《エピソード5・愛人と愛する人》弱冠20歳で1000万超えの借金、鬱、自殺未遂、親との確執。からの逆転人生を実現させたリアル話。
生と死
借金が膨れ上がる中、 S子と僕の関係も依存度が高くなる。お互い両親の関係が悪く、親からの愛情欲しさに荒れていた日々の中で見つけた形の違う愛情。僕たちの日々は、輝いているようで錆びついていた。そんな時、 あんなことが起きたんだ・・・。
愛と欲との狭間。言われたあの言葉
S子とは幾度となくケンカをして、何度も繰り返して別れ話をした。別れてはまたお互いを必要とする。離れれば離れるほど愛が欲しくなる。赤い糸のような脆く細いものではなく、太く錆びた鎖が2人をつなぎとめていたんだと思う。
海外旅行にも行った。背伸びして大人になろうともがいていたのかもしれないし、誰にも邪魔されずに時間を使いたかったのかもしれない。 S子からの「海外に行かない?私お金払うから」という言葉。その言葉に首を横に振れない情けない僕は、断ることもなく初の海外を S子と過ごした。
海外だけではなく旅行にもよく出かけた。お金を稼ぎ貯めたお金ではなくて、遊び増やしたお金と借りてきたお金。辛いことから逃げるq精神的な弱さを埋める作業は決して日々を幸せにするものではなくて、一瞬の快楽を得れば得るほど暗く深いトンネルは長さを増していく。
それでも、ギャンブルをすれば何もかも忘れられたしS子といれば安心していた。
それでもケンカは絶えない。別れ話も頻度を増した。今でも忘れられない言葉が、いつかの別れ話の時にS子に言われたんだ。
「あんたの優しさは、人を傷つける」と。
死ねずに生きていた中での本当の死
S子は、両親の不仲に嫌気がさしていた。僕も同じだった。S子の父親は不倫を。 S子の母親にも別のパパがいた。僕の両親は耳を塞ぎたくなるケンカを毎日のようにしていた。とにかくS子と僕は家から距離を置くようになる。
高校生だったS子も、大人になるにつれて精神的に成長するどころか病むことが多くなった。リストカットすることもあって、鬱の度合いも少しまた少しと深くなっていった。
死のうとすることで愛を求め確かめる。僕は、死んでもいいような日々の中で勇気を持てず死ねない。そんな2人は依存度がさらに高まっていった。
S子にはもう一つ現実を繋ぎとめていたものがあった。母親の存在だ。 S子の母親はS子にとっては1番の寄り添える場所。それくらい母の存在は大きかった。母親の愛人とも仲の良かったS子は時々愛人の豪邸に招かれて出かけていった。
その度に僕と対局にある愛人の存在に僕はヤキモチと虚しさを感じていたんだと思う。
あの時は毎日毎日自分の存在価値を確かめていた。価値のないことに嘆いたとしても、生きるしかない日々。現実をみたくない。そんな思いが日々を作っていた。
そんな日々にヒビが入ることになる。S子の母親が倒れたんだ。前日まで元気だったS子の母親は入院することになった。
膵臓癌のステージ4だった。
母親の存在こそが生きるための“命綱”になっていたのに、倒れたことで繋ぎとめていたものも幻想に感じる。お互い、さらに依存度が増した。
僕は毎日をS子の家で過ごすようになる。
S子は高校をもうじき卒業する頃だった。
続きはまた次。
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