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チームの強さは口癖に現れる。

私の勤め先が、先日発表された2020年版の「働きがいのある会社」ランキングの小規模部門で、グランプリを受賞しました。

会社では総務として働きながら、取り組みポイントであげられている「現場主導での社内活性化チーム」として活動していたこともあり、今回の受賞は本当に嬉しいニュースでした。

そして今回のタイトルである「チームの強さは口癖に現れる。」ですが、現在は「人と組織」の強さ、すなわちエンゲージメントを大切にする会社で働いていており、この関係性を高めるために経営陣だけでなくメンバー同士でも様々な施策を考えています。それと比較して、例えばこれまで所属してきた部活、コミュニティ、組織などを振り返ってみると、その組織の強さは「口癖」にも表れているなと思うことがあります。あくまで個人的な見解ではあるのですが、なぜそう思うのかを書いてみます。

弱いチームにいたからこそ分かること

私は小学校~中学校まで野球をしていましたが、所属しているチームは県大会出場もままならないほど弱いチームでした。そんな勝利の喜びよりも負けた悔しさや、ボロクソに怒られることのほうが多い7年間を過ごしています。当時は子供なので何故勝てないのか、何が問題なのかも分からないまま、ただ大人に怒られるままに過ごす毎日でしたが、自分も大人になりどのポイントがいけなかったのかが、分かるようになってきました。

そんな経験をもとに弱いチームと強いチームの比較ポイントを表にしてみました。

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①試合に負けたとき、ミスがあったとき

試合後の反省会をイメージしたときに、弱いチームは監督が必要以上に個人の責任を追及している姿を見かけます。多くの選手はそれを見て、その試合の敗因をその個人の責任にし、自分の行動を振り返ることはしません。「ピッチャーがストライクを入れないから。チャンスで4番が打たないから。」と気がつくと平気な顔で言っています。他責思考が拡がるとチームとしてのまとまりに欠け、勝敗よりも自分がミスをしないかどうかに関心が向きます。ビジネスでいえば、これに加えてミスに対して「次から意識します」や「意識を高めていく」といった、個人の意識レベルに原因を求める口癖が弱いチームの特徴といえます。

反対に強いチームは、「内野守備の連係が悪かった」「ベンチからの声掛けが少なかった」といったワードが挙げられように、個ではなくチーム・組織としての原因を追求することが多いです。そして反省会も全体だけではなく、内野・外野・バッテリーといった役割別に分かれて細かく反省会を行います。ビジネスの場面で言えば、ミスをしたときに上司から「仕組みを変えてくれ」というのをよく聞きます。その場限りの「意識を高める」といった言い訳は行わず、具体的にチームとして何を変えるのかにフォーカスしているのが、強いチームの特徴といえます。

②目標設定をするとき

「次の大会の目標は?」「今回の練習試合での目標は?」このような質問にメンバー全員が揃って回答できるチームはきっと弱いチームではないでしょう。

弱いチームは目標が漠然としていることが多いです。目標が漠然としていることの最大のデメリットは反省が漠然としてしまうことです。例えば練習試合は勝つことも大事ですが、それよりも練習の成果がうまく反映されているのかを確認する場でもあります。しかし、弱いチームほど目の前の勝敗に一喜一憂してしまい、何故勝利できたのか、何が良かったのか分からないまま終わってしまう傾向にあります。ビジネスでいえば、目標は「●●部門をサポートする」といった、何か重要そうではあるが、何に注力すべきか曖昧になっている目標を掲げてしまうことがあります。そして、適当な施策を計画してそれが出来たのか、出来なかったのかを振り返ったりします。しかし、本来は例えば予算目標を達成するためにその部門へ貢献するのであって、その部門をサポートすること自体が目的・目標ではありません。

強いチームは目標設定が明確であり、かつその目標へのコミット力が半端ではありません。行動の一つひとつがその目標へと繋がっており、全員がその目標を言えるように浸透させていくことも徹底的に行われます。「とにかく結果にこだわれ」と言われるのは、一見厳しそうなイメージですが、逆にいつまでも結果が出ないまま頑張り続けることもしんどいですよね。一本のヒット、一回の仕事での成功が頑張る原動力になることを知っているからこそ、なんとか結果が出るよう行動するよう求められるのが強いチームの特徴といえます。

③上司・監督の指導

弱いチームは思考停止をしている人が多いのも特徴ではないでしょうか。それは何故かと考えたときに監督が日頃から「まず方法を伝えて期待通りの行動を求める」ような言動をしていることが一つの要因ではないでしょうか。「ランナーが出たら必ずバントしろ」「初球は絶対にストライクを入れろ」といった、「方法の指示」を行い、それ通りに出来たら褒める。勿論、指示通りに動くことも大切ではありますが、目的を考えないまま、監督の言われた通りにやっていれば問題ないと捉えてしまうのはよくありません。

