バスケのコーチとPMはよく似ている
こんにちは! 趣味が高じてついに学生バスケのコーチまでしているnoteのPMのツカモトです!
今日はバスケのコーチをしながら、ああこういうことってPMとよく似ているなぁと考えたことを初心に戻るという意味でまとめていこうと思ってます。特別なことは何もないしちょっと精神論によってはいるのですが、そうだよなぁ、PMってこういうもんだよなぁという共感を得られれば嬉しいなと思います。
はじめに
国際コーチングエクセレンス評議会(ICCE)は、コーチが果たすべき役割や機能として、以下の6つを挙げています。
ビジョンと戦略の設定
環境の整備
人間関係の構築
練習での指導と競技会への準備
現場に対する理解と対応
学習と振り返り
これ、PMと一緒じゃないです?
4. だけは本当にコーチングの要素なのでちょっと違うかもしれませんが、
練習での指導 = 顧客、データ、ビジネス、市場業界についての知識
競技会 = プロダクトのリリース
と置き換えるとそれなりに腹落ちするかもしれません(前半はかなり強引ですが)。
バイブルINSPIREDによると、PMは
とのことなので、この責任範囲も
製品=(コーチしている)チーム
と置き換えるとこれまた腹落ちします。
従って、バスケのコーチとPMは似ているのです!
そんなわけで、じゃあどんな部分がより具体的に似ているのかを挙げていきたいと思います。
主役ではない
プレイヤーズ・センタードという考え方があります。これは、プレイヤーが主役であり、コーチの役割はプレイヤーの活動の支援であると言うこと。
ひいては以下を肝に銘じることです。
プレイヤーを自立した個人と考え、プレイヤーが主体的に判断し、行動できるように促す
プレイヤーの権利や尊厳、人格を尊重し、公平に接する
プレイヤーとの信頼関係を築きつつも、過度な主従関係や親密な関係は避け、適切な距離感を保つ
スポーツ界においては、大変残念なことに指導者が権力を必要以上に掲げてきた風潮があります。そのため、プレイヤーの人権やスポーツを行う権利を侵害してきた事件事故も多く発生しています。嫌な話なのであえて例は挙げませんが、ちょっと調べるとつらつらと出てきてすごく悲しい気持ちになります。
コーチはプレイヤーズ・センタードの考え方を徹底しなければなりません。
そしてその考え方は、PMにも通ずる部分があると思ってます。ただしその場合、センターに置くのはプロダクトを作るチームです。
PMはプロダクトをマネジメントするというロールに過ぎず、決してチームに対して主従関係があるわけではありません。しかしながら一方で、チームのパフォーマンスを引き出すことは素晴らしいプロダクトへ直結します。
そのことを踏まえ、チームを徹底的に支援することが重要であると痛感しています。もちろんこの支援は多岐にわたります。チームが不得手としている部分を何らかの手段で解消することや、開発が円滑に進むようにステークホルダと握りを行っておくこと、ノーススターメトリックを定義することなどなど、チーム(ひいてはプロダクト)が成功するためのことは何でもするべき。
そのためには、PMは別に黒子で構わないのです。
でも責任をとる立場である
敗因はこの私!! 陵南の選手たちは最高のプレイをした!!(画像略)
このセリフ、SLAM DUNKというマンガを読んだことのない方でも一度は見たり聞いたりしたことがあるんじゃあないでしょうか。
バスケの主役は選手です。しかしながら、特に試合の結果についてはすべて指導者側に責任がありますし、そのような状態でなければなりません。これはただ単に負けたときに自分が悪いと結論づけるのではなく、そこに至るプロセスで最大限最善の手を打った結果、賽の目が負けに転がってしまった、ということを自信を持って発言出来なければならないと言うことです。
この発言は、SLAM DUNKの劇中、主人公の属する湘北高校が神奈川予選の最終戦で対決する陵南高校の田岡先生という人物が敗戦後に語るセリフなのです(説明が長いな)。おそらく彼は日々のコーチングにおいて、選手の能力をすべて引き出すためのあらゆる施策を打ってきたはずです。
ファンダメンタルの強化から個々人のスキルの強化、ゲームプラン。ライバル校のスカウティングとその対策。それを夏のインターハイに最大の力を発揮できるようにスケジューリングし、長期的なプランに沿って大胆かつ慎重にコーチングをしてきたはず。
だからこそ、「選手は最高のプレイをした」と言い切ることが出来、不確定要素が多い試合での自分の采配だけが悪かったと評を下せたのです。
