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【コンポスト研究】コムハムコンポスト

生ごみを微生物に分解させるコンポストが流行中。
生ごみを減らせるのは嬉しいけど、都会で暮らす人たちにとって、コンポストでできた堆肥が増えていくと、活用先に困るという声もしばしば聞こえるようになり・・・
そんな中、生ごみを約1日で高速分解し、98%を水と二酸化炭素に変えて、容量が増えない魔法のようなコンポストが登場。 自然由来の微生物、コムハムを使って堆肥をできる限り作らないシェアコンポストを渋谷区で実証実験進行中とのことで、株式会社komham代表・西山すのさんにお話を聞いてきました。
(聞き手:TUF宮村礼子)

渋谷区のコンポストコミュニティとは?

西山さん:
現在、渋谷区の植物ふれあいセンター、恵比寿ガーデンプレイス、東急プラザ表参道などの4か所に設置中です。
植物ふれあいセンターでは一般家庭、15世帯の方に参加頂き、投入してくださった生ごみの量をLINEグループで報告しあっています。このサイズのコンポストで投入できるのは1日5キロ程度。今日は少し足りないな、というときには運営側からLINEグループに投稿して投入を呼び掛けることもあります。参加している方はご近所にお住まいの方なので、だいたい朝、出勤する前と夕方に投入してもらうことが多いです。

※参考)komhamの渋谷区実施のごみ減量実証事業

コムハム2

「コムハムコンポスト」はどんなもの?

西山さん:
こちらのコンポストは試作段階です。青いドラムの中にはココヤシチップと濃縮されたコムハムが入っています。蓋をあけて生ごみを投入してもらい、レバーをまわして空気を中に入れ、6時間くらい経つとコムハムが生ごみを食べ60℃くらいに温度が上昇し、水蒸気となって水と二酸化炭素として分解されます。二酸化炭素は微生物の活動量程度なので環境に大きな負荷はかかりません。

コムハムは1日で生ごみを分解するので、毎日、生ごみを入れ続けることができます。月に一度、コムハムを追加で入れる必要があります。菌のサブスクです(笑)
それ以外にも時々、メンテナンスは必要ですが、基本的には菌を入れれば生ゴミ処理機として使い続けることができます。堆肥にする場合は生ごみ投入をやめ、熟成させます。

入れて頂く生ごみについて、現在はある程度制限をしています。一般的なコンポストで「入れてOK」とされている【卵の殻、魚の骨、コーヒーかす】については投入NGとしていて、野菜のくず、炭水化物やたんぱく質食材の生ごみだけにしてもらっています。 例えば、卵の殻は有機物がほとんど入っていません。微生物は有機物しか食べないので、実は卵の殻が分解されているという科学的根拠がないんです。
今回は場所をお借りして設置しているので、できるだけエラーが出ないよう気をつけています。
ご参加されている方はお子さんがいる方も多いので、お子さんの食べ残しなどを入れてくださるので、炭水化物等も一定数集まっています。塩分量については人間が食べて大丈夫な量であれば問題ないです。

大きな牛脂の塊も入れましたが、翌日にはコムハムが全て食べてくれました。ただ、1度失敗もしました。10キロくらいのお水を入れてしまったそうなんです。土がびしゃびしゃになって、中にいたコムハムが死んでしまいました。そして、酷い悪臭が・・・。菌が死んでしまうと中身は全て入れ替えになってしまいます。

 一般的なコンポストとの違いとは?

西山さん:
コムハムコンポストは堆肥を作るというよりもごみ処理機として使うことができるのが特徴です。
普通のコンポストは生ごみ量の半分くらいが堆肥として残ってしまいます。1世帯で900グラムの生ごみが出た場合、年間150キロの堆肥ができてしまい、その堆肥を使用するのに100平米くらいの畑が必要になります。コンポストを広めていくにはインフラが追い付かないですし、また遠くまで運ぶとなると環境負荷がかかってしまいます。また、プロの農家さんに、どういったものが入っているか、どのくらいの処理ができているのかわからない生ごみ由来の堆肥を受け入れてもらうのは難しいです。堆肥が回ることは理想だと思いますが、システムが整うのはハードルが高いと感じています。

実証中のプロジェクトは積極的に環境のために動く人のためというよりも、環境問題に興味あるけど簡単であったら参加してみても良いな、というくらいの人の目線に立ってなるべく手間がかからないように設計しています。シャベルでかき混ぜる等の手間がかかると、服が汚れてしまったり、作業時間がかかってしまうので、レバー型にしました。ただ、このレバー・・・重いんです。4月から本格運用するために、レバーをまわす必要のないプロダクトを開発中です。


コンポストの大きさについて

西山さん:
コンポストは家庭用(1世帯用)を作るのが難しいんです。解明はできていませんが、スケールを下げるほどエラーが起きやすく、また例えば旅行などで暫く使用しないとエラーが起きてしまいます。性能をキープしたいと思うと集合住宅等で少し大きい単位で使うサイズがちょうど良いです。
コムハムはとても高カロリーなものが好きなので、例えば街の中華料理店など飲食店を巻き込んでコンポストを設置して、周辺住民とシェアできると最強だな、と思います。

これまでコンポスト=土を作るというイメージでしたが、集合住宅用の簡易生ごみ処理機としてコンポストは拡大していきそうですね。

 

 

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