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奇跡じゃないよ、100%の努力と90%の爽やかさだよ

今度は何の映画を見よう…とよく上映スケジュール掲載サイトで検索する。時間が合わないな、今の気分にはコレかな、とか色々考えながら選択する。実はそういう選択をする時にあまりあらすじは読まないようにしていて、何となく雰囲気で選ぶことが多いんですが、今回は、あらすじを読んで、元気をもらうためにこちらを見に行きました。

5%の奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」

先天的な目の病気で、95%の視力を失ってしまったサリヤ・カハヴァッテ(通称サリー)。5つ星ホテルで働くという夢を実現させたい彼は、当初その障害を履歴書に記載し、数々のホテルに応募するも悉く不採用となる。とうとう目が見えないことを隠してバイエルンの一流ホテルで見習いとしてスタートすることに成功する。仲間の助けも借りながら、持ち前の明るさや記憶力などを活かし、次々とホテルの研修課題をクリアしていったが、彼の計画は思わぬところからほころびを見せ始め…。

色々ツッコミどころはあるんですね。そんなに視力が悪いなら、眼鏡かけたら少しは誤魔化せるんじゃ(映画の中ではサリーは全く眼鏡をかけていない)とか、歩数で全ての在り処がわかるもんかなとか。

でもね、そんなことは全て横に置いておいても、この映画は、絶妙なリズム感とテンポで、心を軽くしてくれるんです。何よりみーんな人がいい。こんな世の中だったら、どれだけ私たちは救われるだろうか。きっとこの映画を作った人たち(サリヤ・カハヴァッテ氏本人も含む)は、人間がすごく好きなんだろうなって思うんです。

サリーをサポートするのは家族だけではなく、面接で一緒になり、同じ研修仲間のマックスに、厨房で出会ったアフガニスタン移民の元外科医に、厨房総責任者の料理長などなど。見ていてこんなにホッコリすること、あるんだろうかってくらい。

人間、性善説では生きていけないとは言うけれど、たまにはさ、いいよね。

よく友達に、つぶまるの見る映画は、暗いのとか難しいのばかりでしょ、と言われる。それが悔しくてならない。ヨーロッパ系の映画=マイナー=暗い、難しい、という思い込みを取り払いたいのだけど…。ホンマにこの映画見てよ!と言いたくなってしまう。

ということはさておきですね。なぜ、noteのタイトルをこんなふうにしたかと言うと、この映画の皆人間がいくらイイとはいえども、「奇跡」なんてナイ!と言いきれるからです。邦題、何だよ、5%の奇跡て。100%-95%ってこと?もうね、ひとえにサリーの並々ならぬ努力と、彼が明るく爽やかな好青年だったからなんです。どちらが欠けててもこのストーリーは成り立たない。奇跡なんてものはついぞ見られなかったし、とにかくこの映画の面白味は、彼の努力の過程と周りがそれに動かされていく様だったんじゃないかなって。

↑左がサリー。スリランカとドイツのハーフ。右は少しチャラいけど根はめちゃイイ奴マックス。

「障害乗り越える系」(失礼な言い方かもしれないけど、ある一定数の映画はこんな感じだと思う)にしては、泣けたり、超感動モノではなくて、スピード感があって(テンポがホンマに絶妙)、音楽のセンスも抜群で、過去の作品で言うと、ファティ・アキンの「ソウル・キッチン」やその他だと「ディナー・ラッシュ」みたいな感じ。給仕や厨房のシーンが単に多いからか。

そして、これは私特有の、半分ノイローゼ気味な部分ではあるけど、ドイツ映画を見ていると、大概の俳優さんが、過去にナチスの高官や兵士の役を演じていたんじゃないかという変な既視感があるってことです。たとえそうでなくても、そう見えてくる…。

関係ないことまで書いてしまいましたが、本当に元気をもらえた。私の選択は間違ってなかった。サリーは決して人生バラ色ではなくて、むしろどんな人よりもどん底も経験した上で、明るい未来を手に入れた。そこに奇跡はあったのかなって。ちょっと疲れた時に見るのにオススメです。

2018年5本目。大阪ステーションシティシネマにて。

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