刹那、そして夏の音
am5:30
窓から吹く風が爽やかでどことなく優しくて
肌にふれる空気の質感がとても軽く思えた。
盛夏とは違う穏やかな虫の鳴く声に
うぐいすの瑞々しく潤いを振動させたような
鳴く声がやわらかに響き渡る。
ただただ心地良くて、ずっと触れていたい夏の朝。
暑いのは好きではないけど
夏の「音」が四季の中で一番好き。
蝉の鳴く声
風鈴の凜とした音色
木の葉のささやき
扇風機が風を鈍く切る音
鮮明に刻まれているのは
夏の音色な気がする。
季節のイメージで言うと
夏はどの季節よりも明るく原色を連想させ
パワーがみなぎるような印象とは裏腹に
秋とは異なる儚さや、冬とも異なる切なさを
どことなく夏の音から感じられる。
夏の風物詩である蝉は
その一生があまりにも刹那に過ぎるけれど
”此処に生きた証”を証明するかの如く鳴く姿が
人に、「趣」を感じさせるのかもしれない。
「夏の始まり」を感じ
「夏の終わり」を知る。
蝉は、夏の終わり(一生)を
どんな気持ちで迎えるんだろうなって。
そんなことを考えても知る由はないけれど
人間もつまるところ蝉と同じように
この夏が”二度”とやってこないことを
本能で感じるからこそ刹那なひとときを
走り切りたいんだと、私は思う。
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