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【機材紹介】愛機レビュー:FUJIFILM X-T4

FUJIFILM X-T4は私が去年に購入し、実際に仕事で使用しているカメラのひとつです。
これまでにキヤノンの一眼レフ5Dシリーズ、ソニーのミラーレスα7シリーズを所持してきましたが、初めて使うメーカーでしかもAPS-Cフォーマットということで、仕事用としては正直不安がありました。
そもそも、APS-Cカメラの認識は私の偏見もあるかもしれませんが、”小型軽量で取り回しは楽だけど性能はフルサイズに劣る”のような感じではないでしょうか。
しかし、実際に使用してみると良い意味で期待を裏切られ、このカメラは想像以上に良いカメラであることに驚かされました。
2020年に発売された機種で、そろそろ後継機の噂も流れ始めたので、いまのうちにチェックポイントをまとめて記しておこうと思います。
(写真用途での視点多めです)

まずは公式のスペックから抜粋

有効画素数 約2610万画素
撮像素子 23.5mm×15.6mm(APS-Cサイズ)X-Trans CMOS 4
記録メディア UHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ対応
手ブレ補正 補正機構センサーシフト方式5軸補正、補正段数最大6.5
連写 
約20コマ/秒(電子シャッター設定時)[連続記録枚数]非圧縮RAW: 33枚
約15コマ/秒[連続記録枚数] 非圧縮RAW: 35枚
オートフォーカス 低輝度性能 位相差:-7.0EV(XF50mmF1.0装着時)
動画 
DCI4K(4096×2160) 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 400Mbps/200Mbps/100Mbps 59.94p/50p: 連続最大約20分まで、29.97p/25p/24p/23.98p: 連続最大約30分まで

https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/cameras/x-t4/specifications/

そもそも発売当時のAPS-Cではこの価格帯(20〜30万円)にして規格外のスペックお化けではないですか。この表を見ただけでも「使ってみたい」と思わせるカメラだと思います。私にとってはまずそのことが購入の決め手になりました。

それではスペックをひとつずつ確認していきます。

画素数・画像素子


APS-Cフォーマットとしては画素数高め。というか高い。ソニーのAPS-Cカメラのα6600でも2420万画素なので、さらにもうちょっとだけ高いです。
カメラを比較する上で最もわかりやすい指標のひとつ画素数とは、撮影した画像を構成する色のドット(ピクセル)の総数を表す数字で、単純に考えると高ければ高いほど高精細で解像度が高い写真に見える傾向にあります。
iPhone13のカメラが1200万画素ですが、それでもあれだけ細かい描写が出来ているのを考えると、2600万画素がどれほど高精細な画像か想像できると思います。

実務的な話でいえば、一般的なフルHDのパソコンの画面は1920×1080=2073600ピクセル(約200万画素)、4Kでもせいぜい800万画素なので、1000万画素もあれば十分ということになります。しかし、写真を紙に印刷することを考慮すると、一般的に求められる解像度の基準(300dpi)ではA4用紙を埋めるだけでも3508×2480=8699840ピクセル(約870万画素)、A3用紙を埋めようとするとその倍の17399680ピクセル(約1700万画素)が必要になる計算です。iPhone13ではちょっと足りない。2600万画素もあれば、写真がちょっと傾いたり構図が微妙だったりしても、あとからトリミングする余裕まで十分にあります。

印刷用紙サイズと必要な画素数。

最終的な写真の見え方の解像度を語るには、もう少し複雑な概念が入り交じることになるため一概にはいえませんが、解像感につながる重要な因子のひとつである画素数だけでいえば、APS-Cフォーマットカメラで高画質な部類に入るといえます。

記録メディア



SDカードスロットがふたつあります


現場で嬉しいデュアルUHS-Ⅱ対応です。
そもそもUHS-Ⅱとは撮影した画像を保存するためにカメラ本体に挿入するSDカードという記録メディアの規格で、ⅠよりⅡの方が理論上3倍高速にデータ転送が可能なのだそうです。

撮影現場は時間に追われることが多く、一分一秒を争うような事態も少なくありません。高画素の動画や写真は綺麗に記録ができる一方でそれだけ保存される情報量も膨大になるので、シャッターやRECボタンを押した後、SDカードへのデータ保存に所要する時間はそれなりに長くなります。例えばUHS-Ⅰでの1秒間の浪費がUHS-Ⅱで0.3秒に短縮されることの恩恵は現場ではとても大きいです。少なくともスナップ撮影での0.7秒は重要なシーンを取り逃しかねない、命取りにつながるほど長い時間です。

また、PCへのデータ転送や、SDカードのデータフォーマット時もUHS-Ⅱ規格であれば大幅に短縮できるので、日常的な作業ストレスから開放されます。
加えて、X-T4はデュアルスロット(SDカードが二枚刺さる)で、二枚同時記録が出来るので、データ損失のトラブル防止や、現場ワークフローの効率化にも役立ちます。このあたりも含めた仕様はバッチリプロ用途の規格になっていて頼もしいです。

