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なぜ対話から創造が起きる?『創発のプロセス』を解説

こんにちは。
いよいよ関東も梅雨入りをしましたね。
私が今日いる熱海は、まるで3~4月のような肌寒さです。

そんな中、約2年半ぶりとなる当社主催の「リアルイベント」が、今週末に予定されています。
クライアントを中心とした、10名を超える参加者の方々が、1泊2日のレクリエーションを、「熱海」にて楽しんでいただきます。
今から楽しみです。

では、今回のテーマですが、ここ数回にわたって扱っている「ナラティヴ」をさらに掘り下げてみます。
ナラティブと創造性との関係について、探っていきましょう。

■対話の多い組織は業績も良いし新規事業も生まれる

組織開発の要諦は、一言でいうと、
「良い関係性を作る」ことにあります。

色々と世間で小難しいことは言われていますが、これに尽きるでしょう。

以前にも書きましたが、
組織というのは、”人と人との関係性”を拡張したものです。

組織を「良い」状態にするには、個々の関係性を「良い」状態にする
ことが必要ということですね。

ただ、言うは易し。
いったいどうやったら組織や集団を、「良い」状態に変えていくことができるのでしょう。

■対話が創造を生む「創発のプロセス」

先に結論なのですが、
風通しが良い組織というのは、「対話の量」が多い組織
です。

多くの文献から、
「風通しの良い組織は、業績も良くなるし、新規事業が生まれやすい
という事実が証明されてきました。

こうした組織は、なぜそうでない組織に比べて価値が創造されやすいのでしょう?
それは、3つの理屈で説明できるのではないかと思います。

つまり、『創発のプロセス』とも言えるのではないでしょうか。

1.対話が多いと、ひとつのテーマについて、さまざまな論点が増える。
つまり、人の数だけの視点やとらえ方が得られる。
ナラティブが交差する、というイメージ。

2.視点が多様化すると、そのテーマ自体に、新たな意味づけができる。
テーマや問題に、新しい仮説(解決のアプローチ)が見つかりやすい。

3.仮説を試すことができる。
対話できる器のある組織は、仮説のトライ&エラーを許容できる。

理屈はわかる。。。
という感じでしょうか。

では実際、身近なモノをテーマとして、創発のプロセスの入り口を体験してみましょう。

■ナラティブ・セッションを体験してみよう

これは、毎月開催している当社のオープンセミナーでの体験ワークです。

①まず、この写真に写っているモノをご覧ください。

※購入済み画像

蚊取り線香ですよね?
では、次の質問。

②あなたが思い出すこと、イメージは何ですか?自由に語ってください。
しばらく思い起こしてみましょう。
思い出す風景は?匂いは?聞こえてくる音は?一緒にいる人は?

実際セミナーでは、
「縁側が見える」、「庭に母の姿が見える」、「実家の畳の匂いがする」、「庭に生えている草の匂い」、「セミの鳴き声が聞こえる」、「風鈴の音が聞こえる」などなど、、、
ただの蚊取り線香から、口々に「ナラティヴ」が共有されました。

そして、ここからが創造のタイミングです。

これらのナラティヴをくみ取っていくと、
もはや蚊取り線香は、ただ「蚊を落とすための装置」から離れ、
もしかしたら、
「郷愁をさそう、思い出起動装置」になるかもしれませんし、
あるいは
「来客をリラックスさせるインテリア」になるかもしれません。

そうなると、蚊取り線香は、夏だけなく、
人によっては、冬、あるいは一年中使えるプロダクトとして進化していく可能性だってあります。

創造とは、こうして散らばっているナラティブを、つなぎ合わせることで可能になるのです。
問題そのものに対する視点、思いを拾い、
新たな視点でそれを見直すことができる、ということです。

いかがでしたでしょうか。
今回は簡単に身近なモノをテーマとして扱いましたが、もちろん私たちは、身近に潜んでいるはずの仕事の問題や課題、商品・サービスの在り方など、「テーマ」として扱うことができます。

■すぐにできるのはやっぱりコレ


対話とは、「双方向のコミュニケーション」です。
「一方向の指示命令」とは、真逆のあり方ですね。

対話をする組織、というのは、どんな姿をしているのか?
シンプルに言えば、
上司側が、部下側とできるだけ対等になろうとすること
です。
ナラティブを引き出しやすくするためのしかけは、じつにシンプルです。

現実として、組織というのはどこまで行ってもヒエラルキーがあり、上位の人に対して下位の人はモノが言いにくいですね。

だからこそ、動くべきは「上位の人たち」なのです。
「うちの現場は、本当に主体性がない」
「こっちが何かアドバイスしないと、動かない」
というのを良く耳にしますが、それは、本質的には間違いです。

本質はこうです。
「自分たち上位の人たちが、下位の人たちを黙らせている」
ということ。
下の者が言わない、のではなく、言わせなくしている
ということです。

対話の機会を、上位の人たちが奪っている、ということです。
ご本人は気づいていないでしょうが、
・威圧的なトーンで問い詰めたり
・部下が話している途中で遮ったり
・不機嫌な顔で挨拶したり
こうした、何気ない「無意識レベルの所作」が、ひとつひとつ、部下との対話の芽を摘んでいるのです。

ヒエラルキーは組織を解体しないかぎりなくなりません。
したがって、下位から上位の人に歩み寄るには、ものすごくエネルギーが必要なのです。
だからこそ、上位から下位に歩み寄ってほしいのです。
こちらの方が、組織全体から見て、省エネであり、効率が良いのです。

上司が、自分の欲している答えを部下に探らせるのではなく、
まずは問題やテーマについて、思いのままの主観を語らてみませんか?

たくさん対話の交わされる組織・集団で、創造的な日常を送れますように。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

<本日の箴言>
人間一般を知ることは、個々の人間を知ることよりも容易である。

ラ・ロシュフコー

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