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CT・MRI画像の立体表現

CTやMRIというものをご存知でしょうか?どちらも「輪切り」と表現されていて、体の中の臓器を生きたままにしてみることができる特殊な大型機械です。CTはビートルズで有名なイギリスEMIが開発し、かつての東芝とCTを共同で開発しました。MRIは電子レンジで用いられる技術(水が熱くなる原理)とリニアモーターカーの技術(金属を限界まで冷やすと電気抵抗がほぼ0で永遠に回り続ける)を応用しています。開発者はどちらもノーベル賞。どちらも得られた画像を数えるときに「枚」「スライス」と呼びます。スライスと聞くとハムのようなイメージですが、実際そのとおり。ハムを何枚も積み重ねることによって、スライス前のブロックのモモロースや肩ロースに戻ります。一番最初に掲載した顎の画像は「CT画像を積み重ねることでブロックに戻したもの」と考えてください。右も左も同じCTから作成しています。MRIでも同じことができます。私は2004年〜2008年に放射線技師を目指す学校に通っており、2年生のときに上記のような画像に初めて触れ、それを販売していた会社に入職しました。

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医療業界で働かれている人であれば、もしかするとこのような画像を見たことはあるかもしれませんが、そうでなければ「こんな時代になったか!」とびっくりされるでしょう。掲載した画像のような絵は「ボリュームレンダリング」と呼ばれる方法で作られており、起源を遡ると1970年代に今のピクサーの社長である「エドワード・キャットムル氏」がユタ大学時代の研究で大きな功績を残されているそうです。一般的にはオンラインゲームなどで使われる技術でもありますが、医療系では独自に大学などで研究され、1990年代に日本で一般の病院に普及が始まります。つまり2020年現在で30年も歴史がある技術です。そのうち私は2008年から参加しています。私は2016年に前職から独立しましたが、扱う技術領域は同じで、前職の経験を生かして独立しました。現役プロ12年目の選手です。

上記のような技術は90年代に普及した当時、CTと一緒に販売されていました。当時は「3Dが見れさえすれば良い」と言われて骨や脳血管を見るために売れていました。しかし私が入職する頃にはCTやMRI装置が飛躍的に進歩しており、それまで不可能と言われていた心臓が撮影できるようになりました。拍動する心臓を動画で撮影して、周期的に並べ替えることで「心臓の静止画(3D)」が得られるようになったのです。このインパクトは大きく、これまで「診断のおまけ」だった3D画像が「治療の参考にしよう」ということで、カテーテル(針金を血管に入れて治療する)やバイパス手術(混んだ一般道から迂回する道を作る)の前に「どういうふうに治療をすすめるか」の参考用として用いられてきました。

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そこから「これは使える!」ということで、心臓だけではなくあらゆる臓器の専門医から歓迎され、様々な技術開発が進みました。私も技術開発に携わりましたが、何よりも我々のような開発側が医療の知識を殆ど持っていないという点で、どこの会社も「良い製品の開発」に難航していました。幸い私は放射線技師の勉強もしていたのでCTなどの画像に関する知識や解剖などはある程度把握しており、仕事に合わせて各科医師とともに仕事や研究する機会に恵まれ、最新の手術を教えてもらいながら画像を作成し、常に医学の知識をアップデートすることができました。これは前職の製品開発に大きく影響したと思います。さらにその延長で医療ドラマへのCGの提供や、「美術解剖学」というアートを含めた学術分野も触れることができ「医学として意味のある」「多くの人の目を引く」という能力の研鑽につながったと思います。おかげで前職に在籍していた期間における全ての広告用の画像作成を担当していました。毎月のようにプレゼンしてました。これはプロ12年目の選手である私が獲得できた「業界の他の人とは違う能力」であると考えます。狭い世界ですが。

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大変狭い世界かつ一般的ではない医療機器の中でもさらに狭い部分の業界に身をおいていたため、一般的な仕事論を与えられずに過ごしてきました。ただし一般的な道順でないにしろ、全く別の角度から同じ位置に立つべく道を辿って12年間も仕事人としての山登りをしてきました。一応マーケティングに身をおいてきたのですが、言葉が違えど見る目線は考えることは同じなんだとわかります。後は業界に合わせて自分の言葉を翻訳するだけです。

最初の自己紹介として、noteのテストも兼ねてキャリアを述べさせていただきました。前職への入職もアルバイトを通してエントリーシートも書かずに入社したので、一般的とは程遠い道のりで参考になるとは思えないですが、仕事とそれに至る学生時代の話を掲載していきたいと思います。

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