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【つながる旅行記#100】稚内、宗谷岬へ。

前回はまさかの21時まで北方記念館で過ごし、帰り道が肝試しだった。

さて、そんな楽しい稚内にいられるのは今日までだ。
せっかくだし思い出に残る何かをしなければならない。

そうだ、最初稚内に来たとき(#1)に出来なかったことをしよう。

日本最北端、宗谷岬へ行くのだ。

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稚内駅

とはいえ、宗谷岬まで観光バスで行ったのでは味気ない。
やはりここは自分の力で行かなくては。

そう、自転車で。

でも自分の自転車なんて持ってきていない。
ここはレンタサイクルの出番だ。 

しかし稚内にあるのだろうか……?

ということで稚内駅内にある観光案内所に行き、レンタサイクルについて聞いてみたところ、マップをもらった。

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どうやらすぐ近くにある「喫茶you」で自転車が借りられるようだ。

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駅の目の前だった

喫茶youの中に入ると、馴染みのお客らしき人たちで和やかな雰囲気。

店員さんに自転車を貸してほしい旨を伝えると、快く貸してくれた。

店員さんに、「ところでどこまで行くの?」と尋ねられたので、
目的地が宗谷岬であることを告げる。
店員さんはそれを聞いてちょっと驚いた反応をした。

それもそのはず。
ここから宗谷岬までは30km
往復して帰ってきたら60kmだ。

片道2時間

車だったら60kmなんて大したことはないが、自転車ではそうは行かない。

だが#97で岩木山神社を目指した際は、44kmを走破できたのだ。

今の自分ならいけるのではないだろうか?
しかも弘前のときと違って平坦な道だろうし。

そして店員さんは、
返却時間ちょっとくらい遅れてもいいからね」と言ってくれた。

稚内あったかすぎるだろ……!


ということでレンタサイクルを借りた。

これが本日、苦楽を共にする相棒だ。

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なんだかよさげなマウンテンバイクとかもあったのだが、あえてこのカゴ付き自転車を選んだ。

理由は、リュックを背負って60km走ったりしたら肩が壊れそうだから。

そして事前にお尻を守るためのやわらかクッションを100円ショップで買っておいた。活躍に期待したい。

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では今回の挑戦の物資を補充しにセイコーマートへ。

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セコマ
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では出発!!


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走っていたら日本最北のマクドナルドがあった。

ドナルドは最北へ向かう旅人をどれだけ見送ってきたのか……。

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ここはウエンナイ川。
ウエン(悪い)、ナイ(川)

水が悪いから魚が上ってこないというのが由来らしい。

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6月の稚内は緑にあふれている。

あぁ、なんて気持ち良い…………いや嘘である。

風が完全に向かい風で超キツい。


こいでもこいでも自転車の進みが異常に遅く感じる。

この風は帰りに吹いてほしかったなぁ……!

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塔も遠くに…
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6km進んで、あと24km

まだまだ始まったばかりだ。

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走っていると、なんだか路面にデコボコがある。

正直走りやすいとはいえないが、自転車が道路にはみ出さないようにやってあるのだろうか?

謎だ。

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これも謎。
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定番コーヒーを飲みつつ

ズームすると風力発電が見える。
家と比べるとめっちゃでかい。

鹿飛び出し注意

片側には海、片側には丘。

なんだかすごく北海道を感じる景色だ。

ズームすると謎の白い道が見えた。

あれがフットパスとやらか……?

小学校
目的地か!?

「お、そろそろ宗谷岬かな?」→ 違う

こんな感じで、「宗谷岬かと思ったら違った」という流れを今後めっちゃ繰り返すことになる。これが宗谷岬へのサイクリングである。

ぐにゃぐにゃしてるからね…
大演芸回
うに
あと10km!
うっすら見えるのは……何?(礼文島?)

道端に何らかのスポットがあった。
カネクロサワ伝説」の地だそうだ。

伝説はこうである・・・↓

あるアイヌの娘が失明した父親のためにお百度参りをしたところ、弁天様が夢に出てきて、この水場を掘り当てるよう教えてくれたという。

この水には眼病をもたらす悪魔を金縛りにする力があると信じられ、この水で目を洗うとどんな眼病も治るということで、和人もこの霊水を求めて集まってきたとかなんとか……。

なかなか興味深い伝説だ。
眼病は悪魔の仕業であり、退治するとかじゃなく金縛りなのか。
アイヌには不思議な伝承が他にもたくさんありそうで気になってきた。

花もあるし大切にされているのだろう
最北の郵便局?
小学校

また小学校があった。

意外に子供が多いのか……?

残り10kmからが長い……!

でもさすがにもう着くか……!?

あと5km!
キツネ

道端に石碑を発見。

これは間宮林蔵の樺太出発地を示すものらしい。

看板によると彼は2回樺太に行っていたそうで、しかも初回でもう間宮海峡の存在を確認していたようだ。2回目は地図の完成のための探索だろうか?

そこらへんを知るためにも本を読まねば……!

熊が出る
白鳥

しっかしホントに30kmってのはキツいな……!

同じ自転車でも、ロードレーサーに乗ってる人は100kmとかも余裕で走るらしいが、もう想像できない世界だ。

はぁ、どうせこの先にある曲がり角もまだ宗谷岬じゃないんだろうけど、
ちょっとズームしてみるか……


あっ。


(めっちゃ見たことあるやつあったわ……)


そう、宗谷岬は旅人たちが目指す定番なのだ。
もちろんあのモニュメントの形は、旅動画やブログで何度も見てきた。

いよいよ最北端に着くのか……!

……実はこの「つながる旅行記」を書くにあたって、この日本最北端へのチャレンジを最初の回にしようと思ったことがあった。インパクトのあるものを最初にした方が注目を浴びると思ったのだ。

しかしそれは結局やめた。

自分はいきなりそんなチャレンジが出来る人間ではない。
最初から偽りで始まる旅行記を書いてどうするんだという話でもある。

さすがにもう自覚はあるが、明らかに自分は他人よりも気付くことが遅いし、行動に移すのだって遅いのだ。

おそらくこの宗谷岬への挑戦や、さらには日本一周なんて大きなことだって、行動力のある大学生なら夏休み期間にやってのけてしまうだろう。

それと比べて自分は、稚内に初めて来てから1年後にようやく宗谷岬だ。

でもそれが自分の人生のスピードなのだろう。
別に他人と比較するものでもない。

……それでも色々考えてしまうものだけど。

最北端には間宮林蔵が居た。

なんだか彼が語りかけてくる気がする。

「お前は挑戦してるか?」と。

日本最北端、到着。


人から見ればしょぼくても、動いたからこそ今があるのだ。
ニートのままだったら、ここにも来ないまま人生を終えていただろう。

間宮林蔵のようにはいかなくとも、
人より歩みが遅くとも、
自分の人生をしっかりと歩んでいこう。

ここから、ここから。

そんな感じで、日本最北端で自分の人生を噛みしめるのだった。



次回へ続く…


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