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短歌その1

立候補しない人として幾万の秋のポスターは貼られるのだろう

永遠などないとあなたは知っていた2人で青を百種類練る

君のこと例えるならば見たこともない雪原、と言って黙ろう

局地的かなしみにぬれた公園で配られる個別包装の虹

人々に掛けられる夜 ごく稀にドット、透明の場合があります

青よりも紺色が良いし春よりも冬の去り際に似ていた青春

 飲み干した私をつめたく通り過ぎゆずティーは夏に生まれ直した

純ココアの夜練り終えたら渡します乳成分の多いあなたに 

雨の夜のコーヒー牛乳
わたくしと君のどちらが苦いのだろう

コーヒーを好むあなたの横にいてたぶん私はミルクになれず

豆乳ラテMサイズとしてだんだんと薄まりながら消えてゆきたい

ドトールの壁ぎわにいるおばさんに時々相槌を打つ抹茶ラテ

いつだろうやさしく涙ふくための力加減を知ったその日は

思い出がしっぽのように揺れるから忘れることを進化と言って 

コンビニの角にぶつかってばかりいる この町もむかし紙製だった

グラシン紙製の街ではひとびとの移動手段が光しかない

幸せの厚みをはかる眼差しでパンを四枚に切っていくひと

時々は森に住んでる生き物のふりをして君を迷子にしよう

再会はふっくらとしてこの人は地球に見切りをつけたのだろう

少年性かがやきを負った患者Aくんに透き通るガーゼをあてる

わたしへと届かないから美しい深海魚たちの放つひかりは

降りてきたS字フックに次々と希望を掛けて見送る人びと

生きたいと言えなくなったこの街であきらめ色のマスクを買った

ユニクロ内迷子になって目印はユニクロだよと電話をかけたい

何度でも椅子はつくられる人々に立ち去ることを教えるために


目を閉じて世界地図を指す多分ここで日本に憧れたのかな かつて

水の多い国に帰りたい見上げずに日がな一日空をみていたい

ひとり100タピオカのお触れ 守らない私は夏に会釈だけして

集中線主人公から借りてきて今だけわたしすごい存在 

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