぇえし!」

チョーカイ「あれが、最強の剣? そうなのか?」
隊員B「あとで鑑定を!」

   つとむ、枝を振りかぶり。
つとむ「ドュクシッッッ!!」
   と、魔物を一刀両断!

トゲーコ「マジかよ……」

   つとむに駆け寄る、少年や村人たち。
少年「お兄ちゃん強い!」
つとむ「だろー」
   つとむ、少年の頭をなでる。
少年「……見た目は、カッコ悪いけど」

   ショガセも来る。
チョーカイ「君、名前は?」
つとむ「ぼくのなまえは、たかはしつとむです!」
チョーカイ「つとむ君、組織に来ないか」
トゲーコ「隊長?!」
チョーカイ「君の力を借りたい。それに、その力の源を知りたい」
つとむ「ぼくが?」

M「いつまでもガキな、小学十二年生のぼくが―」

   つとむ、ニッコリと
つとむ「はい!」
M「―一番、イマジネーションを上手く使えるんだ」

〇ショガコ・外観~あちこち
T「ショガセの本拠地『ショガコ』」
   巨大な城。中央には大きな時計。
   屋上に、旗が一本。隣には大きな広場と砂場。
   高齢者の銅像と、戦士が薪をしょって本を読んでいる銅像。
   小学校みたいな、城なのだ。

〇同・建物下の広場
つとむ「うっひょー!」
   と、喜ぶつとむの元に、手裏剣のようなものが飛んでくる。
つとむ「!」

   間一髪避けるつとむ。
   見ると、手裏剣ではなく『さんすうのしゅくだい』プリントだ。

   背後に現れた五人衆。
くにお「お前がつとむか」
さとる「ガキみたいな面だな」
あい「言っとくけど、私達五人衆は、あんたを認めないよ」
   みな、小学生のような装備だが、シャツだったり眼鏡だったりと、優等生風。(私立の感じ)。

   いきなり襲い掛かってくる。

T「くばりがかりのくにお」
   プリントを手裏剣の様に投げつける。

T「こくばんかかりのみほ」
   黒板消しをぶつけて、煙をつくりだす。

T「いきものがかりのさとる」
   うさぎとカメと金魚が襲い掛かる。

T「けいじがかりのりょうちゃん」
   刑事のような恰好。ピストルから画びょうを発射。

T「ほけんがかりのあい」
   巨大なハンコ注射をもって突撃してくる。

   囲まれたつとむ。
つとむ「いきなりなんなんだよ!?」
   つづく。

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