ビジネスでも新人のうちは言われた通りのことをやっていれば、それだけで評価されることがあります。しかし、次第に求められるレベルが高まり、企画を立案したりリーダーとして進む方向を判断するときに、何故それを行うべきなのか目的や理由を説明することが出来ないと周りを巻き込んでいくことが出来ません。「経費をカットしましょう」と社内に協力を求めても、何故経費のカットが必要なのか、その会社や市場の状況と絡めて話したりすることが出来ないまま、カットすることは良いことだからという理由では納得してもらえません。

強いチームは、トップが目的や目標を説明することにしっかりと時間をかけます。全体が腹落ちしたことを確認した段階で実行に入りますが、0から10までを指示するわけではなく、方法はプレイヤーに考えさせることが多いです。そのなかで監督の期待を超えるようなプレーが生まれ、他のメンバーも触発されていく様子がみえます。

ビジネスにおいても上司はやるべきことの細かい指示ではなく、「何のためにやるのか」を説くことに多くの時間をかけています。そして、部下が企画したものや考えてきたことに対しては「それはなぜ?」を繰り返しながら、正しい方向性を自分で見つけ出せるようにします。すると、どんな行動をするにしても何故やるのかを自然と考えるようになり、無駄なMTGや作業を無くしたり、依頼された仕事の目的に沿ったかたちで自分なりのアレンジを加えれるようになります。

④メンバー同士の関係

弱いチームと仲の良さは別物であり、仲が良ければ勝てるかというとそうではありません。ただ、弱いチームでは本音が言えずに双方向のやりとりが少ないケースが多いです。チームMTGではいつも同じ人(監督)が意見を言っており、周りは黙って聞いているだけになっている。でもMTGが終わるとあちこちで「本当は●●のほうがいい」のように本音がボロボロ出てくる。するとますますチーム内で対立構造が出来たり、チームMTG自体が苦痛になったりします。

強いチームは①、②、③でみてきたように、チームとして目的・目標をはっきりと定めているので、それに向かって必要なことは何でも指摘することが重要であることを知っています。逆に指摘されたほうも、本人の成長とチームの勝利のためというのが分かっているからこそ、素直に受け止めることができます。むしろ、フィードバックをもらった方が早く成長できることに気がつき、周囲から積極的に指摘してもらえる環境を望むようになります。「今の自分の課題は何ですか?」といった自己評価と他者評価のズレを減らすための問いかけも多くみられます。

強いチームを作るためにはどうしたらいいのか

さて、実例がすごいボリュームになってしまいましたが、結局強いチームを作るためにはどうしたらいいのか。ここですよね。ポイントを1つ挙げるとすると「大事なチームのルールは明文化し浸透させること」ではないでしょうか。

所謂「ミッション・ビジョン・バリュー」であったり、「経営理念・行動指針」といったものです。上記の④でも書いたとおり、チームとしての目的・目標がはっきりと定まった状態で、あるべき姿に対する課題に対して、一人ひとりが解決に向けて団結して取り組む。この状態を作り出せれば逆境時にも乗り越えられる強いチームになるはずです。

既にチーム内で暗黙知や良い文化が築かれている場合にも、あえて明文化させることで、新しく入ってきたメンバーにもすぐに理解してもらえたり、判断軸がブレないことで組織が安定する効果があります。ただ一番のポイントは「浸透させること」であり、ここに苦戦しているチームは多いと思います。偉大な目的・目標を作っても形骸化し、誰もメンバーが覚えていないなんてことも企業規模に関わらず見られる光景です。

それに対しては、いかに日常にその言葉を浸透させるかどうかが重要です。現職でいえば、「日報、1on1、サンクスカード、目標管理シート」の全てに行動指針に関する選択項目が入っており、毎日目にしない日はありません。ここまで徹底してやるのか、と内部にいても思うぐらい徹底されています。そして、メルカリなどの企業でよくみられるようにその企業で用いられる口癖が行動指針になるぐらいが理想ではないでしょうか。

「働きがいのある会社」グランプリを受賞したときの代表のスピーチでも「特別なことは何もしていない。」といった趣旨のことを述べていましたが、やっていることは上記の通り、とても地道です。しかし、凡事徹底こそ難しく険しい道のりでありながらも、最も確実に成果を得ることができる道だと思っています。

長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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