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1 村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

読みました!『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』です。
地元の図書館で借りたのだが、私の帰省終了がすぐそこまで来ているので大急ぎで書いている(あんまり図書館で借りたとか言っちゃいけないんだっけ?すみません、もう言っちゃった)。

村上春樹を読んだのは実はこれが初めて。
私という奴は本当に最悪で、ご本人や研究者の皆さんに謝りたいことがあって、私は村上春樹の文体らしきものを今までずっとインターネットでしか見た事がなかった。村上春樹構文。本当に申し訳ありません。
そんなスタートラインのくせに、一発目にどの作品を読むべきか、少し調べた。たまたま読んだ一つ目が合わなくてそれから疎遠になっちゃったら寂しいからです。何事も出会いは大事なので。
そんで、1冊完結で比較的「分かりやすい」と言われる本書を選んだ。

多崎つくるは鉄道会社勤務の36歳。パーティで出会った2歳年上の恋人(?)沙羅にせがまれ、昔の話をする。
つくるは、大学2年のとき、高校時代のいつメンだった4人(アカ、アオ、シロ、クロ)に突然絶交を言い渡されショックで病む。めちゃくちゃ病む。本気で死を考える。それからただただルーティンをこなす日々の中で、大学で2歳年下の灰田に出会い、一緒にプールで泳いで、ご飯食べて、音楽を聴いて、不思議な話を聞いてだんだん元気がでてくるけど、灰田は 「ちょっと帰省する」的なことを言って以来消息不明。
話を聞いた沙羅はつくるにグループを追放された時の傷がまだ癒えていないことを指摘、いつメンと再会するよう言う。そしてつくるは沙羅の協力のもと追放された理由を聞くため友人たちのもとを巡礼する。


以下、感想をぐちゃぐちゃと書いております。
ネタバレをするし配慮がない。本書を読んでないと面白くない文章(読んでても面白くない)。


村上春樹の"感じ"そんなにイヤじゃない

びっくりしたのが、村上春樹ってめちゃくちゃ読みやすいじゃん!ってことだった。文章に比喩が多いし、なんというか言葉遣いからしても小難しく感じるかなぁと思っていたけど、全然サクサク読めた。すっごく素直に、おもしれぇ〜…と思った。
でも、たぶん比喩とか語り方?がかっこよくて、それが逆にかっこよすぎるように感じて、この表現要るんか⁉️と思ったことが多かったかも。
でもほんとに読みやすかったし面白かったんだよな。

気になった表現とか

つくるがシロやクロとセックスする夢を見たときに2人のおっぱいの描写があるのは当たり前だと思うんだけど、クロに会いに行って2人がハグする時におっぱいの描写をされたときには本気で、こいつ………‼️と思った。べつに性的な感じではなく生命力って事なんだけど。
作品を通して、普通の性描写があるというより、なんか何気ないところでおっぱいとかチンに関する表現が多かったような印象がある。えぇ⁉️脈絡ゥ‼️⁉️って思ってしまったけど私が読み取れてないだけかもとか思った😭 でも素直な感情は大切にしていきたい(ポジティブ)。
これ、ちょっと考えたけど、性的な文脈があればもうエロ‼️エロ‼️で良くて、私が 今!?って思ったところは「生きてるな〜」って思って読めばいいんじゃないかな、と。性は生であるから。
胸ってめちゃくちゃ神秘的で、鼓動を感じられるから素敵だ。たぶんそういうことなんだ。


クロとのハグのシーンに関しては、大学時代とか特に「でも僕童貞だし…」って感じだったつくるがエロい夢見たり、大人になって都合のいい相手と寝てみたりとか、沙羅と付き合ってはないけどセックスしてるわけだし、なんやかんやそういうの(性というかセックスというか)に近いところで生きていて、でもクロとはそういう感じにならんかったというのはちょっと新鮮だった(クロには旦那さんも子供もいて、その人たちをつくるは見てるからそれが抑止力になった側面もあっただろうけど、つくるは浮気相手と知ってなおセックスした前科あるし)。
でも友情100%の男女のハグを表現する時におっぱいって必要なん?ていうかおっぱいを表現してなおエロくないことが重要なのかな?うーん。
ていうか元気がなくてはエッチができぬ(腹が減っては戦ができぬ)なので、灰田の存在に励まされたり、時間の力によってちょっとずつ元気になったつくるがだんだん性に近づくのはわからない話ではないよね。さっきも書いたけど性は生という考えの元においては。


マジで笑ったシーン

めちゃくちゃ お!?ってなったシーンは、友人たちに絶交を告げられたつくるがストレスってガリッガリになったあとのところで、だんだん健康状態を取り戻してきた、という部分。あの、引用いいですか?

再び必要な筋肉がつき(以前の筋肉のつき方とはずいぶん違っていたが)、背筋がまっすぐに伸び、顔にも血色が戻ってきた。朝目覚めたときの硬い勃起も久方ぶりに経験するようになった。

村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』


マジで生命すぎてウケてしまった。生も性もひとつに担うのスゴすぎる。
正直最初ここを読んだ時はかなりムカついて、笑いながら呆れた。誰がお前のナニのこと聞いたんだよ、と思ってしまった。ストレスでもうちんちん勃たなくて…とか、朝勃ちしなくなって…とか書かれてたらフーンですむけどなんもなかった(と思う)。それでなんだかムカついてしまった。どうでもええねん、君のちんちんは。
でも冷静になるとここまで一発で 健康だ!!と思わされてしまう描写すご。
そんな場合じゃないのに笑った。


人の視点って面白いよねの話

1人だけ名前に色が入らず、中身もからっぽで「色彩を持たない」って自分で思っていたつくるが友人たちと再会する中で、自分がどんな人なのか、どんなポジションだったのか、こうだったよって教えてもらうところがめちゃくちゃ良かった。好きだった。

「自分」ってめちゃくちゃ曖昧だな〜って人間一度は考えるじゃないですか。思春期とか。
私が考える私と、みんなが考える私ってけっこう違うんだなって。
私自身でも、「私」ってどんな人かなって考えるとかなりぐちゃぐちゃで、MBTI診断やると毎回違う結果出る(これはもはやちょっと違うんじゃないか)。
私は大学1年のときに初めて血液型を調べて、そこまでの18年間は「なぞ」で通してきたんだけど、友達に何型っぽい?って聞くとその答えはバラけていた。
人から見た私の姿ってけっこう面白くて、そんなふうに思ってくれてたんだって嬉しくもなる。
つくるは自分のことを空っぽだと思ってたから、そうやってみんながつくるを認めて、無二のところに置いてくてれたって分かって嬉しかったと思う。でも、だからこそ、仕方なかったとはいえ自分がグループから追放されたことが余計悲しくなったんじゃないか。でもつくるってそのフェーズこえてるかも。
人から蔑ろにされるなら嫌われたままでいいんだけどな。こっちのこと好きなくせにハブろうするの何!?ってなるじゃ〜ん。好きが1%でもあるならそんなひどいことするのやめてくれないか⁉️😁

自分には色がないと思ってたつくるに色をつけてくれたのが他のみんなで、それはお互いにそうだったはずなんだけどな。
うん…。


終わり!

灰田の行方や緑川の話の真偽、シロのこととか沙羅のことも、明らかにならないことがけっこうあったけどそんなもんだよなとも思う。本当はそこらへんのこと考えた方がいいのかもしれないけど別に謎は謎のままでいいよな。やっぱり嘘めちゃくちゃ気になるわ!!でも私が考えたところで公式の見解にはならないから村上春樹さーーん教えて下さーーーい(野暮)。


ほんじゃ、おつかれさまでした。


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