連射


20枚/秒で爆速です!
でもこれは電子シャッターの話で、そもそも普段の撮影でこれほどのスピードは要りません。電子シャッターは「ローリングシャッター歪み」という、センサーの読み取り速度に起因する写真の像が歪むような現象が起きるので用途は限定的です。私は基本的に使いません。
特筆すべきはメカシャッター時15枚/秒の方で、こちらであればローリングシャッター歪みも発生しません。15枚/秒という数字でも一眼カメラ全体でかなり高速な部類に入ります。
APS-Cフォーマットはフルサイズに比べて物理的にメカシャッターの構造も小さくなるので、高速化がしやすいことが利点となっています。イマでもバリバリ現役のキヤノンのフラッグシップモデルの一眼レフカメラEOS-1D X Mark III(価格差は3倍以上)ですらメカシャッターで16枚/秒なので、このクラスのカメラで連射性能は圧倒的といえます。

連射機能を使う機会は、スポーツや動物など動きのある対象を撮影する時と思われがちですが、実はもうひとつ重要な場面として集合写真があげられます。集合写真は全員の顔と目線が揃っていないと商品になりません。大人数の人たちが揃った場面で、一回のシャッターで全員がきれいな顔をしながら目を開く瞬間を狙うのは至難の業です。経験上不可能と言って良いです。大抵は誰かが変な顔をしていたり、目を閉じていたり、おかしな方向を向いたりしています。それを防ぐためにカメラマンは必死に声を張り上げて自分に注意を向けさせているのですが、それでも限界があるため、多くのカメラマンは連射を多用しています。そのような場面においてこのカメラの高速連写性能は頼もしい武器のひとつになります。

一方で連続撮影可能枚数が非圧縮RAW35枚は少々控えめです。上記の最高速連写は実質2秒ちょっとしか持たない計算です。連続撮影枚数が限界になるとどうなるかというと、それまで元気よくパシャシャシャシャッって切れていたシャッターが、息を切らしたようにシャカッ…シャカッ…シャカッ…みたいな感じに遅くなります。
これはバッファと呼ばれるSDカードに画像を保存する前に一時的にデータを蓄積するメモリ領域の大きさに起因する問題で、これが永久に連射をし続けるために必要な大きさを確保できていないことを示しています。本体価格を考慮すれば予算的にバッファの大きさに限界があるのは仕方ありませんが、もうちょっと欲しかったのが正直なところ。とはいえそれでも現場で人気のEOS 5D Mark IVと比較して倍の数値なので十分実用的な数値といえます。
またこの息切れ現象はSDカードへの画像の保存が完了すると解消されるので、ここでまたUHS-Ⅱの高速通信性能の恩恵を実感することができます。

動画


HDMI出力時で 4K60P 4:2:2 10bit
このカメラにこれ以上何を望みますか?

本体記録では圧縮4K20分が限度ですが、外部レコーダーを介して無制限の4K非圧縮動画の撮影が可能です。長尺動画を撮りたい場合はレコーダーかビデオカメラを別途で買いましょう。

ちなみに本体記録でもビットレート(一秒間あたりのデータ容量で、この数値が大きいほど映像は低ノイズで高画質になるが、動画データのファイルサイズも比例して大きくなる)は最大400Mbpsで記録可能で、これはノートPCでの編集が苦しくなる程度には高画質といえる数値です。
わかりやすい比較にYouTube4Kの推奨ビットレートは4K60Pの高画質設定で53~68 Mbps、8Kでも120~240 Mbpsなので、基準を満たすどころかオーバースペック気味なほど。

動画機としても十分な活躍が期待できると言って良いでしょう。
ただし録音用の機材は別に用意することをおすすめします。

オートフォーカス


最後に、このカメラで最も変態的に感じた性能について。

FUJIFILMのオートフォーカス性能の評判は実はあまり良くなく、どちらかというと苦手という声が聞かれます。
近年のカメラのオートフォーカス性能はその、カメラが搭載するセンサーだけに左右される因子ではなくて、プロセッサや装着しているレンズなど、複合的な要因が関わっています。
一般的にオートフォーカス性能の評価が高いカメラは、特にオートフォーカスの速度と正確性を重視する傾向にあり、特定の純正レンズとの組み合わせによってその機能を実現している場合が多いです。

限られた時間内や様々な環境でシャッターを切る必要性があるスナップ撮影の現場ではオートフォーカスはカメラマンのための強力な補助ツールで、私も重要視しています。写真撮影でオートフォーカスを有効化する操作方法は大きく二通りの方法が流通していて、シャッターボタン半押しか、親指オートフォーカスがあります。シングルオートフォーカスを使う場面では大差を感じませんが、コンティニュアスオートフォーカスを使う場合は親指オートフォーカスが有利なので(このあたりのAF機能の呼び名はメーカーで変わるかもしれません)、スペック表には明記されない情報ですが、親指オートフォーカスへの対応はカメラが道具として使えるかの基準のひとつになります。一応、X-T4はこの問題をクリアしています。

