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短歌まとめ2

人間のかなしいところ見せあって "ふうふ"の響きはいのりに近い お互いをこんなもんか、とわらうとき とても美しい雲見た気分 かさかさのかたい手に触れた時 はからずもただの妻で良いなどと、ふと 私にはあらゆる名前がついていて そのどれでもない私と暮らして ふうふ、って温かいものがすくそばにあるような響き 冷めないうちに 空を見て、海見て、最後に君を見て どれも大きく、深く、知らない 終わらない映画を観てる気になったふたりでポップコーン食べながら #tanka って

    • 介護短歌

      ふわふわのお菓子を母へ 今ならば私の言葉も飲み込めますか 人生の階段降りてゆく父母へ「あしもと用センサーライト」買う エンディングノートを贈る たくさんの絵本を買ってくれたあなたへ 「終活をはじめたよ!」と母 思い出はいつまで大事に残しておくの

      • ほほえみのh

        wよりも、hをつかいたいh 文末にhをつけて(ほほえみ)の、もしくは(皮肉な笑み)の意とする そうなんだh、と君に返信し 独りよがりを楽しむ夜中 このhは何?とも聞かない君だから 一緒に生きてゆけると思うh ほほえみのhを多用した夕べ ただしhhhhのようには連ねない 皮肉な笑みhのあとには たいていの場合真顔が実は連なる 君だけに使うhではあるけれど 一切の性的な意味を含まずh ほほえみのhはしばしば儚げに 送信ののちに消えたりもする

        • かなしみ連作

          悲しみの中に入ったら受付の人に(体験)と伝えるように 悲しみは自動ドアです 開いたなら 追い風とともにお入り下さい 悲しみの受付について: チケットは無色ですからなくさぬように 幾度も訪れていても初回です 再来受付はしておりません 無重力レンタルします いつもより自分を重く感じますから 悲しみには屋根がありません しかしながら 空にかがやくものも見えません 〈気にするな〉と降ってくる声を掃除機で吸い込む係のおじさんがいる "悲しみの中では弱さは光です" 悲しみ受

        短歌まとめ2

          短歌まとめました

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          居酒屋短歌

          真夜中のメガハイボールを吸い込んだ君はわたしの風船でいて たこわさと君と私はいつだってメインメニューのつぎのつぎのつぎ 枝豆は食べ終えたけど私達いつもどこかが剥き出しだよね おつまみのように消費され肝心の美味しいところは捨てられる人だ 完全な幸せはなくて残された星形のオクラむやみに光る はんぶんこできないクリームコロッケのような大人に成り果てました のびすぎた鍋焼きうどんのやさしさをもっとあなたは大切にして しっかりと歩くふりをして本当は飲んだ分だけゆらゆらした

          居酒屋短歌

          終活短歌

          まぼろしの茶の間のような祭壇でうたたねするように安置されたい 座布団を枕に寝てて母さんに叱られるように昇天したい あの世でもその世でも良くて願わくばお散歩みたいに世を選びたい ※サザエさんのエンディング的に終わりたい 終活ノートに赤ペンで書く (葬儀の際流したい曲)は来週もまた聴けるような感があるもの

          終活短歌

          あきらめ

          あきらめの色は水色?と聞く人に炭酸水を奢ってあげる (あきらめたらおわりですよ)を最近は毎週資源ごみに出してる あきらめは毛布やふわふわが好きです時々撫でてあげてください あきらめを庭で飼っている夕暮れのにおいを嗅いで鳴いたりもする あきらめを育てているけど私より長生きしそうな気配がしてる あきらめと散歩をすると誰よりも早く名も無き花を見つける あきらめはノーリードで良い 夜更けには私へかならず帰ってくるから あきらめの背にくっついていたポジティブを今夜ひと晩眺

          あきらめ

          短歌その1

          立候補しない人として幾万の秋のポスターは貼られるのだろう 永遠などないとあなたは知っていた2人で青を百種類練る 君のこと例えるならば見たこともない雪原、と言って黙ろう 局地的かなしみにぬれた公園で配られる個別包装の虹 人々に掛けられる夜 ごく稀にドット、透明の場合があります 青よりも紺色が良いし春よりも冬の去り際に似ていた青春  飲み干した私をつめたく通り過ぎゆずティーは夏に生まれ直した 純ココアの夜練り終えたら渡します乳成分の多いあなたに  雨の夜のコーヒー

          短歌その1