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【cinema】きっと、いい日が待っている

2017年69本目。デンマーク映画。

この映画は、私がいわゆる失恋した直後に見に行ったもので、ある意味思い出深いものなんですが、もうあれから3ヶ月経ったと思うと、月日が流れるのは早いなぁと。ラブストーリーとか観れる状況じゃなかったから、妥当な選択だったと思う。いや、そんなことは置いといて。

1967年。労働者階級の家庭に生まれた13歳の兄エリックと10歳の弟エルマーは、病気の母親から引き離されて養護施設に預けられる。そこでは、しつけとは名ばかりの体罰が横行していた。さらにエリックたちは新しい環境になじめず、上級生たちによるイジメの標的になってしまう。そんな過酷な日常から抜け出すべく、兄弟は施設からの逃亡を図る。(映画.comより転記)

劣悪な環境にある養護施設や孤児院が取り上げられた映画は今までも何度も見てきました。そこで映し出されるのは、教師たちによる虐待や既にいる子らからのいじめなど。イヤな奴もいれば、協力してくれる奴もいる。このあたりは他の作品と変わりありません。

見ていて苦しくなるばかりで、心は荒んでしまうのだけど、弟エルマーの宇宙飛行士に憧れての言動が、唯一の希望というか、この作品に輝きをもたらしています。どんなに悪ぶって強がっていても、みんな心の底では癒しや希望を求めている。だから、エルマーの紡ぎ出す言葉は彼らにとって魔法のように効くんです。そんな輝きを踏みにじるのが、汚い大人たちです。もう見ていて胸糞悪くなるというのはこういうこと。

↑もうコイツ、どうにかしてくれ、と思うイヤな先公。小児性愛者ってホント何とかならんものだろうか。GPSで監視するとか。

↑こやつが諸悪の根源の校長。とにかく自分の昇進やら権力を守ることしか考えてない。って俳優の名前、ラース・ミケルセンっていうからもしやと思ったら、我が愛しのマッツ・ミケルセンのお兄さんでした。たしかに骨格とか似てる。

それとこれもお約束かもしれないけど、先生の中にも味方になってくれる人がいて、それが女性教師なんだけど、彼女が最後まで一緒に闘ってくれるかと思いきや、思いきや、なんですね。実際はそんな綺麗事で片付けられる話でもなくて。とにかく全てをややこしくするのは大人たちで、彼らの都合で子どもたちは翻弄されるのだということを思い知らされました。

それでも、きっと、いい日が待っている。道を切り拓くのは、エリックであり、エルマー自らなんです。それが本当に希望。彼らにとっては、絶望の連続だったけれど、いつだって諦めることをしなかった。どんなに痛めつけられても、虐げられても、どんなことをしてでも抜け出そうとする精神が他の子たちと違い、あったということ。たとえが悪いかもしれないけれど、アウシュヴィッツ収容所やその他の劣悪な環境から生き延びた、抜け出せた人たちって、そういうことなのかなって。

まとまりのない感想ですが、幾度となく涙し、特に弟エルマーの強さに心を打たれました。実話を基にした話だそうです。社会福祉の進んでいるデンマークでも今から50年ほど前はこんな環境にあったんですね。めちゃくちゃ希望に満ち溢れたキラキラした話でもなく、そこは現実を捉えながら映し出されるこの映画がとても好ましく感じられました。

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