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短編小説

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【短編小説】猫

【短編小説】猫

 家を建てる時、書斎にする二階は、壁を大きく切って広い窓にしてもらった。見下ろせば隣家の屋根だが、こうして机について水平に目をやれば、幾分かの雑木林、その向こうに山々の清とした連なりを見ることができる。秋が深まれば、尾根は白く染まり、私の目を更に楽しませてくれる。
 もうひとつ私を楽しませるのは、窓の手すりに野良猫が、やってくることだった。一階の屋根づたいに近づいてきて、雨樋に器用に足をかけ、ヒョ

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