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アウェイゲームを戦い抜いた2日間で得た学びは?|2023おおいた起業体験プログラム④

2/10-11と福岡・大名にある大分県の就職支援施設dot.にて「dot.マルシェ」を開催しました。

これは今年度から始めた「おおいた起業体験プログラム」の販売実践に相当するもので、ここまで2回の授業、その合間に数回のオンラインミーティングを経ながら、日田、豊後大野、佐伯の3都市に住む高校生が自分たちの街にある産品を持って福岡にやってきました。

また、このプログラムでは、福岡大学だけではなく、久留米大学、中村学園大学とdot.でインターンをしていた学生さんや、大分大学、立命館アジア太平洋大学、日本文理大学と大分の各大学に在籍する学生もサポートで手伝ってくださいました。こうしていくつもの大学に「スプラウト」に関わってもらうことは今までなく、果たして初の対面でどんな化学反応が起きるのか。これはもう楽しみでした。

ということで、今回は販売実践とふりかえりの「おおいた起業体験プログラム@福岡編」をお伝えします。

ここまでの講義の様子は以下のマガジンをご覧ください。

殻を破ることはできたのか?:1日目

いよいよ始まった1日目。福岡のサポートチームと比較的近い日田の高校生たちは10時に集合して机の移動や出店準備に。やがて豊後大野、佐伯から高校生たち、大分在住の大学生メンターも到着して自己紹介タイム。これまでオンラインだけで会っていた学生と高校生が初対面となる。

諸々準備のあと、お昼を食べていない高校生たちが大学生に連れられて街へ出る。今までは買い物や何かの用事でしか来たことがなかった場所。ここでモノを売るなんて経験はしたことがないだろう。ザワザワと人が行き交う繁華街。果たしてどれだけのお客様が来るのだろうか。

今回の販売商品の一部。10 Coffeeさんにはお世話になりました!

今回のマルシェのコンセプトは、高校生がそれぞれの地元で売られている産品あるいは自らが商品を企画したものを売ることを通じて、自分たちの暮らす街にありふれているモノの見方を変えて、その良さを発見しようとするもの。1つ1つの商品は300円から500円程度のものだが、その良さを伝えれば買ってもらえるというものでもないだろう。果たして、高校生たちはこの難題をどう解くのだろうか。

豊後大野のディスプレイ。デザインが素晴らしかった。

豊後大野の2人(本当は3人だったが、1人インフルで欠席)はこのために商品を1から開発し、POPやコンセプトも自分たちで作り上げてきた。仕入れて売るより、自分たちで作ってしまった方が良いかもしれないと、近くの洋菓子店の協力を得て「好いも甘いも」というオリジナル商品を作り上げてしまった。しかも、細かく原価計算をしつつ、売価をどう設定するかも相当に悩んだそうだ。

佐伯からは高校生がチラシを作成。

佐伯から来た2人は、海の街ということもあってアーモンドフィッシュ、岩のり、くろめスープと海産物勝負。チラシのデザインも高校生自ら行って、佐伯を知ってもらおうと勝負。いずれも現地の良い商品で、特に1日目に用意していたくろめスープは完売した。

日田は「進撃の巨人」グッズで勝負。

日田は参加した高校が販売実習を行う学校であることもあって、学校が開発した日田梨を使ったケーキやクッキー、梅シロップなどを販売。それに合わせて社会人メンターの機転で「進撃の巨人」のグッズを販売。日田の名産である杉を使ったクリアファイルやコースターを販売した。

しかし、なかなか思うように売上は上がらない。というのも、併設したカフェの来店客数がどうも増えてこないからだ。あとあとふりかえってみると、この日は福岡発上陸の「ブルーボトルコーヒー」の営業開始から2日目で、どうやらターゲット層としている顧客が被ってしまい、なかなか厳しい状況にあったようだ。