PMもそれは全く同じだと思います。もちろんアウトカムに対しては責任を持たねばなりませんし、それはプロダクト、ひいては経営にとって期待値を超えるモノでなければなりません。とはいえ、チームの力を最大限に発揮し素晴らしいプロダクトを作り上げたとしても、予想だにできなかった不確実性で期待していたアウトカムが得られないこともあると思います。
そうしたときに、素晴らしいチームと素晴らしいプロダクトのせいにすることなく、その不確実性を読み切れなかったPMが悪い、と断言できるプロダクトマネジメントが出来れば良いなと日々考えております。
人間力が求められる
バスケのコーチに求められるモノとして、以下が挙げられていました。
正しい知識を見極めるための思慮深さ
知識を適切に活用するための知恵
自分が属する共同体、接する人々の中で強制するための規範意識
適切な場面で臆することなく判断を下すための勇気
適切な場面を待つための忍耐力
自らの活動のエネルギー源となる情熱
相手の気持ちや考え方に配慮する思いやり
これらを称して人間力と表現をしていましたが、これ、PMにも当てはまると思いませんか?
PMには政治や社会、経済やテクノロジーなどを俯瞰して判断する思慮深さと知恵が必要ですし、一方で規範意識がなければ本当の意味での良いプロダクトにはなり得ません。プロダクトに対して判断することは勇気のいることの連続ですし、時には目先の利益を捨て将来の成長へと投資する忍耐力も必要でしょう。当然PMは情熱で動いていなければ話になりませんし、ユーザーやチームに対する思いやりはもはや持っていて当然のモノといえます。
人間力なくして競技力向上なしという言葉は、橋本聖子さんが日頃からおっしゃっている言葉だそうです。よきアスリートである前に、よき人間でなければいけないと。
この言葉、競技力をプロダクトマネジメント力と置き換えると、メチャクチャしっくりきます。
死ぬまで勉強は続く
JBAのコーチのeラーニングでは、「学び続けることはコーチに課せられた責任です」という表現がなされています。
バスケットボールは他の競技に比べてルールの変更頻度が多く、またその度に戦略戦術も大幅に変わってきています。特に現代バスケットでは、3Pシュートの重要視や、それに伴う選手のポジションレス化、さらにそこから派生する攻守のベストプラクティスなど、かなりドラスティックな変化がありました。
また、根本であるスポーツを取り巻く環境も日々刻々と変化しています。例えばストレッチについてはダイナミックとスタティックを適切に行うことの大切さが広まりましたし、スポーツ障害での応急処置の概念もRICE(Rest, Ice, Compression, Elevation)→PRICE(RICE + Protection)→POLICE(Protection, Optimal Loading, Ice, Compression, Elevation)と移り変わってきています。
PMとしても、勉強を続けなければ話にならないというのは言うまでもないでしょう。底辺プログラマからキャリアをスタートさせた自分にとっても、この20年でアーキテクチャや開発手法、マネジメント手法など新しいことをたくさん覚えてきました。しかしながら、まだまだ分からないことや学ばなければならないこと、カイゼンが必要な点も数多くあり、noteのPM陣にアドバイスをもらうこともしばしば(noteのPM陣はメチャクチャ優秀です。多くのメンバーは僕よりも年下なのですが、その能力の高さだけでなく学習意欲の高さに驚かされ、日々危機感を抱いています)。
バスケのコーチにもPMにも、学ばなければならないことの終わりがないという大きな共通点があります。これはもう本当に苦難な道なのですが、だからこそ挑む価値があると自分を鼓舞しております。
おわりに
PMとバスケコーチの共通点をまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?
僕自身、改めて文章にまとめてみると出来てないことや心がけなければならないことが多く、良い気づきになりました。
ちなみに、ちょっと違うなと思った点としてバスケコーチ(特に学生バスケ)は過程を重要視する必要があるというものがありました。思ったより記事が長くなってしまったので、これはまた別の機会に「でもバスケのコーチとPMはちょっと違う」というモノでも書ければなと思ってます。
これからも良いPMであり良いバスケコーチであるために、頑張っていくぞ!!
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