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人口3000万の国になっても生き残る為にすべきこと

2023年も出生数の減少は続き、70万人台前半の数値となった。恐らく出生率は過去最低を更新すると見られる。

この話題についての、とあるツイートが目を引いた。

https://twitter.com/nas19672774/status/1728306366257987711?t=9A6tLZaZ-jYqxe2X8H6xDg&s=19


最初に見かけたときは非常にショックだったが、考えても見れば当然の話だ。なぜ気づかなかったのか。

今後も年間出生数が減っていき、仮に40万人程度の所で底打ち出来たとしても、出生数40万人の子達が高齢者になる頃には人口は3000万〜4000万の水準まで落ち込む。勿論これは出生数の推移や平均寿命の変動を考慮しない雑計算なのだが、何れにしても日本の総人口が現在の半分以下になる時代が確実にやってくるという事だ。

この国の少子化対策は今の経済水準を維持する事を最終的に目指しているし、筆者がこの問題に関心を持つようになったのも今の日本の暮らしや文化をどうにかして守れないかという事がきっかけであった。しかし、こうした話に気づいてからは、そうしたフェーズはとっくに過ぎており、自治体ごとで生き残り競争が始まっているのだ、と考えるようになった。

・今後取るべき戦略


では、こういった予測を踏まえて日本がどういう戦略を取るべきかを個人的に考えてみた。

・国

少子化対策自体は今後も推進していくべきである。それは人口の維持よりも、人口の減少ペースを緩やかにしてインフラや社会制度の破綻を防ぐ事と、出来るだけ早く人口減少を底打ちさせる為にやるものである。今後結婚や子育てを考える世代にはなるべくそれに参画するように促し、結婚支援や子育て支援を継続する。

現在政府は「こどもまんなか社会」を掲げ、様々な形で子育て世代を優遇する施策をとっているが、こうした「子供を産んで育てている人が問答無用で偉い」という発信は子育てに参画する人を増やすためにも強力に推進するべきだろう。

それと並行して、既に持続が難しくなっている社会保障制度の見直しを行う。特に、高齢者の医療自己負担の一律3割化と、診療や医薬品で必要性の低い(受けれないと危篤に陥る可能性が高い、という訳ではない)物の自己負担化辺りは早急に実施する。

https://www.mhlw.go.jp/content/000973207.pdf

・都市部

人口が減ってもある程度の水準を維持でき、地域の拠点として機能する都市については、若者が集まれるような再開発を行う。それは雇用や子育て支援に限らず、若者を惹き付けるキラキラを用意して街の雰囲気を変えることも同時に行う。

一例であるが、名古屋駅や大分駅、青森駅のような商業施設を集約した拠点を各都市部に置いて、若者の誘致を図るのが良いのではなかろうか。

人口減少の中でも東京一極集中が進んでいるのが現状であり、この状況に歯止めをかける事も必要である。国全体としては都市部に機能を集約しつつも、東京に集まりすぎず適度に分散させる。同時に各都市を繋ぐ交通インフラを残していく。これが出来れば理想的であろう。

・地方

国の人口が半分以下になるという事は各自治体の人口も半分かそれ以下になる可能性が高いという事だ。例えば人口が現在40万の都市なら2100年頃には10〜15万程度、現在10万人程度の都市なら2100年頃には2〜3万程度になる可能性がある。それを見越して街としての機能を維持するための取り組みが求められる。

こうした状況の中で、既に人口でも街の規模でも都市部より不利である地方が今と同じような運営方法で街を維持できるか、と言えば残念ながら厳しいと言わざるを得ない。

故に、地方自治体については街づくりとは違う独自性を突き詰めて運営する方が、生き残れる可能性が高いのではないかと考える。具体的に言えば、農業や漁業が盛んな街であればそれをする為の、有名な観光地がある場所ならそこを管理、運営する為の地域に特化させてしまうという方法だ。

最低限の行政施設だけ残して後は地場産業を行うだけ、という形態にした方が維持コスト面でも有利になる他、「国の中でその街が果たす役割」のようなものを提示できて、国からの支援や産業従事者の誘致を受けやすくなり、地域としての持続性はむしろ高まるのではないかと思う。

