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作品に関わるクリエイター同士が皆win-winとなるには

つい先日もラノベとイラストレーターの件で話題になっていた。まあ、話題といってもラノベ読者間といった限定的なコミニティでの話といった所だっただろう。しかし、その後には編集者のアカウントも参戦するほどに少し大事にはなっていた。

この内容を追ってはいなかったが、過去に私が何度が述べていたこと様であった。それはラノベ作家とイラストレーターとの知名度の格差といったモノである。

これに関しては上記の記事だけでなく、私は何度と語ってきていたことだ。しかし、改めて考えてみると、これは作品に携わったクリエイター達のパワーバランスが偏っているのだと思った。
イラストレーターの知名度が高く、作家の知名度がないといった感じだ。

そして、その格差を理解した上で宣伝に使われているだけに、読者にしても作り手にしても、誰もがイヤでも思い知る結果になっている。

上記のTweetは本来、『君は僕の後悔』というライトノベル作品の宣伝Tweetであるのに、これではしぐれうい作品のセット販売にしかなっていない。

イラストレーター側の知名度だけで、文章作品を押しているのだ。そして、それを語っているのは、編集者である。しかも、他社のコンテンツを宣伝しているのである。

こういったクリエイターの格差を宣伝戦略としていれば、誰だって口にして、話題になっていく。ただの話題で済めばいいが、これでは悪評にも繋がっていくだろう。

現にこういった話題は今回だけでもないし、他でも見受けられる。

では、今回もそういったパワーバランスの偏りを語るのかといえば、そうではない。以前より、語ろうとは思っていたのだが例として扱う題材から少し迷っていた話である。ただ、語る内容は今回の逆でその作品に携わったクリエイターがみんなハッピーに作品作りである。

そんな理想的な関係があるのか?それに関しては、例を出しながら語っていきたい。

■「ぬきたし」出演者は皆、誇りに思っている?

『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』というエロゲーがある。少し前には芸人である野田クリスタルが地上波のテレビ番組で作品を紹介して、トレンド入りしていた。

また、コミカライズ版が漫画アプリでの連載から、紙雑誌、ウルトラジャンプでも連載をしていたりと、最近はエロゲー、成人向けの範疇て超えてきている作品である。

また、この作品は長らく、YouTube上でラジオ番組をしているのだが、不定期とはいえ、最近まで活動が継続されている。その間にはリアルイベントも開催されている。本作発売されて、3年近く経つのに。

その中でも、私が注目している点はこの作品に出演した声優陣が、この作品を期なのかTwitterを開始している人が多くいたことである。

確かに作品の知名度が上がるにつれ、出演した作品の人気に便乗することは何も不思議ではない。しかし、この作品はエロゲだ。

タイトルからも分かる様に、一般ゲームに移植されることは不可能に近い。「Fate」シリーズ、key作品などのようにエロゲーであっても、一般ゲームに移植され更なる知名度を得る作品様な作品ではないのだ。
一応、ウルトラジャンプでの一般誌に連載はされているが、これは近年の人気に便乗した部分もあるため、この点は一旦抜きにして考える。

だから、その知名度は本来、エロゲ界隈の限定であった。

それでも声優陣は、この作品の人気を盛り上げるようにTwitter等で発信を始めていた。そして、この作品に関わったことをある種、誇りに感じている節もあった。それは声優陣に限らず、BGMを担当された作曲家なども同様で、この作品での内容を発信していた。

そもそも、1タイトルだけでここまで長期的、多方面に展開するエロゲーのタイトルはまれである。また、一般ゲームにおいても、アプリゲームでなければ難しい話である。
これに近い展開をしているのが、「Fate」シリーズぐらいである。

しかも、この人気は始めから「Fate」のように約束されたモノではない。今ではウルトラジャンプでも連載を勝ち得ているとはいえ。

この人気を得ていく様を直で見ていて私が思ったのは、冒頭でも語った作品に携わったクリエイター同士がみんなハッピーに作品作りではないかである。

確かに、この作品はしっかりとしたストーリーである。それでも、基本はエロゲーであり、バカゲー。だからといって、プレイすれば分かることだが、声優の演技は手が抜いていない。
声優も馬鹿げた台詞であっても、芯がしっかりしたストーリーがあるから、真摯にいたのではないだろうか。

そして、これは声優だけでなく、プレイヤーにすぎなかった野田クリスタルも同じであったのではないか。地上波でエロゲーを語る本来であれば、暴挙なのだから。それでも素晴らしい作品を純粋に伝えたいという気持ちが、行動に出たのではないか。

私はこの番組を見てないのであれだが、情報としては普通にゲームを紹介する回であったそうだ。それなのに、一人だけエロゲーを紹介した。
確かに芸人として、笑いを狙っている部分はあっただろう。それでも成人向けコンテンツであるエロゲーを地上波で紹介するのはリスクが大きい。それでも、番組制作者達にしてもこれで問題がないと放送。更には他の出演者も、その内容に賞賛するほどであったそうな。

クリエイター以外であっても、作品を通してハッピーになっているのだ。そして、その内容を見た側すらハッピーになる。

これは凄いことではないだろうか。みんながwin-winとなっているのだから。

冒頭の話と比較するのは皮肉じみているかも知れないが、本来エロゲーという日陰の存在であったのに、地上波、一般誌に舞台を移してもイヤな思いにさせていないのは、本当に凄いの一言である。
当然、エロゲーとして嫌悪している人もいるだろうが、現在はそういった点は、大きく問題視はされていない。