それでも高校生たちは精一杯販売をしようと頑張ってくれた。そこそこの金額を売り上げたところで営業終了時間の16:00に。そこから大学生を交えたふりかえりタイム。

佐伯チームのふりかえり

ここで各チーム、真剣に議論が始まる。最初着いた頃は福岡に来た高揚感と「本当に売れるのかな?」という不安でいっぱいだっただろう高校生たち。ここで大学生のアドバイスを受けながら、明日にできる方策を巡らす。だんだん顔つきも変わって来て、今からできることを議論していたようだ。

1日目を終えての全体ふりかえり

全体ふりかえりでも、まだ少しばかり他人事のように捉えているようなコメントもあったが、実際にお客様の声を聞いたことで、さらに考えることもあったようだ。とにもかくにも、高校生にとっては貴重な経験になっていることは間違いなさそうだった。

このあと宿泊地に移動して、自由時間に。大人メンターは酒を酌み交わしながらこの日のふりかえりをし、高校生と、ともに宿泊する大分から来た大学生メンターは、呉越同舟さながら近くのファミレスに行って作戦会議をしたのだそう。近くに大型スーパーがあったこともあって、翌日に使用するPOPや店舗外装も新たに調達して準備を行ったのだそう。

また、夜は気付けばみんなが集まってちょっとした交流の時間にもなったのだそう。宿泊地を一緒にしたことで、少しずつ交流も深まってきたのだそうだ。

小さな機会を掴むことが成長の一歩:2日目

こうして迎えた2日目。この日は11:00-16:00の営業時間。立てた目標はいずれも完売。果たしてどんな展開になるのだろうか。

2日目スタート。前日よりも人が来ずに焦る。

高校生は意気込んでいるのに、客足は遠い。3連休の2日目だが、午前中はほとんど売上が上がらない。関係者は誰しも焦ってしまう。

ここで状況をブレイクしたのは大学生たちだった。待っていても仕方がないから、許される範囲内で呼び込みをしようと、ホワイトボードを持って外に出ていく。向かいにある店舗で行列している人たちにも声かけをして(迷惑だけど頑張ってる!)みると、食事を終えた人たちが階段を登って来た。

外での呼び込みを頑張ったみんな。

多くは韓国人観光客。「進撃の巨人」が好きでグッズを購入したり、韓国語を学んでいる大学生が翻訳して商品の良さを説明したことで販売に繋げていく。高校生も自分の言葉で商品の良さを伝え始めていくことで、1つ1つ売上が積み上がる。その積み重ねでしか、売上は上がらない。

そして、閉店が近くなって来た15:30頃だろうか。豊後大野チームの商品90個が完売した。火がつく他のチーム。営業終了時刻の16:00を過ぎても販売したいと申し出て来たので、30分延長した。

すると、3つの街が1つになって協力し合うことに。早く売り切れた豊後大野の高校生たちは外に出て呼び込みをし、他の街をサポート。また、終了後に互いに購入しあったりもして、完売とはいかなかったものの、用意した商品のいくつかを売り切ることができた。

営業終了後のふりかえり。完売もあって元気。

こうして2日間の「dot.マルシェ」は閉店。完全な完売とはいかなかったが、一定の売上と多くの学びを得る機会になった。

最後は集合写真。

片付けと全体ふりかえり後は記念写真の撮影。そして、急遽設定した某中華料理店での打ち上げ。ここでも大分から来た大学生が高校生たち同士で少しでも仲良くなってもらおうと盛り上げ役に。大人たちは大人たちで大盛り上がりで、笑いの絶えない時間になった。

ここまでの学びを言葉にすると?:3日目

さて、プログラムはこの日で終わらず、最終日は見覚えのある教室でのプログラム全体のふりかえり。高校生に初めて大学に来てもらうことで、ここまでの2日間とはまた異なる「福岡」を体感してもらう機会に。

10:00から授業はスタート。ここからは再びゼミ2年生による授業に。ゼミ恒例のふりかえりシートをベースに高校生たちは前日の打ち上げ後に真面目にふりかえりをしてくれていた。自分の言葉でポジティブなことも、ネガティヴなこともびっしりと。

