2020年私的ベスト10ほか
今年はオンライン鑑賞2本含めて、147本の作品に出合えました。コロナ禍で、1ヶ月強の空白期間がありながら、よくもまぁこんなに劇場鑑賞ができたなぁと思います。何事もなく、健康で、概ねこれまでと変わりない生活(というと語弊があるかもだが)を送れていることに感謝せねばと思うばかりです。
さて、毎年恒例のマイベスト10です。
1.アフター・ラヴ (英)
2.レ・ミゼラブル (仏)
3.エンド・オブ・ラブ (仏・イスラエル)
4.ナイチンゲール (豪)
5.ザ・ライフルマン (ラトビア)
6.ウルフ・ウォーカー (アイルランド)
7.声優夫婦の甘くない生活 (イスラエル)
8.82年生まれ、キム・ジヨン (韓国)
9.バクラウ 地図から消された村 (ブラジル)
10.私のちいさなお葬式 (ロシア)
今年はめちゃくちゃ悩みました。シネフィルの皆様がイチオシの映画を見てみたものの期待値が跳ね上がりすぎて、私としてはあとちょっと…というのが正直なところ。それでも多くの方がオススメされる作品、自分一人なら絶対に見ていなかっただろうなと思うものと多々出合えて、それは本当にかけがえのない時間となったことはたしかです。
1位の「アフター・ラヴ」は東京国際映画祭にて。1人の男を取り巻く2人の女性のドラマ。シリアスだけど、全体的に温かい空気に包まれていて、どちらの女性にも寄り添いつつ、ドーバー海峡の景色と彼女らの心象風景も叙情豊かに描かれていて、忘れられない作品となりました。
2位は、レ・ミゼラブル。今年、数々の「力強い」作品を見てきましたが、私がガツンときたのは断トツでコレでした。この圧倒的な熱量とこの映画の中に渦巻く憎悪を感じてほしい。その憎悪を感じることで、今世界で起こっているテロや内戦や至るところで見受けられるいざこざの全てが他人事とは感じられなくなると思う。
3位「エンド・オブ・ラブ」は、なら国際映画祭にて。イスラエルとフランスを隔てて、スカイプでやりとりする別居婚夫婦の物語。蜜月の時を経て、どんどんすれ違っていく2人と、その間に介在する親族やシッターなどとのやりとりが温かく、ストーリー展開も画の見せ方も秀逸で、是非一般公開してほしい。
4位の「ナイチンゲール」、7位の「声優夫婦の甘くない生活」、8位の「82年生まれ、キム・ジヨン」、10位の「わたしの小さなお葬式」は時代や国、描かれる女性の年齢も様々ですが、その時代を生き抜く女性の術や生きづらさ、心意気、覚悟がテーマとなっていて、これらは私が映画を見る時に大事にしている命題でもあり、どうしても入れたかった作品です。
同じ韓国映画で、「82年生まれ…」と「はちどり」、私は両作品の主人公の狭間に位置する同世代であり、どちらを入れようか迷いに迷って前者にしましたが、いずれも私と同級生、同年代の人たち(女性に限らず!)には、是非見てほしい作品です。
5位の「ザ・ライフルマン」はバルト三国はラトビアの戦争映画です。大戦中、大国に蹂躙されながら過酷な状況下で生き抜いてきた兵士たちを丁寧に描いた小粒ながら力強い作品であったと思います。思わぬところで巡り合った良作でした。
6位は「ウルフ・ウォーカー」。アイルランドのアニメスタジオ、カートゥーンサルーンの新作です。今まで見たことがなかったのですが、本作のカッコよさに惚れて、前作「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」、前々作の「ブレンダンとケルズの秘密」も見に行き、どちらも本当に素晴らしかった。子どもがいたら絶対に見せたい!
そして、9位の「バクラウ 地図から消された村」はブラジルのホラーミステリー?なんですかね。謎に謎が覆い被さりながら突き進むストーリーはヘンテコで、エグくて、「レ・ミゼラブル」とはまた異なる憎悪や差別の根深さを描いていて、単なるミステリーとは一線を画したパワフルさを見せつけてくれました。
本当はもっと入れたい作品がありました。今年はいつも年間数本しか見ない邦画を10本ほど見ることができ、そのどれもが印象深かった。特に「いつくしみふかき」と「佐々木、イン、マイマイン」は多くの人に見てほしい!!!
毎年個人的に決めているベストアクトレス賞は、「モラル・オーダー」のマリア・デ・メディロス(ヘッダーの写真の彼女)です!これもあの当時、女性として生き抜くにはものすごくしんどかったであろうポルトガルの実在のブルジョワ女性をモデルにした作品でした。
それと、今年はイスラエル映画に当たりが多いなと個人的に感じました。テルアビブ・オン・ファイア然り、声優夫婦の甘くない生活然り。アラブとの敵対に関するものがメインというわけでもなく、恋愛や社会派万遍なく。個人的に「リーディングクラブ」が好きでした。全く誰もこの映画について言及している人がいないけど。
絞りきれなかったわりには、溢れ出る思いが強すぎて、まとまりのないレビューとなりましたが、また2021年も素晴らしい作品に出合えることを期待して…。
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