オートフォーカスの内部的な処理の話では、位相差コントラストの二種類があって、位相差の方が速いのですが、これもX-T4は対応しています。ちなみにレンズで対応非対応とかもありますがここ10年くらいのレンズは大抵は位相差に対応してます。

さて、なぜFUJIFILMのオートフォーカスの評価が微妙なのかというところで、X-T4先代のX-T3、あるいはX-T2まで遡ると、たしかにオートフォーカスに時間がかかるというような評判が見当たりました。
おそらくこれは搭載されていたセンサーの世代の問題で、X-T4に搭載されているX-Trans CMOS 4というセンサーはそれ以前のセンサーと比較して、手ブレ補正機能を実現しながら、オートフォーカスの性能も改善してきたのだと思われます。
もしかしたらとか電車とか、高速に移動する物体にピントを合わせようとすると上手く機能しないことがあるのかもしれませんが、少なくとも私が使用する現場で、静物や人物を撮影しているような環境ではそのような速度に関連する不自由は感じませんでした。
むしろ2016年製の他社製EFマウントレンズをしかもコンバーターを介して装着しているにもかからず機能を発揮できることを考慮すれば十分すぎるほどだと思います。

それよりも私が注目したかったのは、この数値についてです。

-7.0EV

見慣れない数値なので、はじめは誤植かとも思いました。

EV2とは「ごく一般的な家庭での夜間の室内照明の明るさにまで対応する」という意味です。
EV-3とかになると「ほぼ真っ暗でもAFの合焦が可能」という意味です。

https://bbs.kakaku.com/bbs/J0000014695/SortID=18447442/

ちょっとふさわしい引用かわかりませんが、とある価格.comのレビュアーさんのおっしゃるとおり、EV-3ほどにもなるとかなり暗所性能が高い認識で、実はキヤノンとソニーにフラッグシップモデルのEOS-1D X Mark IIIでもEV-6、α1でもEV-4とスペック表にあります。
F1.0とあるのでかなり明るいレンズを想定した数値に見えますが、それでも-7は低すぎると思って、実際に夜間の撮影に持ち出しましたが、その結果を踏まえても、体感的には正しいとしか思えない感覚でした。
その日は夜間のパフォーマンス公演の撮影で、一部明かりなしという厳しい条件でしたが、別のカメラのα7r3で到底オートフォーカスが機能しないような明るさでもX-T4はさも当然のようにピントを合わせ続けていました。正直裸眼で見えないような場所にまでピントを合わせに行くので、大げさかもしれませんが魔法のように感じるほどでした。

このあたりの計算式は正直よく理解していないのですが、是非機会があれば暗所性能に定評があるα7sシリーズや1D X Mark IIIと比較検証してみたいと思います。
ここまでで私が実感したのは、総合的に捉えてFUJIFILMのカメラ、X-T4のオートフォーカス性能は実用的であるということです。

その他



背面液晶画面はバリアングル仕様です。自撮りに使ってください。

昔、キヤノンの6D mark2を三脚に乗せてうっかり倒してしまって、その衝撃で液晶画面を壊してしまったことがあります。6D mark2の液晶も同じようにバリアングルでしたのであまり良い印象がありません。あとローアングル撮影のときはチルト液晶の方が楽です。
鞄に入れるとき液晶をひっくり返して内側に向けて収納することで傷を防げるのは良いです。

SmallRigのL型ハンドル

グリップが浅いデザインでホールドしにくいので、純正の縦グリップエクステンションを使うことをおすすめします。

これだけグリップを深くしてくれる
取り付けるとこんな感じ
重いレンズを使うときの安定感が段違いです

総評


以上ここまでレビューしてきましたが、X-T4は大きさ、価格、性能のバランスが良く、いま所持しているカメラで最も気に入っているカメラといえます。
単純な写りでいえばセンサーの大きさの問題もありますし、より上位の機種がありますが、現場での取り回しを考えて持ち出すのに躊躇するような金額では宝の持ち腐れになりそうですし、そういった意味では身の丈にあっているのかもしれません。
APS-Cフォーマットという特殊性もありますが、一台のみの運用という条件に縛られなければ、心からおすすめできる機体であると思います。
プロアマ向けのちょっぴりハイグレードな入門機という枠組みとして見てもなかなか良い選択肢になり得るのではないでしょうか。
まだまだ魅力は語り尽くせませんが、今回はこのくらいで終わりにしようと思います。
また実際の撮影例など交えてお伝えできればと思います。
おわり。

写真
カメラ:α7RⅢ
レンズ:SAL2470Z
画質設定:L 3:2, 非圧縮RAW
撮影:TSUZUKIToru

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