睡眠薬の副作用|ゾルピデムに禁忌として「本剤で睡眠随伴症状(夢遊症状等)の既往歴がある人」が追加されました。
睡眠導入剤のゾルピデム(先発品はマイスリー)は、他の睡眠剤に比較して、筋弛緩作用による転倒や依存性が少ないこと、作用時間が短くすぐに寝つけて朝の目覚めが良いなどの評価が高く、汎用されている薬です。
ただし、あくまでも従来の薬よりも比較的副作用が少ないという事であって、副作用がないわけではありません。
【禁忌の項目が追加になったことについて】
添付文書の内容は、禁忌として「本剤の服用により、睡眠随伴症状(夢遊症状等)として異常行動を発現したことのある患者」『重篤な自傷・他傷行為、事故等に至る睡眠随伴症状を発現するおそれがある。』
とあります。
この文章を読んで、以前患者さんから聞いた話を思い出しました。
【夢遊病みたいなことは結構ある】
睡眠薬を服用している患者さんから、ある時
「実は、夜中に冷蔵庫を漁って、ものすごくたくさん食べてしまうんです。自分では記憶がないのですが、朝起きると確実にその形跡が残っているので間違いありません。自分が怖くなってしまって。」と申告がありました。
夜中に食べる等の行動は【睡眠関連摂食障害(SRED)】の一種で、眠りの深いノンレム睡眠の時に不完全に覚醒した状態で起こり、本人は覚えていません。
この時は、睡眠薬がほぼ原因だろうと、服薬は中止になり、症状も無くなりました。
【夜中に食べること】に限りませんが、そのような夢遊症状や、途中覚醒した時の記憶がないという症状はゾルピデムに限らず他の睡眠薬でも少なからずあります。(薬が原因でなくても起こります)
もし、外に出てしまったり、階段から落ちてしまったりしたら重大な事故に繋がります。
今回の改訂を受けて、SNS上では「夜中に食べ物を漁って食べる」という体験を伝えるケースも散見しましたので、結構あることなのだと思います。
それでもゾルピデムは、今ある睡眠薬の中でも安全性の高い薬ですし、【眠れない】という差し迫った状況で短期間使用することは必要であり、リスクよりもベネフィットの方が高いと思います。
ただ、短期間で終われないことも多く、本来不眠症は、睡眠薬が必要なくなることで完治と言えるのですが、そうはならずに長期に渡って薬を服用し続けるケースが少なくないことには問題を感じています。
それについては、国の政策として薬の処方日数を制限したり、漫然と長期間処方した場合には医療者側の診療報酬を減ずる等の対策をしてはいますが、そうした外側からの規制をしてはいても、患者さんからの【必要】の声が多く、なかなか難しいところです。
【依存について】
睡眠薬が長期間に渡って服用されていることは、【依存】の問題もありますが、他の病気や社会生活等の根本的な原因が解決されないということもあるのだと思います。
不眠症には様々な背景があり、なかなか難しいですね。
依存については、身体的依存もありますが、精神的依存の方が目立ちます。
私の薬局では、内科の処方箋が多いですが、広く様々な診療科の処方箋を扱っていますので、あくまでも私の薬局における印象です。
精神科、心療内科専門のところでは違うかもしれません。
「飲まないと眠れない気がするので不安で飲んでしまう。」
「すぐに眠れないと嫌だから飲む」
という声をよく耳にします。
ただ、人には簡単に言えない深い理由や事情、状況等もありますので、表面上の理由だけでは判断できませんが。
このようなケースであれば、服用しない日を作ったり、副作用のことを機会あるごとにお伝えして、徐々に薬に頼らない生活へと向かうことが可能だと思います。
前回の記事にも書きましたが、
薬は100%安全でも危険でもありません。
怖がり過ぎず、楽観し過ぎず、状況に応じてリスクとベネフィットを熟慮した上で有意義に使用することが大切だと、今回の改訂で改めて思いました。
因みに、睡眠剤や精神安定剤を減薬、断薬した体験者の座談会に参加した時に知ったのは、皆さんが薬の情報をネットや本で調べているということです。
まあ、そうかもしれないなとは思いますが、試しに検索してみたところ、うーん^^;と言う印象です。
沢山の情報が出てはきますが、嘘ではないけれど違うんだよな、という感じです。
今は医薬品の添付文書もネットで見ることができますが、基本的な知識がないと解釈は相当に難しいと思います。
睡眠薬や精神安定剤は、必ず医師や薬剤師が関わっていますので、疑問や知りたいことがあれば、まずは薬をもらっている医師や薬剤師に相談して欲しいなと思います。
何かヒントになれば幸いです。
安眠サプリ「リフレミン」ストア内にて販売中✨
一日5粒を目安にお休み前にお召し上がりください。
魔法のくすり屋さん✨
プロフィール🌈 https://lit.link/okurapharmacy