精神障害の業務起因性のための調査復命書を読んでみよう(労災認定のコツ)1

労働局に資料請求した中に「精神障害の業務起因性のための調査復命書」があります。これは、労働基準監督署が労災かどうかを判断に至った経緯が記載されている書類です。

つまり、ここに書いてある内容を踏まえて労災申請をしなくてはいけないという事です。

私の場合、鬱になる前の1月前の残業時間が100時間を超えており、またその対応にあたって精神負荷が高かったため、ある項目において「強」が認められていました。逆に言うと、そのほかの私の主張は否定されたことになります。
※私は、鬱になる1月前だけが100時間を超えた残業時間となっています。冊子によると残業時間で「強」になる例は以下の通り
・発病直前の1か月におおむね160時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合
・発病直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合
・転勤して新たな業務に従事し、その後月100時間程度の時間外労働を行った場合
※上記は、休憩時間は少ないが手待時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く

私の所感ですが、残業160時間は意外と働いている人がちゃんと労働時間を記入すれば行くレベルの様な気がしますが、サービス残業分は会社が認めないので、結果として事象として労働基準監督署が会社の言い分を採用して認めないので、このレベルの認定は難しいと思います(サービス残業をしている人は客観的な記録を残す必要があります。しかもその時間内は働いていたという証拠も必要です。こちらからの確実な証拠が無いと、会社の言い分を聞いて労働監督署の調査の結果、ほとんどを手待ち時間にされ、労働時間対象外となります)。

さて、内容を見ていきましょう。

表紙には、"個人情報"や"会社の情報"、"請求人の申述"、"事実の概要(認定した事実)"、"総合判断"が載っています。
事実の概要(認定した事実)は、自分の業務概要、病院での診断内容(初診での診断内容)、労災と判断した業務概要が書かれています。
総合判断には、精神負荷が認められた内容の概要とその強度(弱、中、強)などが記載されています。総合的判断の最後には以下の文面があります。
私の場合は以下の記述になっています。
"以上複数の出来事の心理的負荷の強度は「**」「**」「強」である事から、心理的負荷の全体評価は「強」と判断した。よって本件は業務上と判断する"

私は、個々の心理的負荷の1つに「強」が認められたため、最終的判断が「強」になっています。「強」が1つでもあれば労災は認められますが、「中」をいくつか認められることで、総合的判断が「強」になる場合もあります。

さて、次の項目になります。
"業務による心理的負荷"について、まとめられています。

【発病前6カ月間に起きた精神障害の発病に関与したと考えられる業務による出来事および出来事後の評価】
先ほどの心理的負荷が認められた事項の"具体的な出来事"と"心理的負荷の総合評価の強度"が記載されています。"具体的な出来事"は、私が主張し労働基準局が調査をして、認められた事実が記載されます。会社によって否認やもみ消されて、労働基準監督署が認めなかった事実は、事実として認められません。そのため、事実であっても労働基準監督署が事実として認めなかった内容は記載されません。

【労働時間の状況(時間外労働時間数)】
過去6カ月間の1月毎の残業時間が記載されています。
このの残業時間は、タイムカードの時間では無くて、労働基準監督署が認めた残業時間です。

【複数の出来事の全体評価】
表紙の総合判断と同じです。**の出来事が「(弱・中・強)」、**の出来事が「(弱・中・強)」であるから、心理的負荷の全体評価は「(弱・中・強)」である。という内容です、

【総合判断】
弱・中・強 が書いてあり、判断された心理的負荷の強度が□で囲まれています。

さらに次の項目になります。
【出現した心身の病状に関する事項】
・自身の通院履歴が載っています。
・請求人の申述 と 調査結果 が載っています。
調査結果はほとんどが黒塗りになっており、どのような調査が行われたのかは、わからなくなっています。

次の項目はさらに"出現した心身の病状に関する事項"を落としこんで、"請求人の申述"と"調査結果" "認定事実"が記載されています。

さらに次の項目になります。
【主治医・産業医等の意見】
通院している医院への調査内容になります。記載されている項目は以下の通り
・主治医の意見書
1.初診年月日
2.受診した端諸及び初診時の主訴
3.初診時における症状
4.疾患名及び診断根拠
5.発病時期及び診断根拠
6.発病原因及び診断根拠
7.治療経過、投薬状況等の治療内容、現状の病状
8.精神疾患の既往症
9.他の医療機関受診の有無
10.聴取制限
11.その他参考となる事項について
12.意見の裏付けとなる資料等
・産業医意見書
※これは塗りつぶされています。会社に有意な意見を出しているものと思われます。
・専門医意見書(請求人提出)
※私の場合は提出していないので、無しになっています。
【専門医の意見】
・(監督署長依頼)の意見書
※労働基準監督署側の医者の意見としての意見書です。
1.発症時期・疾患名
労働基準監督署により認められた事実を元に、作成された意見書です。
自分から申し立てた事、主治医の意見の他にも、会社の同僚などからのヒアリングの内容なども含まれています。××の頃に××の様な事を言っていたなどが記載されていました。自分の周りの人間が異常に気付いていた事などが記載されています。上記の内容をICD-10のガイドラインに照らし、疾患名と発症時期の決定をしています。

ICD-10のガイドライン(精神及び行動の障害(F00-F99))
 https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/dl/naiyou05.pdf

精神障害の労災認定(P2を参照)
 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120215-01.pdf

2.業務要因の検討等
認められた事象から、医者として心理的負荷の強度(弱・中・強)の判断が書いてあります。

次の項目になります。
【就業条件等一般事項】
ここには"職歴"と"会社内での経歴(部署移動や役職)" "会社の就業規則"などが書かれています。
また、"当該労働者の日常業務"には、会社での業務内容や役割について書かれています。
"事業場(所属部署)内における当該労働者の位置づけ"には部署内の組織図と自分の位置について書かれています。
"事業場以外における当該労働者との相関図"には、家族構成が書かれています。

次の項目になります。
【労働時間を認定した根拠】
労働基準監督署が労働時間を認定した根拠が記載されています。
確認方法としては以下の区分があります。
・タイムカード
・出勤簿・業務日報等
・施設記録・警備記録等
・本人の申告
・管理者による確認
・上司・同僚からの聴衆
・その他
私の会社は、パソコンのログも取っていますし、入退室の記録も自動で取れています。そのほかにも最終退室時には警備記録が残っています。しかし、認められたのは「本人の申告」と「管理者による確認」のみです。
パソコンや入退室の記録は、ログが正しく取れていないや入室後仕事以外の事もしているなど、会社の言い分が通り労働の実態が確認できないとなっています。会社のいいように操作されます。電話対応については、一部が認められ、一部が認められていません。実際に電話記録を出しても、会社に有利な判断がされます(電話の通話時間だけがみられ電話と電話の間は手待ち時間として結果カウントされない)。パソコンのログは認められませんでしたが、メール発信の記録(連続した相手へのメール送信と返信のやり取り)は認められています。単発ではなく、メールを発信しやり取りをしている分については、労働時間として認めているみたいです。

最後の項目になります。
【調査結果】
1.業務上外について
2.傷病年月日の処理について
3.平均賃金について

残りは、労働時間集計表と、平均賃金の算出表が付いています。



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