ワークシートは言葉でびっしり

昨晩は人狼ゲームで地域関係なしに盛り上がったようで、これまた良い機会になった。佐伯から参加した男子高校生は初日の販売実績からほぼ徹夜でPOPを作り、少しでも売り上げを伸ばそうと試行錯誤。そして、2日目は他地域の高校生との交流ということでガッツを見せてくれた(ちなみに佐伯に戻った翌日から修学旅行で東京だそうな!)。

まるでバレエをしているような講師役の学生

それぞれの高校生は自分の言葉でここでの学びを共有しようと殻を破ってくれていた。初日はどこか閉じこもっていてどうしたものかと思っていたが、ローテーションを回してさまざまな人と話せるようにしていったら、最後にはみな堂々とこの経験から得られたことを話していた。

ふりかえりの様子

12月からの3ヶ月。それぞれ学校行事やプライベート、進路決定といろいろある中で、この3日間の経験は貴重なものになったに違いない。それは高校生が学ぶということだけでなく、サポートする大学生も、見守る社会人メンターも同じこと。誰しも未体験でどのような結果が得られるかもわからない中で、こうした着地を得られたのは参加してくれた誰もが前向きに関わってくれたからでしょう。

最後は修了証授与

こうしてプログラムは大団円を迎えた。最後は参加の証として急遽用意した「修了証」を授与して終了。

最後もやっぱり記念写真

そして、最後はやっぱり記念写真を撮影して解散。大分県のそれぞれの街から集まった高校生は各地へと帰っていくのでした。

ふりかえり

こうして3日間のプログラムが終了。12月から3ヶ月にわたり、2回の講義、その間の商品戦略会議、そして販売実習と、ここに関わった誰もが濃密な時間を過ごせたのではないかと感じている。

当の高校生たちはふりかえりで思いの丈をたくさん話をしてくれていたが、その様子を見て社会人メンターが刺激を受けまくっていたような気がする。日頃は各地で(仲間はたくさんいるけど、それぞれ局地戦を挑まねばならないために)孤軍奮闘とも言えるような状況にいる大人たちが、夜な夜な未来を語り合い、高校生や若い人にどんな機会を創れるかを話していたのは貴重な時間だったに違いない。

また、今回参加してくれた大学生たちも何かしらの想いというか、気づきを得てくれたのだとしたら嬉しい。斜め上から、過去の自分をふりかえりながら、残りの学生生活でもっとチャレンジしようって思ってくれたのだとしたら最高。このプログラムはなんとかして来年度も実施しようと準備しているので、また手伝って欲しいし、いずれはゼミ生のように授業を進める立場になってくれたら嬉しいですね。

加えて、今回参加してくれた高校3年生は春から進学するので、即このプログラムの学生メンターとして活躍してくれそうでもある。こうしてこのプログラムを通じて輪が広がることが嬉しい。

ゼミ生たちも今回初めて他大学の学生を受け入れてのプログラム。しかも、2年次生に引き継いで最初のプログラムで、かつオンライン、他地域から福岡に招き入れるという初めてづくしで大変だったに違いない。それでも協力し合って落ち着いたプログラムの運営だったし、急な変更にもしっかり対応してくれて感謝、感謝。

私自身としては、ここを乗り切れたことをホッとしているし、2024年度のさらなる多拠点化に向けて手応えを得ることができた。あとはいかに講義内容の標準化とオリジナリティのバランスを取るか。ここは2024年度の課題となるところだ。

最後に、今回携わっていただいた皆さん、改めて感謝申し上げます。次年度のスケジュールが概ね決まったところで、このプログラムをさらに盛り上げられるよう頑張っていきましょう。引き続きお力添えください。

(追伸)
講義の最後にFacebookアカウントを作ってみんなで繋がりましょうと訴えたら、4人の高校生からリクエストが来た。いずれも勉強になった、これからチャレンジしていきたいという嬉しいコメント。これを機会に「本学を目指したい」という高校生もいるようで嬉しい限り。

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