街づくりをやるのであれば、都会での暮らしに生きづらさを抱えている人の受け皿を作ったり、都会では出来ないゆとりのある子育て環境を整備したりと、都会とは明確に差別化した街づくりをした方が人の流入が期待できるだろう。筆者は学生時代に上京後、現在は地方に戻って生活をしている。そうした理由のひとつに、都会は人もモノも多すぎて暮らしているうちに疲れてしまうというのがあった。筆者のような事例に限らず、都会暮らしでは拾えないニーズを地方が積極的に拾い、それに合わせた街づくりを行えば、自治体としての持続性も高まっていく可能性があると思う。

無論、現地に住んでいる人達の生活に多大な影響を及ぼす事になるので簡単に行く話ではないのだが、少なくとも都市部と同じような街づくりをやろうとしても勝ち目はないので、独自性をもっと出していくことが必須である。

・個人

まず最初に、今ある娯楽やサービスの類いは楽しめるうちに楽しんでおくべきである。

人口が減れば、今のサービス水準も当然の事ながらいずれは維持できなくなる。お気に入りのお店も人手が足りず、売り上げに関わらず閉店するという事が今後は続出する。

鉄道趣味の話で恐縮だが、鉄道ファンの間では、かつて日本中を走っていた寝台特急に「大きくなってから乗ろうね」と言われ、いざ大人になり列車に乗れるだけの金を持ったら列車自体がなくなっていた、という話題が頻りに出てくる。乗れるうちに無理をしてでも乗っておけばよかったという後悔しているマニアは少なくないのだ。今後は鉄道に限らずあらゆる娯楽においてこういった事が起こりうるので、今楽しめるうちに楽しんでおいて後で後悔がないようにしておいた方が良いのである。

(余談だが、筆者は全国を旅行する中で、この街の光景もそこらへんの店もいずれ人が減って無くなってしまうのか…と考え鬱々とした気分になることも少なくなかったのだが、これからは無くなる事は確定している前提で楽しめるうちに楽しもうかと考えている。)

また、街にしろ、会社にしろ、コミュニティにしろ、「これはなくなっては困る」というものがあれば、積極的に守る行動に出る事をお勧めする。寄付をするなり、労働をするなり、方法は何でも良いが、それを維持する為の行動を自発的にするのだ。

現在の日本では国や社会を責めはするものの、自分から問題についてコミットする人は少ない。いわばお客様感覚の人が多いと言わざるを得ない。今後社会全体から余裕が無くなった時、いつまでも国に頼る姿勢では到底持たないので、自発的にそれを守る行動を起こすことが必要である。

これらを、NISAやidecoの運用といった私生活の保護も同時並行で行う。大変なのは百も承知だが、積極的に行動できた人とそうでない人とでは最終的に得られる物が全く違ってくるだろう。

・まとめ


こんな事を一通り考えてみたが、如何だろうか。

現状「人口減少で街の存続の危機」「このままでは生活が成り立たなくなる」という類の発言をそこらかしこで見かけるが、その割には本格的に対策をやっている気配のない人や自治体も多いと感じてしまう。特に自治体は目先の話題作りや選挙対策、補助金確保に終始している所も多い印象だ。

もし、本気で地域を残したいと考えているなら積極的に行動を起こすべきだと思うし、もし現地に住む人でも「先行きは厳しい」と感じているなら問題が深刻化する前に地域をどうするかの議論が必要だろう。

一方、個々人もネットで「こんな国はクソだし、もうおしまい!」と言うだけで終わりでは何の生産性もないので、そこから行動に移れるかが重要になる。先述の通り、お客様感覚ではいずれ行き詰まってしまうので辞めるべきだ。

筆者はこの国はいい国だと思っているし、今後も何とかして残していきたいので、自分自身にも国に対しても出来る事は積極的にやっていきたいと思う。そして、同じ考えの人が増える事を願ってやまない。

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