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読書日記|0904-0910


0904 晴れのち雨降って、そのあと曇り

昨夜遅くに泉鏡花の『外科室』を本棚からごそごそと探しまわり、見つからないまま、眠りについた。朝から外猫のTNR。といっても私は何もできることがなく、捕獲できますようにと願うのみだったのだけれども、そのあと無事に成功し、しかし一時間後、決死の体当たりによりドアをこじ開けられ、逃げられてしまったわけでありまして、なんともならないこともあるのです。そんなふうにしてはじまった月曜日。気を取り直して読みはじめたのは『母という呪縛 娘という牢獄』で、のちに読了。実話だと知らずだったからなのか衝撃、衝撃というか、いや、まちがえた、衝撃とはちがうか。読みながら、殺しちゃうわなと淡々とおもう。嘘ばかりが交差し、その都度繰り返される執拗なまでの暴力、暴言。教育虐待。子は親の所有物でもなんでもない、親を喜ばすために、親のプライドを守る為に生まれてきたわけでもない。もはや異常だった。

「娘に『私は自由になりたい!私も好きなようにするから、お母さんも好きなこと見つけて生きれば』って言われても……。母親は娘あっての母親でしょ!?いまさら好きなようにって……。いままでしたことは何なの?虚しくなって……」

P167

子を育てることが宿命だと、生き甲斐だとおもう人って結構いるように思う。子がいる方との会話は半分以上が子の話で、生活の大半を子に捧げているとこうなるよね、といつも思っていて、だけどこれって少しでも踏み外せば、おそらく誰もがこうなる可能性を秘めているよなあ。だけど守るべきものというのはそう簡単に切り離せなくて、例えば私は猫が生活の大半をしめているし、しかし何事にも限度が必要なのであって、あるいは自立心。自由でありたいね、互いに。

『八本脚の蝶』108頁まで。




0905 晴れたまに雨降る

いま私が手渡されたこのようにかそけくうつくしいものを消してしまわないように、そしてだれかにまた手渡せるように。そのためだけにでも私は生きていこう。

『八本脚の蝶』P.122


病院。大丈夫そう。帰り、必要なものを買う。きっと必要でなくなるのだろうと思いながら。


近所の人が段ボールに捨てられた子猫をみつける。段ボールの中にはカリカリとペットボトルに入った水。捨てた人に問いたい。猫がペットボトルを開けて飲むと思った?白色で背中が茶色の子猫二匹は女の子で人懐こい。猫風邪もひいていなければノミもいない。完璧な室内飼い。家で飼っていた子をどんな気持ちで捨てた?四日ほど何も食べていなかったようでガリガリに痩せていた。家でご飯をあげると信じられない勢いで食べはじめる。医療費、ご飯代をいただいた上で我が家で保護することに。怖かったね。もう大丈夫だよ。今月末の譲渡会には参加できそうなので、良いご縁がありますようにと願いながらも、それまではたくさんご飯を食べて、安心して生活してね。きなことこむぎという名です。彼女たちが幸せな猫生を歩めますように。



0906 曇り時々ゲリラ豪雨、たまに晴れ

私が死んだら悲しむ人がいて、私がいたらうれしいという人がいる、そういった私的な支え合いの中で生きています。生きていたらやりたいことはたくさんあります。でも生自体を支える根拠はありません。私は自分の髪を自分で摑んで虚空の中に落ちていかないように支えているような気がします。

『八本脚の蝶』P132


夜、佑季さんとLINEで『母という呪縛 娘という牢獄』について話す。呪縛というのは恐ろしいものでそこから抜け出すことができるのはおそらく一握りなのだろうね。殺人を安易に否定できなくなる、というか、もう殺すしかなかった。その他にもたくさん話したけれど表にだせるものなど一つもないので、健やかにいきましょうね、なるだけね。



0907 晴れ

九月いっぱいは残暑で夏は終わらないと決めこんでいたのに、朝と夜は涼しくて、だけど夏なのか秋なのかはわからなくて、もしかするとこのまま冬になるのかもしれないなんて思いながら、ベランダにでた猫を待っているのだけど、外の風が気持ちよいのか帰ってこない。犬と一緒に布団で寝転がり、本を読んだり、今週末にある子猫譲渡会用の紹介カードをつくったり、とある本を一章読み、そんなこと起こるわけねぇよとうんざりし、読むのをやめたり。ブローティガンの詩集『ここに素敵なものがある』をひらき、孤独、とおもう。

孤独。孤独なはずなのに、どこかしらに人の気配をかんじる。それこそが彼の優しさなのか。わからない詩を何度も繰り返し読み、幾度目かにカクカクした連なりが丸みを帯び、美しくみえるようになる。それでもわからぬものはあって、いつか、私が日々を重ねた先に、得体の知れぬ美しいものを掬い上げることができたらいいなとおもう。大変良い詩集。



0908 曇りと雨

実在する人物を推すことの恐怖がこの数日間ずっと蔓延っている。これだから、といわれても仕方のないような盲目的な言葉、セカンドレイプ、あとは陰謀論のようなものが流れてきて、ある意味、宗教なのだなあとしか思えない。タレントを守ろうとしない会社なんてファンこそ怒るべきだと思うのだけれど。会見をみながら疑問に思ったことは、どうして類を見ないほどの凶悪犯罪についての会見なのに応援してくれるファンへの感謝をここで伝える必要があるのかということ。あとマスコミはどうしてあんなに偉そうなの。あなたたちも共犯でしょう。

『小川洋子の陶酔短編箱』、三島由紀夫『太陽と鉄』を図書館から家の近くの公民館まで取寄せ、母が受取りにいってくれる。ようやく泉鏡花『外科室』が読める喜び。我が家の本棚に眠るひとは諦めました。


そそくさと『外科室』を読む。一度すれ違った一目惚れの相手との再会は、患者と医師。秘め事を隠すために麻酔なしで開胸術をするんだから痛くて痛くてもう痛くて。愛する人の手で切られたとしても叫び散らすぜ、私なら。純愛ですよね、ほんとうに。



0909 晴れ

姉と甥っ子が遊びにきて、お昼はBBQ、夜は手巻き寿司で食べすぎて気持ち悪くなっている今。本を読まずに一日が過ぎてしまってなんとやら。ちょっと今から八本脚の蝶を読んで寝ます。



0910 晴れのち雨

子猫たちの譲渡会。先生に確認をし、薬を飲んで、参加。こはるのトライアルが決定し、ホッと一安心。来週はタケとかぐです。みんな頑張ろうね。あなたたちの一生が決まるので人間も頑張ります。幸せな猫生を過ごしてほしいから。



それでは、また。



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