■グレート-O-カーンと大空スバル式羊殺し

グレート-O-カーンというプロレスラーの得意技には“大空スバル式羊殺し”というモノがある。
有名な話でもあり、また技名にある名前から気が付く人はいるかも知れないが、VTuber、大空スバルから来ている。

この技名は公認であるが、その技に対する苦悩が本人のインタビュー記事にて語られている。

確かにオタク文化をプロレスに持ち込んだとして、どれだけの人が認めてくれるだろうか。

『キン肉マン』に出てくる必殺技にしても、実際のプロレスラーの持ち技になっているが、これはプロレスいうジャンルが合致しているから大きな問題はない。

しかし、VTuberの人気が大きかろうが、プロレスではミスマッチである。

また、VTuberの人気だけをあやかりたかったら、衣装なり登場曲など楽な方法はいくらでもあるはず。しかし、プロレスという一番の見せ場、試合の中でVTuberのネタを行っている。

そして、大空スバル式羊殺しをプロレスで通用する技へと、昇華している。そのネタを知らなくとも、プロレスファンにも通用する形に落とし込んでいる。
だからこそ、グレート-O-カーンの“大空スバル式羊殺し”は『ふざけている』という声はあるにせよ、得意技として認知されている。
それは技の解説にしてくれるアナウンサーからも、しっかりと補足してくれている。

そして、ネタ元である大空スバル本人にしてもそうである。

これに関しても、ネタ元とネタをする側の関係ではあるが双方がwin-winとなっている。また、プロレスとVTuberという違った側面から見ている側にとってもである。

確かにグレート-O-カーンはアニメ好きとしても知られているが、ただその人気だけに便乗はしていない。技1つにしても、きちんとリスペクトされていることが見て取れるからだ。

そういった人間性が先日の女児救出やその後の対応にも、滲みでいたのかも知れない。しかも、プロレスラーとしては悪役、ヒールであることも意識しての立ち回りはそう簡単にできるモノではないだろう。

■生産者が分かる安心感と生産者の見えない大量生産

では、作品に関わるクリエイター同士でパワーバランスが偏る結果になのか?それは互いに研鑽、リスペクトしている様子が見えないからではないか。

それは先の2つの例にしても、どちらかの人気だけに便乗していないのが分かる。

そして、生産者の顔が見えない点も更なる要因になっているのではないだろうか。

『忍者と殺し屋のふたりぐらし』という作品の帯には、まるで農作物の生産者の顔を乗せるスタイルであった。しかし、この「農作物」と「生産者」の関係を見せることは、販売においてプラスになる事は広く知られている。

『抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?』でも、発売前に開発者らを交えた体験版の実況配信を行われていた。この点からも、生産者の顔が見える格好があった。

別に批判するわけではないが、ライトノベルにおいて生産者の顔が見える機会は少なく、似たようなジャンルが別作者によって大量生産されている。

それだけに先日も話題になった、ラノベとイラストレーターの件の本質とはこういった背景があるのではないだろうか。

顔の見えるイラストレーターと顔が見えない大量生産品の作家という関係が。それが偏っていると感じ取られる様に宣伝され、一方では他の作品ではクリエイター同士がwin-winになっている。

確かに、今まではイラストレーターも知られる機会は少なかった。しかし、今のしぐれういの様にイラストレーターとしての側面の方が知らない層も生まれて来ている現状である。

さて、冒頭に挙げた『君は僕の後悔』に関しては、自分は読んではいないモノの作家である、しめさば氏には前々から名前は知っていた。

それは『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』がアニメ化している点も多少あるが、自分も一時期プレイしていた『マジカミ』でのノベライズを担当、またゲーム中でもシナリオを担当されていたから、自分の中では強く名前を覚えていた。

また、この作品でしめさば氏がノベライズを担当する切っ掛けは、『マジカミ』のヘビーユーザーであったことらしい。

実はラノベであっても、win-winな関係は成り立って作品作りはされていると言える。しかし、『マジカミ』はアプリゲームだけに一概にラノベの話題にくくっていいのかも迷ってしまう部分はあるが。

■偏ったパワーバランスは昨今の深刻な問題となっている

こういった偏ったパワーバランスで作品作りは一長一短だとは思う。それだけに否定することは出来ない。とはいえ、このようなケースは最近は炎上になりやすく、非難される事も多い。

つい先日も、テレビ番組に出たマナー講師がパワハラまがいな態度で炎上をしていた。その態度にも問題があるにせよ、この内容で放送しても問題ないと考えている方が今の時代、おかしいと言わざる負えない。かたや地上波でエロゲーを真剣に語って、賛同されているのに。

これもまた偏ったパワーバランスといえるだろう。それは制作過程でもそうだが、マナー講師が強く、受ける側が弱いという点でも偏っている。

また今年の新年からコンビニのツナマヨに対して、シェフが試食拒否した話もあった。番組的な演出にしても、シェフと食品の開発者という同じ業種のクリエイターであっても、偏った関係性を示してしまっていた。
シェフはえらく、コンビニだから低俗といった印象さえ受けるような話だけに、こちらもざまざまな方向で炎上していた案件だ。

そして、炎上という事で作り手同士だけなく、受け手の誰一人として得を生み出さない構図となっている。

だからこそ、同様な構図を孕んでいるラノベとイラストレーターというのは、今後においてしっかりと対応を行っていく必要があるのかも知れない。また、昨今ではコミカライズにおいても似たケースも出ている。

実際、ラノベ界隈という中であっても、今回の様な話題になっているのだから。

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